結果発表
2024/07/31 10:47

第23回 CSデザイン賞 一般部門

主催:株式会社中川ケミカル

応募作品数:148点
受賞作品数:13点

グランプリ

明日は遊園地へ行こうね
ディレクター:Liisa
明日は遊園地へ行こうね
作品コメント(一部抜粋)
マンガの制作法を用いながらも、言葉に頼らないで受け手に「経験」を与える作品を目指してきた。何がマンガたりうるのか、セリフや擬音を欠いたマンガとその物語性の可能性と限界はどこにあるのか ── マンガの存立条件そのものも探りながら制作している。100年後にはマンガは美術史における重要なジャンルとして記録されていると予測できるものの、芸術とマンガには今のところ大きな隔たりがある。この歯がゆい状態は双方にとって大きな損失ではないか。逆に言えば、このトピックに探求の照準を合わせることで、漫画とアートもさらに進化させることができるかもしれない。
いまや廃れつつあるスクリーントーンを継続させたいという思いから、普段の制作で商業マンガに使われるインクとスクリーントーンで作品を制作している。

準グランプリ

studio souriant
ディレクター・デザイナー:三宅慶輔(tyto)
デザイナー:寒 友哉(bubo)
クライアント:石井昌生
フォトグラファー:中辻 亮(YOSO)
studio souriant
作品コメント(一部抜粋)
二階建ての倉庫をリノベーションし、フォトスタジオとした。一階は様々な目的で使用できるフォトブースを持ち、二階はコスプレイヤーへ向けたプライベートな撮影を目的としたライブステージが組まれている。被写体と撮影者の閉じた関係性だけではなく撮影時に観客をもまきこんだにぎやかな空間となるよう、一階にはフォトブース以外に多目的に使える緩衝スペースを設けた。モノクロで無機質な内装になりがちな業態ではあるが、できる限り倉庫の状態を活かしながら、非現実感を付加することで、観覧者を含む来客者全員にとってこの場所がシンボリックなスタジオになるようにデザインした。白と赤の二色をテーマカラーとし、扉を赤色のフィルムで装飾した。サインとして訴求力を高めるだけではなく、外部からの視線をある程度遮る役目を持たせている。
大成建設関西支店ビル グリーン・リニューアルZEB
ディレクター・デザイナー:脇崎拓也(MOTIVE Inc.)
建築設計:大成建設株式会社 関西支店
クライアント:大成建設株式会社
施工:大成建設株式会社 関西支店
フォトグラファー:神藤 剛(201 LLC)
大成建設関西支店ビル グリーン・リニューアルZEB
作品コメント(一部抜粋)
大成建設関西支店のサイン改修プロジェクト。この改修プロジェクトは「グリーン・リニューアルZEB」と呼ばれ、日本政府が掲げている2050年のカーボンニュートラル実現のために大成建設が取り組む既存建物のZEB化を推進する事業で、大成建設グループが所有する建物で実践するプロジェクトの一つとなります。オフィスビルの多くは各階が画一的な空間構成となり、階を上下動することによって利用者が現在階の認識を失うという特徴があります。また、利用者の多くは建物を日常的に利用するワーカーであり、何日か過ごせば空間に順応できるため、空港やショッピングモールとは違い「トイレがどっちか」といった情報はそれほどニーズが高いわけではないという特徴があります。
オリエンテーションデザインの目的は利用者が空間に順応することであり、こういったオフィスビル特有の情報ニーズを把握してデザインに取り組みました。
衝突防止
原画・アートディレクション:五十嵐威暢
デザイン:羽田麻子
サインデザイン:羽田健一(ハダ ステュディオ)
インテリアデザイン:飯田善彦・山下祐平・塚本安優実(アーキシップスタジオ)
照明デザイン: 岩井達弥・田部武蔵(Lumimedia lab Inc.)
クライアント:五十嵐威暢アーカイブ(金沢工業大学)
施工:ヨシダ宣伝株式会社
撮影:羽田麻子、對馬康博 
衝突防止
作品コメント
金沢工業大学のライブラリーセンター内にオープンした「五十嵐威暢アーカイブ」サイン工事にあたり、二つの自動扉のガラス面と収蔵庫のガラス面に衝突防止が必要になった。制約の多い既存建築の改修設計で選択されたのは床から天井まで繋がる美しい透明ガラス。危険は回避しなくてはならないが、ありふれた衝突防止を目立たせることもしたくない。それならばいっそのこと、五十嵐本人が描いた原画を新作のアートワークにしよう。わずかに透過するカッティングシートで、草原の風の流れを感じるようなアートワークが実現した。 

