結果発表
2025/05/15 10:00

FASHION FRONTIER PROGRAM 2024

主催:株式会社YUIMA NAKAZATO LABRATORY
共催:一般社団法人unisteps、FASHION FRONTIER PROGRAM実行委員

受賞作品数:3点

グランプリ

Forest Clothes : In the glow
須田美咲
Forest Clothes : In the glow© FASHION FRONTIER PROGRAM
作品コメント
林業の衰退により森の健康が失われ、そして、それが土砂崩れなどの自然災害を引き起こす要因の一つとなっている。
森は私たちに癒しや恵みを与えてくれる一方で、付き合い方を間違えると私たちにとって脅威にもなり得る。
「衣服を通して人と森の関係を考え直すきっかけを作る」というテーマのもと、森の豊かさの証である木漏れ日に着目して製作を行なった。
管理された森の木材から作られたテキスタイルを光に満ちた豊かな森の中に持ち込み、木々の間から降り注ぐ光を用いて柄の染色を行なった。
染色には光を受けて発色するという特徴を持つ青焼きの技法を使用し、テキスタイルに木漏れ日の光をダイレクトに纏わせた。
この衣服は豊かな森の光に包まれる体験を作り出し、森について考えるきっかけを生み出す。

準グランプリ

KEMMUN
富山 聖
KEMMUN© FASHION FRONTIER PROGRAM
作品コメント
奄美大島で生まれ育った私は、先天性内反則という身体的特徴を抱え、少年期を劣等感の中で過ごしてきた。
そんな私の支えが奄美大島の妖怪「ケンムン」の存在である。ケンムンは島の生態系保護のために人間に悪戯をする妖怪として知られている。しかし、当時の私はケンムンの絵本や逸話を聞く中で目には見えないものの傍に居てくれる一人の存在として彼を認識していた。
大人になった今でも彼の存在は心に強く残り奄美大島の衰退する文化とサトウキビの新たな活用に目を向け島のルーツと自らのアイデンティティをもと、文化の継承と昇華を目的とするプロセス。不器用な優しさと無邪気さを持つ衣服を創造する。
日常の中で長い時間を共にする衣服だからこそ妖怪(ケンムン)と共に身に纏ってほしい。それが私が感じる妖怪(ケンムン)である。
WE WANNA 農!!!
村田充生
WE WANNA 農!!!© FASHION FRONTIER PROGRAM
作品コメント(一部抜粋)
私は百姓。私の祖父はおおきな百姓だった。
生前の彼が、ときたま口にした「百姓」という言葉には、厳しい暮らしの中で翻弄されながらも、人とものを慈しみ、生命を育んで毅然と生きてきた人々の矜持と信念がこもっていた。
私のファッションは農である。
農は今まで蔑ろにされてきた。農がなければ、私たちは生きることができないのに。
農は私たちの生き方そのものだったのに。農が私たちを繋いでいたのに。
本当は、農だっておしゃれなのだ。もっとおしゃれになれるのだ。
あなたが思っているより、農は気高く、逞しく、そして美しい。
信州信濃の百姓が、連綿と受け継いできた「農」。
それは「衣服のデザイン」という意味でのファッションデザインに留まらず、もはや「人の在り方としてのファッションデザイン」そのものである。
むかしの野良着と、いまのワークウェア。どちらも、人が農するために纏う服。
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