結果発表
2019/05/07 9:59

第5回 全国妖怪造形コンテスト

応募作品数:200点超
受賞作品数:20点(一般部門:10点/ジュニア部門:10点)
主催:兵庫県福崎町
※ここでは、一般部門の全10点、ジュニア部門の上位2点をご紹介します
一般部門

最優秀作品賞

輪廻の森
首藤秀利
輪廻の森
作品コメント
祭りばやしが響いてる。
深いみどりの奥の奥。
もののけたちが舞っている。
輪廻の森をくるくると。
妖怪コンの大団円。
祝うかのよにくるくると。
審査コメント
全国妖怪造形コンテスト最後の作品にふさわしいと思いました!
各キャラクターの造形や塗装など細部にまでこだわり、見る人を楽しませてくれます。(大山 竜)

妖怪と小動物達が楽器を奏でながら踊る様子の描き方が見事で、今にも音が聞こえてきそうな臨場感溢れる作品に仕上がっています。各動物と妖怪は造形の上手さは言うまでもなく、塗装表現がとても巧みで、丁寧に塗り分けられた彩色により動物の特徴を上手く表しています。また何気に作られた地面の完成度も高く、隙のない仕上がりに感心します。(吉岡和哉)

妖怪の祭囃子が聞こえてくるような楽しい雰囲気が好きです。(荒川直人)

謎のお囃子を鳥獣戯画的に表現しているのが良いなと思いました。
人にとっては怪しい出来事も、もののけたちには意味のあること。楽しさと怪しさのさじ加減が程よい感じです。(天野行雄)

優秀作品賞

好きな秋
沈 璟翔(台湾)
好きな秋
作品コメント
秋は大好きです。酒も一番大好きです~
審査コメント
秋と酒が好きだという山の小僧…
アンバー系でまとめられた作品は非常に天邪鬼な性格が表情にも生かされており、細かいディテールまでしっかり煮詰められていました。(吉尾政高)

豊かな表情と自然なポージングにより造形センスと技術の高さが伺えます。キャラクター性を高めるためにジオラマ仕立てにする見せ方も上手く、困った表情のお地蔵さんやその足元に転がる空の徳利など、作品に深みをだす演出にも抜かりがありません。(吉岡)

野趣溢れる造形、憎たらしい表情がたまりません。(赤尾慎也)

とても人間臭い感じがあって良いなと思いました。毛や筋肉の表現にも拘りを感じます。(天野)

審査員特別賞

野衾と髑髏
田中寛晃
野衾と髑髏
作品コメント
野衾の大好物の眼球。
食事の最後のお楽しみにとっておいたそれを、美味しくペロリとやるところです。
審査コメント
確かな造形力が滲み出てきて、野衾の可愛さと恐ろしさの表現が同居している不思議な雰囲気です。(荒川)

造形、彩色ともにリアルで可愛くてグロくて最高ですね。(赤尾)

野衾の造形がすばらしいです。
骨格や年齢までもみえてくるようで。
髑髏の造形ももう少し拘りがわかると完璧だと思います。(あに)

愛くるしい顔の造形とは裏腹に眼球を食べようと前足で掴む、可愛さと怖さの対比の演出に表現の巧みさを感じます。小動物の挙動を上手く再現したポージングや、ムササビ特有の飛膜を衣服のようにしたアレンジ、全体の色味を無彩色に塗ることで血痕を強調する配色など、随所にセンスを感じます。(吉岡)

360度ー、凡ゆる視点で見たくなる作品でした。
細やかなディテール気配りが作品をキリッと締めています。
野衾の表情もリアルで可愛いから恐ろしい…。
また、やや痩せ型で造形されていることのセンスも良いと思いました。(吉尾)

入賞

やまびこ
テツオ
やまびこ
作品コメント
人の目には山肌に生えた木のように映る山彦。
左耳は向こうの山の人の声を聞き、大きな口がその声を叫び返す。
右耳は何処にいる誰の声を聴いているのか。
外に聞こえないところで木霊する人間達の声だろうか。
審査コメント
色々な素材を見事に違和感なく合わせきっていると思います。配色も見事。(荒川)

作品は翼竜をモチーフにしながらも山の妖怪らしさをだすために、足を根っこにしたり羽をシダ植物にしたりと山をイメージする要素を上手く盛り込んでいます。そして一番の見せ場でもある叫びの瞬間を再現した顔の演出が絶妙で、やまびこの反響をマトリョーシカのように口から次々と別の顔を出すことで表わすアイディアに感心しました。他にも足元の根っこから生まれてくる幼生や大胆な斜面に配置した構図など、表現力の高さが伺えます。(吉岡)

こだまする声を幾重にも重なった口にするなど、表現が面白いです。
細部まで作り込んだ拘りの造形も見応えがあります。(天野)
紅月
杉山幸則
紅月
作品コメント
野衾の身体に潜んでいるコウモリ達に獲物を見つけさせ、そして捕らえる。
この後、水面の月が紅色に染まるだろう。
審査コメント
キャラクターの造形、塗装ともに素晴らしく、デザインも面白いと思いました。
背景など、魅せる工夫もとても良かったです!(大山)