優秀賞

Sony Park展 KYOTO
ディレクター:色部義昭(株式会社日本デザインセンター)
デザイナー:安田泰弘(株式会社日本デザインセンター)
プランニング:Ginza Sony Park Project(ソニーグループ株式会社、ソニー企業株式会社、ソニーPCL株式会社)
クライアント:Ginza Sony Park Project
プロダクションマネージャー:ソニーPCL株式会社
施工:塩生一博(株式会社脇プロセス)
フォトグラファー:岡庭璃子(株式会社日本デザインセンター)
Sony Park展 KYOTO
作品コメント
一時閉園したGinza Sony Park最後のプログラム「Sony Park展」の京都巡回展「Sony Park展 KYOTO」のキービジュアルおよび展示空間サインの制作です。展示プログラムを構成する六つの展示を6色のカラフルなアルファベットで表現し、バス停のようなサインを制作しました。サインを広大な展示会場の展示ゾーンごとに配置し、京都新聞工場跡地の空間に彩りを加えつつ、目印となる標識として人の誘導を促しました。また、工場にもともと貼られていた黄黒のトラテープをモチーフに、会場内に6色のトラテープを新規に設置し、遊びのある表現で動線として機能させ、工場のシズルを活かしつつ、Sony Park展の特色を取り入れたサインを展開しました。
Constellation.
ディレクター:長谷川裕也(株式会社FiG)
Constellation.
作品コメント(一部抜粋)
横浜某所の会員制デザートバー、Constellation.
この街が放つ魅力は新しさだけでなく、保全された建造物や交易を行うための街の構成等から感じる時間の深みに見られる。高次元の非日常空間を体現すべく、ステージとなるカウンターに到達するまでに異なる二つの空間を設けた。そしてそのどれもが、デザートやカクテル造りの中で行われるプロセスから導き出した意匠である。

-Layer-
この先の空間すら覆い隠すような、重層的なマテリアル。重なりによって生まれた鏡が映し出す、虹色の光に導かれるエントランス。

-Wrap-
ひとひらの布のような、ひと繋がりの壁と天井。無限に続く青の静寂に包み込みアプローチによって精神を現実から切り離す。
静かな詩のように
ディレクター・デザイナー・施工:奥間 空(半山株式会社)
クライアント:半山株式会社
フォトグラファー:滝畠豊美
静かな詩のように
作品コメント
作者は詩人としても活動しながら、言語を使ったアート作品の制作もしております。そして、言語を駆使してアート作品を制作するうちに「美術館やギャラリーなどの場にある言葉を使った作品は言葉を読みこむこと多少なりともストレスがかかるのではないか?」という仮説を打ち立て、“言葉を読む作品”ではなく“言葉を鑑賞する作品”ができないかと考えてきました。今作では前半は“言葉を読む作品”として詩人である自己を紹介し、後半から“言葉を鑑賞する作品”としてアーティストである自己を紹介する作品となり、詩人、アーティスト両方の奥間空を提示できる作品になっております。
ニセコ町役場
ディレクター:鎌田順也(KD)
デザイナー:鎌田順也・小山 桃・伏見やよい・吉本 愛(KD)
クライアント:ニセコ町
施工:株式会社赤帽子
フォトグラファー:藤倉 翼(エアバックス)
建築:村國 健・高橋幸宏(株式会社アトリエブンク)
ニセコ町役場
作品コメント(一部抜粋)
ニセコ町は、羊蹄山とニセコアンヌプリが特徴の自然豊かな町で、羊蹄山は富士山によく似たその整った姿から、蝦夷富士とも称され、北海道の代表的な山として認知されています。ニセコ町は子育て支援に力を入れており、子どもとの関わりを大切に考えていました。大人だけでなく、子どもたちにも町役場にもっと興味を持ってもらうことが重要だったのです。また、ニセコ町は環境モデル都市に認定されており、子どもたちにも環境意識を高めてもらう必要がありました。この役場のサイン計画は、サインとしての機能だけでなく、子どもたちに環境の大切さを伝え、子どもたちが積極的に役場に関わることができるよう設計しています。町長室は、ドアが動いて山の気候を表すピクトグラムになるため、子どもたちに人気の場所になりました。
安平町立早来学園
ディレクター・デザイナー:鎌田順也・栗本裕介(KD)
クライアント:安平町立早来学園
施工:株式会社シープ
フォトグラファー:岡庭璃子
フォトグラファー:藤倉 翼(エアバックス)
建築:菊池規雄・青砥由里香(株式会社アトリエブンク)
安平町立早来学園
作品コメント(一部抜粋)
安平町は、マグニチュード6.7の北海道胆振東部地震で、家屋が倒壊するなど甚大な被害を受け、小学校と中学校が壊れて使えなくなってしまいました。このプロジェクトは、壊れてしまった学校を震災の復興のシンボルとして生まれ変わらせるプロジェクトです。「支える手、つなぐ手」という学校のデザインコンセプトに基づき、サインシステムに「希望を象徴した手」を使用。
教室の目印には、子どもたちが描いた様々な「支える手、つなぐ手」をレイアウト。町の復興を支えた人々の手、町の未来をつくる子どもたちの手を表現しています。また、各教室名は、新1年生として入学してくる子どもたちの書いた文字を使用し、「違いに寛容で最適解を見つける教育を大切にしていきたい」という学校の想いを表現しました。

