結果発表
2019/12/12 10:00

CAF賞 2019《学生限定》

受賞作品数:4点(入選を除く)
主催:公益財団法人現代芸術振興財団

最優秀賞

命がけ
サカイケイタ(武蔵野美術大学大学院)
命がけ
審査コメント
読み書き困難という作家自身の感覚の特異性から出発しているとのことだが、それに限らず、他者には共有できない作家個別の感覚に、この作品を通して触れることができた。針金と卵という最小限の組み合わせを用いて、重力も含めた彫刻の条件を可視化しつつ、文字のようなものであり、造形物でもあり、彼が常日頃外界に対して持っている鋭い感受性を鮮やかに示してもらえた。(藪前)

白石正美賞

(左)たくさんの花嫁 東京、(中央)川、(右)家 雨の日
山口由葉(東京藝術大学大学院)
(左)たくさんの花嫁 東京、(中央)川、(右)家 雨の日
審査コメント
キャンバスに絵を描くという、根源的な制作態度に徹していることに惹かれる。多様な表現が可能となっている現代、平面に向かって苦悩することを続けて欲しい。素描と絵画の関係を突き詰めていくことの愚直さに期待したい。(白石)

藪前知子賞

Affection:Warm like Paris in the month of May it was / Stay with me:Forever / Stay with me:Journey
敷根功士朗(東京藝術大学大学院)
Affection:Warm like Paris in the month of May it was / Stay with me:Forever / Stay with me:Journey
審査コメント
欠けてしまった男性の大事な部分を埋めるというわかりやすい作品だが、一つのシンプルな行為がパズルのピースのように色々な意味を引き寄せて、こちらの思考を刺激する。西洋の古典主義の立派な身体と東洋人である作家自身の身体の対比や、かつて西洋では都市を略奪した時、男性性の象徴部分を切り取って持って帰るという風習があったとのことで、彫刻に付随する男性性を様々な角度から脱臼していく。公共空間におけるハプニングの要素もあり、見るたびに新しい発見のある秀作。(藪前)

齋藤精一賞

MOWB
油原和記(東京藝術大学大学院)
MOWB
審査コメント
審査員の中では、この作品をCAF賞の入選作品として、アートとして捉えるべきか否かという大議論があった。しかし、たった一人で一年をかけてアニメーションのすべてを一枚一枚手書きで描いたということを聞き、そのクラフト感に感動した。VRの作品は、CGを使用すると味気なくなるが、この作品はどこを見ても味がある奥の深い作品である。高い解像度を創り上げること、その表現が普通のレベルを逸脱していると感じ賞を贈りたい。(齋藤)

海外渡航費授与

Transluncent Objects -Maquette #1- / Transluncent Objects
平瀬ミキ(情報科学芸術大学院大学)
Transluncent Objects -Maquette #1- / Transluncent Objects
審査コメント
ものを様々な方向から見ること、重ねることでそもそも身体とはなんなのかといった感覚を反芻し、作品の完成を今後も磨いていってほしい。良い意味で、まだ余白やポテンシャルのあるアーティストだと思っているので、海外での経験を通し、あらゆる視点から作品をコンテクスト的に厚くしていただきたい。(齋藤)
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