第4回 全国妖怪造形コンテスト
応募作品数:216点(一般部門:151点/ジュニア部門:65点)
受賞作品数:21点(一般部門:11点/ジュニア部門:10点)
主催:兵庫県福崎町
※ここでは、各部門の上位3点をご紹介します
一般部門
最優秀作品賞
- 作品コメント
- 「あの竹藪は、絶対に通るな!」先生から言われていた。理由は聞かされていないが、何かある。しかし遅刻する訳にはいかない、通るしかない。そんな状況を作品にしました。砂かけ婆は、ひたすら砂をまいています。肉に塩をふりかけているような仕草だが何を考えているのかわかりません。学生は背後の存在には気が付いていませんが無気味な気配を感じ取っているようです。
- 審査コメント
- 妖怪と人の関係を表現された作品は毎年、エントリーされて来る作品の中に必ずありますが、これほど表情を明快に表現されている作品は作者さんの技量から来るものだと思いました。
また、不気味な気配感の一瞬の「時」を捉えた造形も凄みを感じました。
女学生の腰から上で表現された全体の構図も素晴らしい。(吉尾政高)
妖怪の大胆なポージングや女性のこわばった表情、細部のモールドなど造形の上手さが目を引きます。角度によっては絵が間延びして見えたりもしますが、女性の上半身を中心にストーリーを展開する構図作りの巧みさも見所です。(吉岡和哉)
優秀作品賞
- 作品コメント
- 牛鬼はどこまでも祟るそうです。
海を渡り、逃げようとしても、姿を変えて、どこまでも、どこまでも追ってくるのです。
この小舟の持ち主は、飛沫の中、何を想うのでしょうか。
- 審査コメント
- 「どこまでも祟り、どこまでも追う」という設定をもとに、クジラ風にデザインした大胆なアレンジが強く印象に残りました。全体のフォルムや色合いが古書に描かれたクジラのようで、今風のクリーチャーとは違うアレンジにより、妖怪らしさが高まっています。作品の見せ場作りも抜かりなく、顔に施された緻密な造形や、背中に描き込まれた細かい模様など、鑑賞者の視線を離しません。そして妖怪の巨大感や、ストーリーを感じさせるように配した小舟による演出、波や尾びれの躍動感など、独創性や表現力、仕上げに至まで、バランスのとれた作品といえるでしょう。(吉岡)
クジラ? 牛鬼の括り?と思いつつ、圧倒的な造形力と個性で惹きつけられました。解説を読んで納得。発想からして、個性的な世界観が出来上がってました。画像では、スケール感も把握できない迫力で圧巻です。(林 浩己)
審査員特別賞
- 作品コメント
- 人々が食への感謝を忘れたり、平気で食べ物を捨てたりするようになると現れる妖怪。
骨と皮になったその形状は餓死した牛の姿とも、自らその身を飢えた人々に供した姿とも言われていますが、定かではありません。
- 審査コメント
- 作品のコンセプトを知らなくても、ひとめ見ただけで状況と設定がわかる表現力に感心しました。造形やデザインセンスは言うまでもなく、ゴミによって生まれる密度感や、襲いかかろうとする場面の切り取り方など、目を引く仕掛けが上手く、完成度の高さが伺えます。(吉岡)
造形力は素晴らしいです。妖怪の表情や体の構成、カラフルな小物たちとのバランス、襲われている人間、どれを取っても完成度がとても高いです。ただ、人に危害を加えるのではなく、人間の不条理に警鐘を鳴らす存在としてのコンセプトも素敵ですね。(林)
存在にメッセージを持たせることは妖怪表現の最もとくいとする所。そこを上手く使って見事に形にしていると思います。ベタな駄洒落も妖怪ウォッチ以降の妖怪造形コンテストではありなのかなと思いました。(天野行雄)
ジュニア部門
最優秀作品賞
- 作品コメント
- ・胴は魚のようになっているので海の中で速く泳ぐことができる
・カニのような足ですばやく歩ける
・胴の両側にも目がたくさんあるのでよく見える
・強い力をもつカニのツメような手で人をおそって食べる
・お酒に弱い(人よりお酒のほうが好き)
- 審査コメント
- 質感を意識した素材選びや体の部位の細かい設定等がとてもユニークです!(大山 竜)
イラストを描いてから造形されているのでしょうか? 絵を描くことで形が良くまとめられています。ありがちな牛鬼とは違い、胴体を魚にすることでフォルムにおもしろさを感じます。また素材の一部にフェルトを使うなど質感表現への攻めの姿勢は、評価すべきポイントと言えるでしょう。(吉岡)
造形センスは抜群ですね。そして仕上げがとても丁寧で美しいです。魚の部分と蜘蛛や牛の部分でそれぞれにあった素材の使い分けも納得ですし、目玉の配置等で、恐ろしさも感じられるデザインは素晴らしいです。(林)
全体的にキャラクターとして上手くまとまっています。上半身と下半身で形も素材もガラリと変えているところも面白いです。(天野)
優秀作品賞
- 作品コメント
- 牛鬼が海から毒を吐き散らしながら浜に出てきたところをイメージしました。
僕の牛鬼は、「頭(顔)が鬼、角が水牛、体(背中)がクモ」という設定です。
口から毒が垂れているところを表現するのが難しかったです。
体(背中)は、卵の殻を使ってトゲトゲしているように工夫しました。
- 審査コメント
- 大きくねじれた角や真っ赤な目が迫力があって好きです!
撮影方法も面白いですね。(大山)
鬼、水牛、クモの特徴を盛り込みながら、上手く同化させた造形にセンスを感じます。おどろおどろしい色味の胴体や口から垂れた毒々しい液体により、異様な雰囲気が感じられる作品として仕上がっています。(吉岡)
なかなか強そうで迫力が有る牛鬼です。色調も工夫されているし、卵の殻を使ったという体の皮膚感も、オドロオドロしくて、不気味な感じをの表現に一役買っています。自然を背景にしての撮影が、存在感を引き立てています。(林)
こちらに向かってのっしのしゆっくり歩いてくる感じが伝わってきます。
迫力ありますねぇ。
長いキバが2本生えていて、おそらくここから毒が出るのでは?といろいろ想像をかき立てられる素晴らしい作品だと思います。(あに)
審査員特別賞
- 作品コメント
- 山の中の洞窟に住んでいる砂かけ鬼ばばあ。やってきた人に砂をかけてうっとり、不思議にさせて、後ろからツノでつきさして、とがったキバでかみつく。だからツノとキバは血がついている。
- 審査コメント
- 砂を持つ手の表情がしっかり造形できているのが魅力的です!(大山)
妖怪の中でも、砂かけばばあと言えば、地味なモノトーンの印象がありますが、鬼のイメージも加わって、なかなかカラフルで印象に残る作品です。シッカリしたキャラ表現で、ちょっと怖いけど性格がちゃんと伝わってきます。(小林和史)
量感のある造形により、存在感のあるキャラクターとして仕上がっています。1本づつ貼付けた髪の毛や、緻密に描き込まれた着物の模様など、丁寧な作業に好感が持てます。また赤い目や牙に血を付けた妖怪らしい演出も決まっています。(吉岡)
とてもバランスがとれています。
一つ一つの造形、色もはっきりしていて大変わかりやすい作品に仕上がっています。(あに)
インパクトがすごい。小学校1年生とは思えない、のびのびとした造形力で素晴らしいです。(荒川直人)
「砂かけ鬼ばばあ」正に鬼婆に仕上がっています。怖い怖い!(後藤雅一)