中川ケミカル賞

100 colors no.43「100色の記憶」
ディレクター・デザイナー:エマニュエル・ムホー(株式会社emmanuelle moureaux)
フォトグラファー:志摩大輔(ad hoc inc.)
100 colors no.43「100色の記憶」
作品コメント(一部抜粋)
43作目の「100 colors」インスタレーションは、東京の六本木の中心に位置する複合ビル、六本木ヒルズの開業20周年を記念して製作された。常に人々が行き交う超高層ビル、森タワーの麓に、100色の色彩を重ね、「記憶」の層を抽象的に表現したインスタレーションを発表した。
100色で彩られた層が織りなす、記憶を辿るインスタレーション。小さな数字が幾重にも重なり合い、年号が浮かび上がる。その年号は六本木ヒルズが開業した「2003年」から20年を迎えた今年「2023年」。現在を表す一番手前の層は「白」で表現され、残りの50層は奥に流れるにつれて年月が遡る「記憶」を100色のグラデーションで視覚化した。本作品は、51枚の大きな透明アクリルパネルに合計20万1552個の年号を表す小さな数字を並べ、長さは12.5mまで達した。
GINZA POET-GRAPHY
アートディレクター:村上雅士(emuni)
デザイナー:村上雅士・太田香織(emuni)
クリエイティブディレクター・コピーライター:富永省吾・綿野 賢(LQVE inc.)
クライアント:東京クリエイティブサロン 銀座エリア実行委員会
エージェンシー:新東通信 + LQVE inc.
フォトグラファー:山城健嗣
GINZA POET-GRAPHY
作品コメント
日本のクリエイティブを世界へ発信するイベント“TOKYO CREATIVE SALON”にて行った、銀座でのインスタレーション。和光や松屋など、銀座を代表する商業施設のショーウィンドウや壁面、仮囲いから地面に至るまで、あらゆる場所をグラフィックオブジェクトと現代詩でジャック。まるでビジュアルが街の中へ侵食しているかのような違和感によって、イベント会期中、街行く人々の視線を奪った。
相談支援事業所 kai
デザイナー:松本直也(株式会社松本直也デザイン)
ロゴデザイン:角谷 慶(Su-)
カリグラフィー:田中紗樹
クライアント:森口 誠(一般社団法人暮らしランプ)
施工:古塚亮平(株式会社創心社)
フォトグラファー:浅野 豪
相談支援事業所 kai
作品コメント
アイコニックな大きな円にスリットを入れ視覚を緩やかに遮り、利用者にとって貝の中にいるような落ち着きのある場所を確保しながら、この街にとって開放的で親しみやすい「みんなの秘密基地」のような場所になればと考えました。もちろん円弧とテーブルはkaiだけに二枚貝イメージです。
イトーキ 大阪ショールーム ミーティングスペース
ディレクター:星 幸佑(株式会社イトーキ)
デザイナー:彌島知佳(株式会社イトーキ)
クライアント:宮本康裕(株式会社イトーキ)
施工:岩田真理子(株式会社大阪田建)
フォトグラファー:河本茂晴(株式会社ジー・コンセプト)
イトーキ 大阪ショールーム ミーティングスペース
作品コメント
イトーキ 大阪ショールーム内にある、社員および来訪者が利用する会議フロアの改修計画。改修前の事務的な印象からの脱却を目指し、ニュートラルカラーをベースとした上質でホテルライクな空間を設計した。しかし、フロア中央に計画したブース形状のミーティングスペースというものは、しばしば、閉鎖的かつ事務的な印象を伴う。そこで、ブースを構成するガラスパネルに、IROMIZUのオレンジとグレーの重ね貼りで装飾することを計画。透明なニュアンスカラーでガラスパネルを彩ることにより、より開放的で上質な雰囲気を生み出した。さらに、色が付いたガラスは、開放的でありながらブース間の心理的距離の確保にも質する。「打合せの場」としての機能性と、「空間演出」としてのデザイン性が両立したミーティングスペースを実現させた。
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