妖怪カルタなどに見られる野衾をストレートにクリーチャー化しています。背景や台座など、装飾的に拘っている点も良いと思います。(天野)

バックを分けた構成は珍しく、かと言って見る方向を限定する作品でも無いのが新鮮で素晴らしいです。
コウモリ型の妖怪や人物、骸骨の配置等、それぞれの造形や仕上げも細やかで美しく、とてもまとまりや広がりのある魅力的な作品です。(林 浩己)

紅月と題されたドラマ性のある作品ー。隅々まで見入ってしまいました。
野衾と少女と月のまとめ方が美しく仕上がっておりました。
特に野衾はクリーチャーぽくも仕上げられており、背景も月明りをイメージして明かりを塗装に取り入れたのも良かったです。(吉尾)

佳作

さがり - S A G A R I -
チアキ・バチスタ!!
さがり - S A G A R I -
作品コメント
「ゆ、ゆるしてくれっ!!」
その馬の目には見覚えがあった。
織田信成ノ助は飼い馬を酷使し、死なせてしまう。
そして亡骸は供養もせずに粗雑に扱う。
さらに畑を広げるために馬頭観音石碑を壊してしまう。
馬の怨念と共にいろいろなものを呼び寄せてしまった。
審査コメント
ジオラマとしての構図も、表現力も素晴らしいです。(荒川)

情景の表現が素晴らしいと思います。ゾワっとしました。写真もいいですね。(赤尾)

馬の巨大感とおどろおどろしい空気感が見事に表現されています。
馬の顔の造形も、腰を抜かしている人の造形も素晴らしいです。
写真も陰影を上手く使うことで迫力のある絵になっています。(あに)

酷使された挙げ句、無残な最期を遂げた馬の怨霊。静かな表情の中にも情念を感じる佇まいに圧倒されます。頭部からは人間の影も見えることから、馬だけでなく、大勢の人や生き物を見殺しにしてきたんだろうと、見る側にも色々と妄想が広がります。
兎に角、シッカリとした造形力であり、美しく恐ろしい。凄い作品です。(林)
石の山
陳 謹(台湾)
石の山
作品コメント
村人A:山のような 大きい老人だね~
村人B:先月 この村は略奪された その老人は牛と穀物を取り戻した 不思議な
村人C:この 戦争はいつまで終われるかな…
村人Dの子:優しいお爺さんだよ~ 父ちゃんを家に持ち帰るならいいだ
審査コメント
奪われた牛を取り返したシーンを再現することで、妖怪の大きさと優しさが上手く表現されています。顔や体に深く刻まれたシワ、腕に浮かび上がる血管、頭の角などのディテールで不気味な妖怪らしさをだしているのですが、落ち着いた形の小さな目が優しさを感じるポイントになっています。そんな顔に視線が行くように足元のディテールや色は抑えられ、牛を担いだポーズも絵としてとてもまとまっています。(吉岡)

老人の筋肉、しわの感じが見事に表現されていて素晴らしいと思いました。
シンプルでわかりやすいまとめ方も良いと思います。(あに)

デッサン力が凄いですね。確か前回の作品は砂かけ婆でしたが引き続き高齢者の表現が素晴らしい。また牛を肩に抱えることで本体の大きさを強調、正中線から少しずらした位置に生える角。いいなと思いました。(橋本省三)

逞しさが伝わってきます。(髙寄十郎)
法螺貝の絶叫
青千代
法螺貝の絶叫
作品コメント
貝吹坊は熊山古城跡の堀に住み法螺貝のような音を出す妖怪ですが、私の空想した貝吹坊は堀に生息するミジンコがそこに捨てられてしまった呪物と融合した妖怪です。頭の中は人の醜い感情の結晶である呪物が詰まっていて注意が必要です。貝の口から呪いの言葉を発します。顔の左右にあるふくれっ面の丸い物は頬袋で貝を大音量で鳴らすのに使われる器官です。
審査コメント
設定を忠実かつ、独自な解釈で造形するー…まさにこのコンテストならではな作品で痺れました。
ミクロな生物をビジュアルのキーにしたアイデアもサイコーです。
また素材感もしっかり表現されていることから画像でなく実物を生で見たくなるような完成度。
リアル表現ながらトラディショナルな和テイストも入っていてオシャレでした。(吉尾)

ミジンコをモチーフにした独特のデザインが、印象的でありセンスを感じる、見ていて楽しい造形です。透明パーツや金属的な色合いに塗られた骨格、封印された箱、ホラ貝についた口など、随所に見せ場がちりばめられ、コミカルなポージングも相まって、鑑賞者を飽きさせない工夫に感心します。(吉岡)

海の土産物屋で売られていた貝細工のようです。様々な素材を活かして、見応えのある作品に仕上げています。細部に至るまで丁寧に仕事をしているので、見ていて楽しい作品となっています。(天野)

