結果発表
2023/03/30 10:00

CLT DESIGN AWARD 2022 ─ 設計コンテスト ─

応募作品数:181点
受賞作品数:4点
主催:一般社団法人日本CLT協会

農林水産大臣賞

「北の玄関口」JR上野駅
川口哲太郎(株式会社NTTデータ)
「北の玄関口」JR上野駅
作品コンセプト(一部抜粋)
「北の玄関口」として永く親しまれてきたJR上野駅の役割を未来へと繋げるため、派手な再開発を行うのではなく、利用者にそして地域に寄り添える駅舎とします。CLTの木質は、見た目の温もりはもちろんのこと、カーボンニュートラルの取り組みへも貢献し地球にまで寄り添うことのできる工法です。面材としての使用をはじめ、線材としてまた、既存柱のコンファインド効果を期待する新たな取り組みにも挑戦します。構造と一体となった無駄を省いた木質空間は、ラッシュ時の混沌とした空間に安らぎを与えることとなります。すべてを刷新してしまうのではない、ファサードの形状や中央改札口の光天幕・翼の像など過去から引き継がれる上野の風景を大切にしたく考えます。
審査コメント
壮大な構想を細かく考え、いろいろな要素を入れて作り込まれており、それらをしっかりと表現できている点が高く評価されました。時代ごとの工法が、パッチワークのように積み重なってきている上野駅に、この時代の新しいCLTをとり入れ、木造のものがさらに重なっていく様子は非常に面白みがあります。また、都市における木材利用に関して意欲的に取り組んでいることも評価されました。

国土交通大臣賞

“時に”寄り道する ~未来を創り進化し続ける駅~
町田綾捺(広島工業大学)
“時に”寄り道する ~未来を創り進化し続ける駅~
作品コンセプト
大山街道の宿場町として栄えたこの地、そして2027年リニアモーターカーの到着駅となる橋本駅で、過去と未来の結節点として「立ち止まる駅」を提案する。この駅は過去、現在、そして未来において共通して人の往来が激しい。かつては、参列のための休憩所として立ち寄る場所であった。しかし現在では、ただ通り過ぎるためだけの駅、進んだ先のみが目的の駅となっている。そこで、未来では立ち止まることを目的とした、そこだけ時間の流れが穏やかになるような駅を提案する。未来はこうなっていると思う。リニアモーターカーに乗ることで時間を買う人やプチ旅行として関西圏から訪れる人、地元に帰る人、通学する人。同じ時間でも体感速度は様々だ。だが、この駅に訪れた時だけは一様に穏やかな時間が流れるだろう。温故知新のイノベーションを目指した未来を創り進化し続ける駅だ。
審査コメント
CLTのマザーボードサイズ(3m×12m)を最大限活かし、CLTの厚い板と厚い壁の使用が綺麗に表現されているシンプルで潔い仕組みは、多くの人が受け入れるスタンダードな駅になりうる提案であると評価されました。また、駅を通して、人々が様々な出会いをする、往き来するイメージが浮かぶこと、将来をポジティブに捉えて、発展していくような構想を感じさせることが高く評価されました。

環境大臣賞

CLTの扇で織る駅
チーム名:wasa
孫 銘遠(神奈川大学大学院)、王 宇傑(Architectural Association DRL)
CLTの扇で織る駅
作品コンセプト
老齢化と少子化問題がある徳島県の日和佐という小さい町は、毎年大きな祭りが開催される時、小さな駅では一時的に多い観光者に対応できない。薄いCLTパネルを最大限に活用し、扇の形で駅を増築する。お祭りや大きなイベントの際に仮に設置し、大量の観光客に休憩や雨よけ、日よけ場所を提供しながら、地域の特性をアピールする。日和佐駅の沿線牟岐線の隣に木材加工工場や再生森があって、駅の近い場所に生産し、各駅に支援できる。CLT駅の角度も調整できて、各駅の大きさによって対応できる。まだ使わない時に町に設置し、バスのりばや花壇やパビリオンなどの施設として使われる。町の公共施設不足問題も解決できる。地域の活性化や経済に貢献する。
審査コメント
CLTで可動式の扇型屋根を作り、移動、回収も可能で、沿線駅等で必要に応じて活用できる折版構造をとり入れた作品です。扇子のように屋根を開閉させる仕組みをCLTで考えるという新鮮な発想が評価されました。駅に合せて開き方の度合いをコントロールできる構造の面白さと、省エネ型の輸送で環境負荷の低減に配慮されている点、架線上空を仮設なしで施工できる点も魅力的であると評価されました。

日本CLT協会賞 学生賞

とどまることを知らない ~未来を創り進化し続ける駅~
菊堂 颯(広島工業大学)
とどまることを知らない ~未来を創り進化し続ける駅~
作品コンセプト(一部抜粋)
宮島口駅を設計するうえで、テーマを駅とするのではなく広島の玄関口として捉え、都市の顔となるようにしようと考えた。CLTの活用と関連付けて宮島での厳島神社の鳥居に着目した。鳥居とは、神社の神聖さの象徴・神社の内と外との分ける境になることを意味するため、駅では玄関口としての駅・ホームと改札との境界として捉えて宮島の要素も取り込んだ。オープンパブリックプラザを意識することで、いろいろな用途で人を呼び込み、モチベーションによる行動の変化が起こるとも考えた。私が駅で不便だと感じたことは、立ち続ける時間が長いことである。座る場所も勿論あるが、数が少なく多くの人は座ることができない。そこをCLTの組み合わせによってその問題を解決に近づけることができた。CLTは主に柱・梁・床(これらは集成材)以外で用いており、それに加えてペデストリアンデッキにも用いている。
審査コメント
存在感のあるスケールの大きい門構えは、厳島神社の鳥居を連想させる魅力的な作品であると評価されました。マザーボードの大きさを意識して取り組んでいる点は好感が持て、駅とフェリー乗り場までをCLTを用いたデッキで繋ごうという提案は非常に意欲的であり、観光資源としての魅力も感じると評価されました。審査委員からは、「もっと大スパンにするとさらに良かった」、「この地の特性として、商店街を通る計画も併せて考えてもらいたい」とコメントがありました。
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