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2023/05/11 10:00
AAC2023ポスターコンペ《学生限定》
グラフィック・ポスター
学生向け
応募作品数:284点
受賞作品数:9点
主催:株式会社アーバネットコーポレーション
最優秀賞
試行錯誤
松井寛太(多摩美術大学 美術学部 グラフィックデザイン学科)
受賞コメント
この度は素敵な賞をいただきありがとうございます。
立体作品のコンペということで、金属をモチーフに、空間や場を意識して制作しました。
学校の課題ではやらない、商業用のポスターということで、文字の多さやロゴなどに悪戦苦闘しながらも、ブラッシュアップを進めていくに連れ、良くなっていくのが自分でも見て取れたのでとても楽しかったです。刷る紙やインク等も表現にあったものを自由に選べ、実際に出来上がったポスターを見たときはとても感動しました。本当にありがとうございました。
審査コメント(上西祐理/一部抜粋)
昨年度に引き続き審査をさせてもらいましたが、コンペの面白いところは同じお題に対して多様な答えが集まるところ。昨年と同じ募集のはずでも、また全然違うものが多く集まり、とても面白く拝見させていただきました。
今年も引き続き、平面グラフィックにおける「立体性・空間性」への挑戦には関心を置き審査しました。
グランプリの松井さんの作品は小さく細かな金属片のようなものの集合体が画面内を大きくうねっており、遠くから見ても近くから見ても面白い作品です。質感へのアプローチも他にトライしてる人があまりいなく、新鮮に映りました。またコンペ後のブラッシュアップで、文字の整理、文字とビジュアルの関係、画面内の空間性、印刷への定着、などなどでさらに良くなり、松井さん粘ってよく頑張りました。
…
審査コメント(宮本武典/一部抜粋)
…
松井さんの作品は、立体コンペなのに映像的というか、フォントやガラスのような欠片たちが紙の上で流動・結合して、何か未知のイメージを生成しようとしていて、背景に私の世代とは異なるデジタルネイティブの世界観も感じ、引き込まれてしまいました。今はまだ何者でもないけれど、これからアート/デザインの担い手になる学生諸君を応援するAACのポスターに相応しい提案だと思います。
入選された8名にも一言。エントリーした他の同世代とみなさんとの間には、実はほとんど差はありません。では何が評価されたのか?その理由を本当に理解するには、この先もまだまだ学び続けなければいけません。それはセンスや技術だけじゃなくて、デザインとアートの成り立ちと現在形、そしてそれらを包括するヨノナカや世界の文脈を知ること。この文脈を賢くおさえてこそ、新しいイメージを生み出すことができるのです。
たくさんチャレンジしてください。みなさんの今後の活躍を期待します。
入選
作り手
梅原香織(町田デザイン&建築専門学校 イラストレーション科)
審査コメント
初見では「これぞ平面構成」という凡庸な印象を受けたのですが… 眺めているとだんだん重なった手と、その下に落ちた影のレイヤーが、平面であるはずの紙に浅い空間を生み出していきます。「壁に貼られた大きな紙」だからこそ視覚コミュニケーションというか、デザインを学ぶ人なら誰しも通る青春時代という感じ。ネットの時代にこういう「あえて素朴、原点回帰」な表現を戦略的に使いこなせると強いんですが。梅原さんはどれくらい意図的だったのかな?(宮本武典)
予感と嘘
一條遥貴(武蔵野美術大学 造形学部 建築学科)
審査コメント
建築の学生さんらしいビジュアルですね。AACはマンションの共有部に設置する彫刻のコンペなので、受賞作にはその空間(が帯びている価値観や生活水準)にふさわしい完成度や洗練性が求められるのですが、この方は学生さんなのに、そのクライアント側のトーンに見事に合わせてきたなと思いました。ただ、タイトルにある「嘘」と球体の関係性が気になります。こうした整いすぎたデザインにアートの諧謔を紛れ込ませたということなんでしょうか? 授賞式で意図を教えてほしいです。(宮本)
