結果発表
2019/05/17 10:00

第7回 大東建託賃貸住宅コンペ

応募作品数:243点
受賞作品数:一般部門 11点、指名大学部門 3点
主催:大東建託株式会社
一般部門

最優秀賞

商店街がはじめる住笑混合賃貸
小林雄介(横浜国立大学)、鈴木翔之亮(フリーランス)
商店街がはじめる住笑混合賃貸
作品コメント
【敷地】
大阪府大阪市空堀商店街

【抽出した地域の課題】
現代の大型店舗の進出や、流通形態の変化によって街に取り残されてしまった商店街は空洞化したシャッター街となり、地域活性の呼び水となっていない。

【賃貸の仕組み】
商店街にお笑いを媒介とした舞台化した賃貸住宅をつくり、商店街の集客を再生する。商店街を運営する商店街組合と共に、商店街を少しずつ舞台、工房、客席を付帯する賃貸住宅としてリノベーションし、お笑い養成所といったスクールなどが入って芸人が住まいながらお笑いを発信。商店街に集客と賑わいをつくりながら場所をつくっていく。

【建築空間】
アーケードと一帯化した賃貸住宅をつくり、少しずつ建て替え(新築)を進めることでアーケードの中が更新されていく。通路上には共用廊下兼舞台が張り出し、街行く人もお笑いを手軽に楽しめる状況が生み出されている。住居スペースはやや小さめの設定。
審査コメント
商店街とお笑いを絡めたのがとても面白い。もともと商店街はリニアな空間で日本中どこにでもある空間構造ではあるが、そこに演劇性が潜在していたと気付かせてくれた。(千葉 学)

実際に実現が可能な提案だと思う。ボトムアップ的な進め方がこの場にあっていると思うが、その割には大規模な建築をつくろうとしているので、バランスをどう考えるかが大切。(赤松佳珠子)

プログラムと場との密接感があり、非常に強度のある提案になっている。場所としての魅力は十分あるが、賃貸住宅としては大切な住まいそのものの充実も考えてほしい。(横川正紀)

商店街は動きにくい組織体であるため、必ずしもボトムアップで進めるのではなく、場所の価値を一緒につくり上げてくれる企業(大資本)を巻き込む想像力があってもよかった。(連 勇太朗)

優秀賞

Bricolage Life ── ブリコライフ
七野太亮、森 健佑、黒岩祐也(大阪芸術大学)
Bricolage Life ── ブリコライフ
作品コメント
【敷地】
大阪府岸和田市

【抽出した地域の課題】
蔓延する空き家は、台風被害や老朽化によってさらに問題を深刻化させている。そこに高齢者問題やゴミの問題も付帯し、街の環境が損なわれつつある。

【賃貸の仕組み】
空き家をそこに住む人たちが好きなようにカスタマイズ、寄せ集めができる賃貸(ブリコライフ)とし、家にできてしまった空きスペースを共有したり貸し借りしたりする。

【建築空間】
だんじり祭りのある岸和田の街に、コダンジリという小さな運搬車が通れるスペースを住居や街に用意し、それが街との接点ともなり、暗い場所を明るい場所へと開く操作ともなる。空き家の解体資材がどこかの建設材料となるためコダンジリを使って街の至る場所に運ばれ、街の中にさまざまな寄せ集めの場がつくられていく。
審査コメント
仕組みの提案に偏重しており、最後に、建築家としての職能をどう発揮するのかが見られるとよかった。(千葉)

「コモンズバンク」で得られた資金を利用した賃貸システムで、多様な暮らし方をどう実現するか曖昧だったのが残念。(赤松)

本来日本の社会が持っていたコミュニティのあり方を、「コモンズバンク」を通じてつくっていく視点は面白い。(小林)

事業として考えた時、誰が最初にお金を出すのかが曖昧だった。まずはその設定がないと仕組みとして成り立たない。(連)
Color of Life
中田寛人(フリーランス)
Color of Life
作品コメント
【敷地】
滋賀県長浜市菅浦集落

【抽出した地域の課題】
鎌倉時代から続く集落での過疎や高齢化問題は深刻化し、コミュ二ティが失われようとしている。

【賃貸の仕組み】
水辺の地域であることを生かし、染色産業を軸としながら賃貸住宅と共存させる。職人として暮らす住人が生業のありようを集落全体に広げていく。飾られる反物は観光客に向けて発信し、雇用や建替えの仕組みとなっていく。

【建築空間】
染色作業行程が四方に見える場所でありながら、周辺住民や観光客にとっては地域のランドマークとなるよう、ウチソトの関係が外部に表出する空間構成をつくる。
審査コメント
小さなまちが、地域の生業を通じてどう再生していくかという状況に、賃貸住宅を上手に入れ込んだ提案だと思う。(千葉)

個の場所としては魅力的な提案だが、集落全体との繋がりが見えてくるともっとよかった。(赤松)

過疎や高齢化が進んだこの集落で何ができるかを、熱意を持って調べ上げたことが非常によく伝わってきた。(小林)

新規事業の立ち上げなので、誰が何のためにこの賃貸住宅をつくり、どう継続させていけるのか、明確にしてほしかった。(連)

佳作

都市バナキュラー住居から集落へ
松本 樹(愛知工業大学)
都市バナキュラー住居から集落へ
保育園に暮らす
大熊美菜子(みなこ建築設計事務所)
保育園に暮らす
東雲の庭
川本 稜、山口大樹(京都大学大学院)
東雲の庭
繋がる事は良い事だ
伊藤拓海、中里翔太(日本大学)、池田 光、大沼謙太郎(日本大学大学院)
繋がる事は良い事だ

学生特別賞

ギフトのめぐる暮らし
羽田崇人、押川 快、吉田穂波(北海道大学大学院)
ギフトのめぐる暮らし
カバタの共同賃貸コミュニティ
大崎真幸(神戸大学大学院)
カバタの共同賃貸コミュニティ
MOSAIC
松尾真利、甲斐雅人、高橋弦士朗、福井颯人(山口大学大学院)
MOSAIC
7つのアタマ
櫻井友美(千葉工業大学大学院)
7つのアタマ
指名大学部門

最優秀賞

銭湯のあるまち ── 森林とリンクする賃貸住宅
信州大学 寺内美紀子研究室
(斉藤知真、有田一貴、加藤知紀、齋藤 裕、鈴木 巧)
銭湯のあるまち ── 森林とリンクする賃貸住宅

優秀賞

加勢する賃貸住宅
九州大学 末廣香織研究室
(丸山智也、田代拓也、河村悠希、崎元 誠、東 大貴、荒木俊輔、原 良輔)
加勢する賃貸住宅
100日試住賃貸 ── 金沢における「まちなか試住」の提案
金沢工業大学 竹内申一研究室
(塚越喬之、西川公貴、舟生圭吾、森 大輔)
100日試住賃貸 ── 金沢における「まちなか試住」の提案
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