結果発表
2016/08/22 10:00

第22回 ユニオン造形デザイン賞公募

応募作品数:150点
受賞作品数:13点
主催:公益財団法人ユニオン造形文化財団

最優秀賞

記憶形 ─ 15の記憶形に形作られる‘ドア’ ─
佐野勇太(メルボルン大学大学院 建築デザイン専攻)
記憶形 ─ 15の記憶形に形作られる‘ドア’ ─第22回 ユニオン造形デザイン賞公募
作品コンセプト
もう少しでこの街を離れなければならない。心に残る記憶に形を与え、一つの記憶形として建築化する。それは私の15の記憶の混ざり合いによって創造される建築である。ある街の、あるドアがその内側に隠れた空間の様相を映し出すように。その建築は、その街で私個人が過ごした時間を超え、私自身が感じた空間を超え、人間各々がこれまで携えてきた記憶に語りかけ、形作られる。それはつまり各々の記憶を基に、形を変え、素材を変え、機能を変える。その瞬間、その創出空間は私の15の記憶を超越する。私たち一人一人が、ある対象に対してそれぞれ違った記憶を持つように。私たちはこの建築において各々の‘ドア’を各々の記憶と供にデザインする。その‘ドア’は時に大きく、時に小さい。その‘ドア’は時に硬く、時に柔らかい。その記憶の‘ドア’に呼応して形作られる記憶形は時にどこまでも広がり、建築の更なる可能性を呼び起こす。

優秀賞

地球の反対側と暮らす
小林 良平(東京藝術大学 美術学部 建築科 教育研究助手)
地球の反対側と暮らす第22回 ユニオン造形デザイン賞公募
作品コンセプト
本提案は、地球の反対側に位置する部屋と部屋をどこでもドアで繋ぎ、1つの空間を2人でシェアするシェアハウスの提案である。なお、本提案はどこでもドアの存在を仮定している。地球の反対側は時刻が12時間異なり、季節は真逆である。また、日の出と日没の時間は1年中同時刻となる。朝夕の食事を共にし、それ以外は別々に過ごす2人のシェアハウスを考えた。どこでもドアはV字型をしており、互いの領域を柔らかく調整する。外出及び就寝中の領域は小さく、室内で活動中の領域は大きくなるように開く。V時の谷間は、共有のダイニングや個人のワークスペースとして利用される。北側を繋ぐことで、常にどちらかに太陽が昇っている状態となるため、日中と夜間の気温差を小さくできる。また、季節が反対の場所を繋ぐため、例えば、夏と冬の場合は、夏の高温多湿な空気と冬の低温低湿の空気が混ざり、偏りのない快適な空気環境を維持できる。
3mmの都市の奥行き
齊藤 誠、武田慎平(共同制作者)、田中和沙(同左)
3mmの都市の奥行き第22回 ユニオン造形デザイン賞公募
作品コンセプト
今まで都市を断絶していた仮囲いに扉が生まれ、周辺環境を受け入れていくようにその扉が開き始める。その向こう側に見えるものは厚さ1mmの線遠近法面と、厚さ2mmのアクリルミラーによる移りこみが作り出す厚さ3mmの豊かな都市の奥行きである。これにより、仮囲いが作り出していた平面的な都市の体験に奥行き性が取り戻されていく。そして、都市を断絶するバリアは周辺環境に解け込み仮囲いは都市環境と新たな関係性を結んでいく。そこには実際の空間がつくりだす奥行きではなく、人が知覚できる奥行きしかない。重要なことは仮囲いに生まれる意識的な奥行き感を取り戻す事。それにより仮囲いと都市環境に、より良い関係性を結ばせ、都市を断絶する圧倒的な境界を解かし込んでいく事。この取り組みは豊かな都市空間を作り出すための一つの提案であり、都市に潜むバリアを解消していくための投げかけである。
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