遠近法による作図
野口陽向(東京工芸大学 芸術学部 デザイン学科 グラフィックデザイン)
審査コメント
大きく画面を貫く黒い線状のAACの文字の色面が、画面の中に遠近感を作り、空間を生み出している。シンプルに削ぎ落とした要素と大胆さが魅力であり、遠目にも目を引く潔いポスター。
ミニマルである分、より厳密に練られたコンポジションや、オリジナルな視点や要素が入ると、さらにぐっと良くなると思います。(上西)
自然の芸術
賀来竜之輔(倉敷市立短期大学 専攻科 服飾美術専攻 デザインアートコース)
審査コメント
手をモチーフにしたポスターはたくさんありましたが、画面いっぱいに広がるザクザクと切られたような手のシルエットの自由さが印象的なビジュアル。
ピンクのベタ面と、切り取られた土や球体の写真が、どちらが手前でどちらが奥なのか、不思議な空間性を持たせており、じっと見ていたくなります。抽象性の高い、手のひらに浮かぶ白い球体も効いています。(上西)
原石【若き表現者たちのもがきと答え】
藤田彩花(愛知県立芸術大学 美術学部 デザイン・工芸学科 デザイン専攻)
審査コメント
巨石のような塊がデジタルの砂嵐のような表層でできており、プリミティブとテクノロジーのかけあわせに面白さを感じます。
立体の面に対しテクスチャがもっと沿ってみえれば、立体感が出ることで画面内に奥行きが生まれ、面白さがさらに出たかもしれません。
表層のテクスチャである2D表現と、立体である3D表現について、より考えて掘ってみると面白そうです。(上西)
立体って、いったい?
安井 蒼(デジタルハリウッド大学 デジタルコミュニケーション学部 デジタルコンテンツ学科 デザイン専攻)
審査コメント
デジタルの表現を学んでいる学生さんということで、作者本人の「なんで立体?」という問いが素直に出てますね。確かにこれだけ娯楽のデジタル化が進み、VRやNFTの出現などアートの領域も急激にウェブへと拡張しているので、デジタルネイティブの若い世代にとって「いまどうしてアナログな立体(彫刻/工芸)なの?」ですよね。そんなZ世代からのリアクションが、この種のアート系コンペでは異質なポスターになったと思います。韻を踏んでいるのも良い。アートの文脈をおさえた上でこの脱臼感を出せるとプロの仕事になるんですけど。(宮本)
個性
柏谷明梨(愛知県立瀬戸工科高等学校 工芸デザイン科)
審査コメント
高校生なんですね! ポスターは公共空間に貼られるメディア。美大の掲示板に、この「コンペに参加しよう!」というピクトグラム(=当人が意識したかは不明ですが)的なビジュアルは作用しそうですね。タイトルは「個性」なのに、3人の人物は記号的。対して彼らが抱えている作品は三者三様で、「見た目は同じ若者」でもアートは内に秘めた「個性」を表出させる、という意味なのかな。個性といえば、このポスターは表現もカラーリングもなんとなく「無印良品」っぽいですね。MUJIみたいにもっと日常の中に上手にまざっていくアートのアプローチがあっていい。MUJIで椅子を買う気軽さで、好きな彫刻を買って帰る、そしたら暮らしが少し面白く変わっていく、みたいな。才能もモノも組み合わせたときに「個性」は生まれてくるのかも。(宮本)
可能性は無限大
柴崎里花(広尾学園高等学校 インターナショナルコース)
審査コメント
複数の人が複雑に絡み合ったようなビジュアルは、それ自体が彫刻作品のようでもあり、見る人の足を止め、これはなんだろう? と思わせる魅力があります。
人のようなシルエットは手足が目立っており力強く、グラデーションの綺麗な円もエネルギーに溢れていますが、それらを引き立てているライトグレーの部分に大人っぽい狙いを感じます。(上西)
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