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結果発表
2019/05/27 10:00
第14回 ダイワハウスコンペティション
建築・インテリア・エクステリア
応募作品数:226点
受賞作品数:7点(佳作を除く)
主催:大和ハウス工業株式会社
最優秀賞
太まち まちのような家
金 暁星
作品コメント
太巻きをみんなでつくる風景を見て、「まち」の意味を学んだ。「まち」とは不完全な家同士がおのおのの価値を実現しつつ、その価値をほかの家と共有しているような状況。そこで、一つの家が、一つのまちになるような家を考えた。まずみちの範囲を太くしてそれぞれの生活が感じられて共有できる、定義されないみんなのための場所をつくる。みちに生活が感じられるようになったら、家自体はすべての機能を完璧にもつ必要がなくなり自由に考えることができるようになる。それぞれの家はそれぞれが重要だと思う機能を収めるようになる。お風呂が大きな家、庭があちこちにある家、本の多い家。家は都市にある銭湯や公園、書店、レストランのような人びとの集いの場所となり、まちは「一つの家」のようになります。さらに太くなったみちと家とが自然に繋がるように巻いていきます。すると、人びとの交流が生まれる。一つの家が、一つの街のようになる。(プレゼンテーションより抜粋)
審査コメント
いかに家ではなくまちのようにつくるか、まちではなく家のようにつくるかが具体的に考えられている。空間のイメージだけでなく、使われ方まで想定されていて、とてもよい案。(青木 淳)
「考えるな、感じろ」というぐらい楽しい空間ができている。ドローイングや模型のつくり込みについても力量を感じる。太巻きを食べる時に感じる予期せぬ味の出会いのような偶然的な出会いが住宅で目指されていると感じた。(堀部安嗣)
模型がつくり込まれていて空間性がよく分かった。これからの建築にはこの建築のようにさまざまな人やプログラムが織り込まれた「ごちゃ感」が必要になると思う。(平田晃久)
ドローイングが綺麗で目を引き、ユニークでテーマをストレートに表現していて分かりやすい。巻いたことによる化学変化を感じられればさらによかった。(南川陽信)
優秀賞 大和ハウス工業賞
Re:雨との共生
勝山滉太(東京理科大学大学院)
作品コメント
雨が降った時に、見知らぬ建物の軒下で勝手に雨宿りができるように、雨は家を太っ腹にする。また昨今の自然災害の経験から、人間は再び雨と共生することを考える必要があるように感じる。そこで浸水危険地域の新しい建築の建ち方を考える。かさ上げ(盛土)、高床・ピロティ形式、防水の塀の三つの既存の水害対策の手法を組み合わせて、雨によって空間が変化する段々状のスキップフロアの形式とし、雨によって公私の境界線が変化する。1階の土間空間は雨の日にはカフェや地域の託児所などに利用され、パブリックな空間となる。都市において潜在的な存在である水を顕在化させ雨を許容することで、高密度な住宅街の風景は生まれ変わる。閉ざされていた敷地や住宅は、水という新しい境界線が作用し、雨のネットワークをつくる。(プレゼンテーションより抜粋)
審査コメント
コントロールされた暗さであれば暗さも魅力になる。窪地の魅力を生み出す、という点でとてもよい提案だった。(青木)
カンボジアの民家を思わせる、自然に対して建築が大らかに屈している。自然と共生するような新しい住まい方の提案にもなっている。(堀部)
緻密に空間が考えられている。薄暗くとも光が射すと美しい空間性が現れるといった、ある種の快適性をもっている。(平田)
街全体として水のことを考える、ということのよさが感じられる。水を使ったことで生まれる住まいの魅力をより伝えられる仕掛けがあるとよいと思った。(南川)
優秀賞
Manual Algorithm
河岡拓志(東京理科大学大学院)
作品コメント