商工会長賞

タンタンコロリン飛び六方
石橋エイジ・マキコ
タンタンコロリン飛び六方
作品コメント
たんたんころりんたんころりんたぁ~んたんころぉ~りんと発しながら、飛び六方で消えていく粋な妖怪
審査コメント
粋でシンプル!!
歌舞伎、浄瑠璃の飛び六方ーってありそうでなかったポーズですね。
色彩からとても考えられた良い造形だと思いました。(吉尾)

作品のバランスが良くて360度どの角度から見てもいいなと感心して眺めました。
ポーズも歌舞伎の飛び六方に持っていったあたり、発想が素晴らしいです。良い作品をありがとうございました。(谷口守男)

全体のバランスが非常によくとれている素晴らしい作品です。福崎町の妖怪軍団の一員として設置してほしい一押し作品です。(髙寄)

観光協会長賞

狒々
最上晃啓
狒々
作品コメント
狒々は人を見ると大笑いし、生贄を求め、獣を食べたと伝えられています。それはまるで、幾度となく起こる天災や疫病で、人間をあざ笑うかのようにあらゆるものを奪い去ってゆく自然そのものの姿を描写したかのように思えます。
この作品では、その存在を前にしてひたすら恐怖するしかない自然がもつ原始的暴力性の象徴としての狒々を表現しました。
もしかすると、自然に抗おうとする人間の知性が、目に見えない畏怖の対象に狒々という名前と姿を与えただけなのかもしれません。
審査コメント
女性のしなやかさ、男性の力強さ、動物の躍動感、どの造形も高い次元でまとめられていて素晴らしいと思います。
塗装はあえてそうされたのかもしれませんがもう少し色があるのも見たかった気がします。(あに)

写真でみるとインダストリアルクレイの素材の色をそのままに、着色せずにフィニッシュしているのでしょうか? 物足りなさはあるものの、余計な情報をカットして造形本来の良さをアピールする大胆な見せ方が面白く、色を塗らない説得力のある造形だと思います。作品はベースに岩と鹿を配置しながら、生け贄を担いだ絵としてのまとまりがとても良く、構図の上手さを感じます。(吉岡)

オーソドックスな彫刻作品のような仕上がりです。全体を一つのまとまりとして捉え、単色で仕上げながらも、鹿の角だけ色が入っている所が工芸的で面白いです。(天野)

出来栄えが素晴らしいので選びました。(後藤雅一)
ジュニア部門

最優秀作品賞

超メタボになった座敷童
北牧煌悠
超メタボになった座敷童
作品コメント
もともとは普通の座敷童だったが、座敷童のところに来た人たちが置いていった、お菓子などをいっぱい食べ過ぎた結果、超メタボになってしまった。
満足するものをあげないと幸せにしてくれないらしい。
審査コメント
台座を分割方式にしたのと畳のディテールの表現力が凄く良かったです(荒川)

明るい緑と量感が詰まった迫力の造形が目を引きます。散乱するお菓子などの小物により上手く状況が説明され、表現力の高さも伺えます。妖怪をメタボにする今風の演出も面白く、少し風刺の入った考えさられる作品と言えるでしょう。(吉岡)

立体感ある造形、彩色が好印象。小物も丁寧に作られていいですね。(赤尾)

お菓子を食べてメタボになったというのが一発でわかります。
メタボになった座敷童子という発想が凄いですねぇ。(あに)

メタボに反応するおじさんにとっては笑えないテーマですが、満足するものを与えないと幸せにしてくれない座敷わらしというのが、いろいろ考えさせられる作品です。
不気味なメタボ具合や、畳表現、細かいお菓子たちもシッカリ作ってあって、全体のバランスも素晴らしいです。(林)

優秀作品賞

身近な所に座敷わらしが…
酒井章汰
身近な所に座敷わらしが…
作品コメント
本の中の座敷わらしは子どもと遊んでくれる妖怪でしたが、ぼくの考えた座敷わらしは怖い怖い座敷わらしです。
ぼさぼさの髪の毛に大きな耳、じゅうけつした大きな目で見てきます。
いろんなところにかくれていますが、子どもをみつけると、ちかよってくるのです。
審査コメント
大きな目や髪の毛が特徴的で面白いと思いました!(大山)

一番最初に目がいく大きな顔は、頭頂部に脳を露出させた印象的なデザインで、さらにその周りに生えた頭髪表現に自分の毛を使うという発想に驚かされます。この作品はそんな部分に目がいきがちですが、顔を中心に施された立体感のある造形は見事。不気味な目と相まってこのキャラクターを印象づけるポイントと言えるでしょう。(吉岡)

インパクトが凄かった。
さらに、製作解説図がとてもいい味が出ていて良かったです。
髪の毛あんなに切っちゃって大丈夫だったのかなw(荒川)

各所の拘り、なかなかコワくて素晴らしいです。(赤尾)

なんでしょう? 引きつける力のある作品ですね。
もうこの血走った目に釘付けです。
仕上げをもう少しがんばるとグンと良くなると思います。(あに)
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