2016/11/28 10:00
第55回 富士フイルムフォトコンテスト
応募作品数:35,513点
主催:富士フイルム株式会社
※ここでは、上位5点をご紹介します
主催:富士フイルム株式会社
※ここでは、上位5点をご紹介します
フジコン大賞
ファミリー
牛場寿子
- 審査コメント
- 一家と思われる猿たちのくつろぎの風景をとらえた写真です。それぞれの猿の仕草に表情・感情が垣間見えて見応えのある仕上がりになっていますね。左の3匹は仲睦まじく寄り添い、そこから少し距離を置いて佇む子猿はその一団に混ぜてほしいと懇願するかのよう。そこには人間と変わらぬ不変の愛情が垣間見え、家族の絆というものを感じさせます。心が洗われるようで、動物の姿に我々人間が学ぶべき事象も多いのでは、と思わせてくれる一枚です。(ハービー・山口)
自由写真部門
グランプリ
親友
寺西孝友
- 審査コメント
- キャンパスとおぼしき場所に若者が6名。夕陽が若者たちをかすめ、平和な気持ちにあふれた屈託のない笑顔をカメラに向けています。一見すると記念写真の要素が強いのですが、記念写真というのは、いつ、どこに、誰といた、という写った人だけに価値のあるもの。当事者以外の人にも訴えかける力を持ったものが一つの作品に成り得るわけで、ここでの作画的なポイントは画面上部を空けている点です。人物の上部を空けることは「希望」の演出に繋がると私は考えます。そのため、この作品においても「希望」が色濃く伝わる描写になっているのだと思います。(ハービー・山口)
ネイチャーフォト部門
グランプリ
跳ねる
加茂谷 仁
- 審査コメント
- 大雪山にいるナキウサギをとらえた一枚です。この作品は決定的瞬間の面白さが抜群で、他を寄せつけないほどの魅力がありました。おそらくは巣の材料を持ち帰る途中でしょう。何かの拍子に飛び上がった瞬間を、よくぞこのようなかたちでとらえました。正面からこちらへ向かってくる瞬間というのも珍しく、タイミングも絶妙。ピントも合わせも成功しています。動物写真の醍醐味がここにあります。(今森光彦)
フォトブック部門
大賞
1
石原大次郎
- 審査コメント
- 男の子とその傍らに「1」の数、印象的で目に留まる表紙です。帽子や「1」に見られる色彩的なセンスもいいですね。もし何冊もブックが並んでいたら、きっと一番に手に取りたくなるような仕上がりです。またタイトルも斬新。ページをめくると再び「1」がお目見えし、1年生になったという意味であることがわかります。入学式前でしょうか。お家の中でランドセルを背負ったり、その姿を妹に見せびらかしたり…。ワクワクの臨場感が伝わってきます。導入部分は春、桜、入学という流れです。お子さんの入学式であれば誰しもこういう感じで写真を撮ると思いますが、それだけではなく、途中には夏休みの光景も入ってきたりとお子さんの一年間がここに凝縮されています。終わり方もよく、洗濯した上履きや成績表があって、流れからすると冬休みということが伺え、この余韻がなんともいえません。ここに出てくる写真は奇をてらったものではなく、親が目にするごく日常の風景。それを一冊にまとめることで、「お子さんの感情」や「1年という時間」が強調され、構成の上手さを感じさせます。(榎並悦子)
特別テーマ部門
大賞
宿題嫌だ~
平本貴範
- 審査コメント
- 近年、稀に見る傑作の誕生です。と言ったら、奥様にもお子様にも怒られるかもしれませんが、作品としてのインパクトの強さ、それぞれの人物像、周辺環境の描写に至るまで完璧ですね。二人が横並びしているところなど、映画「家族ゲーム」の食卓シーンを彷彿とさせてくれます。この“リアルにヤバい”張り詰めた空気はどんな役者もかなわないでしょう。背後に写る時計を見れば、事の重大さにさらに気づき想像力はMAXに。離れた位置からこっそりと撮影した作者の勇気はなかなかですが、動揺からかピントが少し甘くなってしまったのはご愛嬌。この後、シャッター音に気づかれて火に油を注いでしまったのかどうか、シャッターを切った前後まで想像(心配)させるあたりは名作・傑作の宿命です。最後にお伝えしておくとしたら、その火の粉がくれぐれも作品を評価した審査員まで飛んでくることのないようにただただ祈っています。(清水哲朗)