千駄ヶ谷の街には多くの雑居ビルが建つ。雑居ビルはそこを使う人のことしか考えられていないケチな建築である。そこで、周辺建物を使う人、街を行く人が楽しくなることをまず最初に考える太っ腹な家を考えた。周辺に建つ雑居ビルのファサードを入力情報として、アルゴリズムによって半オートマティズム的に30戸の集合住宅を設計する。解には「街を楽しくすること」を設定。まず敷地に対してグリッドを設定し、街への圧迫感を考慮したルールによりヴォリュームを決定、決定されたヴォリュームに対して周辺の建物の素材、開口、機能を読み込むことでファサードを検討する。決定したファサードに合う室空間を配置し、連鎖的に集合住宅を計画する。(プレゼンテーションより抜粋)
審査コメント
アルゴリズムで設計すると何が変わるのかと、アルゴリズムの使い方、という二つの面で提案されている部分が面白い。また、アルゴリズムと人間の関わり方にも触れられているのも興味深い。(青木)
今日的なテーマで可能性のあるアプローチだとは思うが、アウトプットそのものには魅力を感じない。(堀部)
建築家がそこに身を置くことでできあがる半オートマティズム的な設計手法には共感は覚える。ただ完成した建築には疑問も残る。(平田)
「ケチな家」と「太っ腹な家」の定義は面白いが、周りを楽しくさせるアルゴリズムの可能性をもう少し見せてほしい。(南川)
入選
いつでもくらせる家
石崎竜一、牧内恵里子
作品コメント
太っ腹でいられる暮らし。毎日が満たされて、いざという時も満たされて誰のものでもない自然の恵みを、あたり前に享受できる家。40代後半の夫婦と10歳の娘、2歳雑種犬メスが住む家を考える。いつでも暮らせるようにするため住宅の基本性能を重視する。耐震性能は壁充足率2倍で、制震ダンパー設置、日射遮蔽性能、断熱性能を高めることで大地震が起きても使い続けられ、少ないエネルギーで快適に暮らせるように、コンポストトイレに雨水タンクなど、電気、水、暖房、トイレを確保。充電ステーションが設置された庭先は普段から開放され地域の人の憩いの場となっているが、災害時には避難場所にもなる。(プレゼンテーションより抜粋)
準動的装置と建築
池野雄貴(東京藝術大学大学院)
作品コメント
工房・住宅・ギャラリーが入る彫刻家の工房を設計する。彼が使う「道具」や「機械」が目についた。彼の息づかいや鼓動など「身体」が「道具」や「機械」と呼応するような情景に美しさを感じた。そして、建築もまた環境と身体を結びつけるものではないかと考えた。人によって動作する他律的な道具や機械、建具などは「準動的装置」、人の目的・意志・思想によって型どられる建物は「静的装置」と言えるのではないか。扉や間仕切りなどにより伸縮する部屋、回遊する階段により「身体」と呼応し揺れ動きながら佇む「準動的装置と建築」を提案する。(プレゼンテーションより抜粋)
小さな暮らしと新しい毎日
別所 匠、大石 剛、張 薇
作品コメント
太っ腹、気前がよく他人に対して分け隔てのない寛大な人物を形容する言葉。それを家としての住空間を形容する言葉に変換すると、「プライベートとパブリックの中間領域が極限まで大きく、多様な人びとのさまざまな活動を許容する空間」と言えるのかもしれない。不特定多数の人びとが利用する路地や歩道橋などの狭い通路空間に趣味を媒介としたミニマルな住空間を提案する。他者との交わりが希薄となった今日、そこでは趣味を通した交流が行われ、今までとは違う新しい住まいのあり方を考えられるのではないか。(プレゼンテーションより抜粋)
稼穡(かしょく)でつながる住まい ─ 農業六次産業化と共にある暮らし ─
笠原優一、原 麻名斗、井手 希、杉本 健
作品コメント
練馬区・大泉学園では2020年以降、生産緑地の制度解除による農地売却が進み、宅地化が加速することでコミュニティの崩壊が危惧されている。そこで宅地化が予想される農地に対し、キッチンやリビングといった住空間の一部が街に開けた住まいを提案する。これらを核にこの地域で農業を六次産業化し、生産・加工・販売を一体的に行っていくことでこの街に築かれてきた農業のコミュニティを維持し発展させていく。稼穡とは種をまき、収穫すること。稼穡を通して田園的で土着的な風景に囲まれた暮らしを提案したい。(プレゼンテーションより抜粋)
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