結果発表
2016/09/01 10:00

エプソンフォトグランプリ2015

応募作品数:21,117点
主催者:エプソン販売株式会社
※ここでは、入賞作品のうち、6作品をご紹介します
※グランプリは複数の写真を1点として受賞していますが、代表写真1枚をご紹介しています
ネイチャー部門

グランプリ

Jump & Jump
増田晋一
Jump & Jump
作品コメント
猿達は、移動で大胆に川をジャンプしたり、遊びで相手の上をジャンプします。
この真剣な眼差しと躍動感を組写真で表現しました。
審査員講評
今年は申年ということもあり動物写真の中でも、猿を題材にした作品は特に数が多かったです。それは他の動物に比べて人間に近いので表情や仕草が伝わりやすく写真家にとって魅力のある題材ということもあります。その中で今回の増田さんの作品は、群生する猿の集団生活のアクティブな行動が写し込まれていて大変素晴らしいと思いました。特に三枚目の子猿が飛んでいる写真では、撮影したタイミングやアングルはさることながら、端っこの方に親か兄弟の猿が見守っているような表情で写っています。こうしたちょっとした写し込みが作品全体の雰囲気を盛り上げ、より一層深みのある作品へ仕上げています。(田沼武能)

冬景色の中で撮ったり、また猿の毛が夏毛の時期に撮ったり、魚眼レンズで撮ったりなど、かなり長い時間をかけてじっくりと作られた作品です。増田さんは以前も猿の作品で入賞された、いわば猿のエキスパートですが、その作品に共通するのは一瞬のシャッターチャンスを大事にしているということではないでしょうか? 3点という比較的少なめな組写真ですが、そこには集約に集約を重ねた痕跡がはっきりと伝わってきます。また大きいサイズのプリントで見せることで、猿の肌や毛の質感がまるで本物を見ているかのように表現され、作品の臨場感に花を添えているように思いました。(三好和義)
ヒューマンライフ部門

グランプリ

木漏れ日の人形三番叟
赤池広正
木漏れ日の人形三番叟
作品コメント
境内の木々から漏れてくる秋の陽射しを浴びて、美しく輝く人形や人々、その陽はとても柔らかく温かい。
審査員講評
地域に根付いた人形芝居を取材した作品ですが、山梨の笛吹にこのように立派な人形芝居が現在まで受け継がれていることに驚きを感じました。人形芝居は地元の人形使いの人たちが伝承しているのですが、この作品を見た時、昨今はその後継者がいなくて困っているという話を各地で聞いていますが、そんなことを全く感じさせず、華々しく意気尽いている印象を受けました。特に感じたのは光の使いかたです。影の強さを利用することで人形芝居の舞台を一層ドラマチックに仕上げることに成功しています。(田沼)

たくさんの写真をうまくまとめた力強い組作品です。年期の入ったいい表情の人形の頭がこれだけ揃っているところに、この地域の歴史や文化の厚さを感じました。全体的に秋の光が綺麗で、撮影現場の条件を見事に自分の作品の味方につけて撮影しているなと思いました。作品のアクセントになっているのは、人形を使っている人だけではなく野球帽を被った少年の後ろ姿です。これがあることで人形芝居の世界とそれを取り巻く地域といった広がりやストーリー性を強く表現することに成功しています。(三好)
ビギナー部門

OVER41 優秀賞

踏台の代り
近藤鋳保
踏台の代り
作品コメント
腕白な子供を頭上で好きなように遊ばせる母親の愛情がいっぱいです。
審査員講評
親ゴリラの子育てする表情がなんともいえない作品です。人間と全く同じような表情をしており、親と子の絆を感じます。同時に現在の社会における我々人間家族の絆が希薄なっているんじゃないか?というような問題提起を突きつけられているようにも思いました。見れば見るほど心の中で親子の愛情が広がってくる作品です。(田沼)

黒っぽい毛並みのゴリラと白っぽいシンプルなコンクリート壁面という対比もあって、非常に象徴的に仕上がった作品だと思いました。また肌の質感や毛並みの質感が印象的です。黒っぽい毛並みをこのように仕上げるのは難しいと思うのですが、作者はそれを見事に仕上げているなと思わされました。(三好)

UNDER40 優秀賞

移り変わり
稲水佐江子
移り変わり
作品コメント
雪どけ水が川になっていく様子や山と川の境目など、上空から見ることで、また違った角度から自然の神秘を感じました。
審査員講評
多分海外で空撮した作品と思いますが、こうして見ていると平衡感覚や縮尺感覚がおかしくなってしまう不思議な錯覚を覚えます。見る人に錯覚を覚えさせるような大自然を撮った作品は写真でなければ味わえません。撮影地なども是非教えてもらいたいです。何万年もの地球の変遷や歴史を感じさせるダイナミックな仕上がりになっています。(田沼)

非常に大きい被写体をカチッとしっかりとフレーミングで捉えています。ダイナミックさと繊細さを併せ持った作品と言えるでしょう。田沼先生がおっしゃった錯覚というのも元をただせば地球の神秘性のようなものが写り込んでいるからかもしれません。(三好)
ファミリースナップ部門

大賞

こたつでくつろぐプティ
浅海紘太郎
こたつでくつろぐプティ
作品コメント
足先だけのミニコタツ・ミカン・茶器は小さいものを使用。
本当にコタツでくつろいでる感じに撮れました。
審査員講評
これは犬の写真の傑作ですね(笑)。親が子供にいろいろな服を着せるのと同じかそれ以上の愛情を感じます。ここに写っている犬もそれを知っているのか、飼い主の愛情に乗っかって撮影に協力しているところが素晴らしいですね。お互いの信頼や愛情がユーモアに乗せて表現されている微笑ましい作品です。(田沼)

わざわざ犬用の小さいコタツのセットまで用意しています、このような緻密な準備をしているところを想像しますと、思わず微笑んでしまいます。そして犬がつぶらな瞳でカメラ目線、しかも真顔というところがさらに面白さを引き立てていると思います。ユーモアと犬と作者のチームワークには脱帽です。(三好)
中学・高校 写真部部門

優秀賞

鋳物師たち~火と汗の日々~
埼玉栄高等学校 写真部
鋳物師たち~火と汗の日々~
作品コメント
昔ながらのキューポラを残す鋳物工場。そこで見たものは、熱と炎と煙の渦巻く中で働く職人たちの姿。技と、危険と、体力が三つ巴に絡む、命がけの過酷な真剣勝負。熟練工の存在がひときわ精彩を放つ。しかし、タフに見えても70歳を超える身体の衰えは正直。みるみる体力を消耗していくさまは、私たちに「働く」ことの意味を突きつけているかのよう。今日も鉄とともに真っ赤になって働く誇り高き鉄人達の汗に敬意をこめて。
審査員講評
鋳物の工場はかなり危険な現場だと思うのですが、内部に入り込み、工場の中で働く人たちの姿を肌で感じながらのスタンスで撮っているところが素晴らしいです。工場の中は鋳物から発せられる光と室内の暗さもあって、結構撮りにくい条件だと思いますが、そこを見事な腕前で捉えています。工場の人たちから吹き出す汗や表情から、働くことの厳しさ喜びが顔や身体全体に表現されています。(田沼)

去年の受賞作品と比べるとかなり対極な雰囲気の作品と言えるのではないでしょうか? 撮っている題材も社会性のある被写体ですし、撮り方も仕上げ方も重厚な感じです。一体何人で撮影されたのでしょうか? 一枚ずつの完成度もそうですが、まとめた時のストーリーを感じさせる雰囲気と、組写真の一体感が見事だと思いました。(三好)
関連記事