流山おおたかの森S・C グラフィックアワード2023
募集内容

流山おおたかの森S・C FLAPS1F イベントスペースのガラス面を彩る空間グラフィックを募集します。

審査員
  • 原田真宏
    MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO 共同主宰、建築家
  • 河尻和佳子
    流山市総合政策部 マーケティング課 課長
  • 小沼俊一郎
    流山おおたかの森S・C 東神開発株式会社 SC事業本部 千葉事業部長
  • 特別審査員:中川興一
    株式会社中川ケミカル 代表取締役社長
  • 大賞 1点 : 賞金20万円
  • 優秀賞 2点 : 賞金5万円
  • 入選 7点 : 賞品・記念品など贈呈
  • ※大賞作品は実際に施工し、流山おおたかの森S・C FLAPS1F イベントスペースを彩ります。(2023年11月展示開始予定)
募集期間

2023年6月29日(木)~9月13日(水)23:59まで

審査方法

各賞(大賞1点、優秀賞2点、入選7点)を、審査員により選考します。

  • ※一般投票は行いません
応募総数

58点

大賞

オオタカのモリ

「オオタカのモリ」
原木 梢

駅を降りると、おーっきく広がるおおたかの森の玄関口「森のまち広場」。ワクワクして向かう人、めいっぱい楽しんで帰る人。玄関であるこの空間で、おおたかの森だけに、まさに“オオタカ”にお出迎え・お見送りされたら素敵だな!と思い制作いたしました。おおたかの森でオオタカと出会える場所♪ たくさんの方にお花を受け取ってもらえると嬉しいです。

FLAPSイベントスペース内に施工した大賞作品

施工風景
※現在はライトアップは終了しております。

優秀賞
  • キラキラ

    「キラキラ」
    小川このこ

    笑顔のたえないまち
    子供が笑顔で遊んでいるイメージのあるシャボン玉をテーマにしました。キラキラと色の変化を楽しめるように、流山おおたかの森での日常のあらゆる変化を楽しんで欲しいという思いと一瞬で消えてしまうシャボン玉をビジュアルに起こすことで笑顔が消えない、笑顔のたえないまちにこれからもなって欲しいという願いを込めました。

  • Kakurenbo

    「Kakurenbo」
    鎌田未波

    流川おおたかの森に様々な動物達が遊びに来たイメージで制作しました。豊かな木々に身をひそめ、かくれんぼをして楽しんでいる様子です。影絵を感じさせるよう色数を絞り、タッチでテクスチャを表現しました。モチーフを大きく配置したので、買い物の待ち時間など動物達と一緒に隠れて遊んでもらえたら嬉しいです。

入選
  • オオタカが集まり、森になる

    「オオタカが集まり、森になる」
    山口 慶

    流山市は「準絶滅危惧」に指定されているオオタカを市の鳥に制定、学校や駅名にするなどオオタカを重要な文化財としたまちづくりを行っている。そのオオタカがこれからも繁殖して集まることで、地域を盛り上げる新しい「おおたかの森」となっていくことを象徴したグラフィックにした。抽象的な造形の連続で表現することで、「鳥」らしさよりも、ビジュアル全体で「森」のような豊かな表情になることを意識した。

  • 月と虹と太陽と

    「月と虹と太陽と」
    @k10

    まちの玄関口への展示なので、まちのアイコンとも言えるオオタカを、童話の世界のような世界観で、幅広い年代の人に楽しんでもらうことをコンセプトとしました。白い部分は全て透明で、写真を一緒に撮って楽しむことを前提に、カラフルな配色にしました。絵の手前に立つか、外から覗き込むか、また室内から撮るか屋外から撮るかなどで、世界観に溶け込む方法を考えて遊べるようにデザインしました。

  • 君といっしょに

    「君といっしょに」
    松田悠花

    緑溢れる爽やかなおおたかの森を、様々な人が親しめるイメージで表現することを目標に製作しました。優しい緑が溢れるこの地にはおおたかが住み着いており、一緒に遊んでくれる人を、いまかいまかと待っています。葉っぱの隙間や茂みに隠れてかくれんぼを楽しむのもよし、正面に立っておおたかと一緒に記念撮影をするのもよし。おおたかの森を訪れる全ての人が楽しめる空間を作るきっかけとなってくれれば嬉しいです。

  • 粒子の共鳴

    「粒子の共鳴」
    小牧希実

    人々が集まった広場には笑顔、歓声、会話が共鳴していた。全員が知り合いのようにも見えるその様子は皆がこの地を愛し、誇りを持っているからなのだろう。この奇跡的な形で現れた愛が繋がり、育まれ、生活を豊かにする様をカラフルな粒子に例え、集まった粒子が1羽の大鷹を形成し羽ばたいていく様をおおたかの森の未来に重ねた。木々の隙間から鮮やかに表れる姿が雨上がりの虹のように、空間や人々の心に彩を添えることを願って。

  • 森の中の小さな海

    「森の中の小さな海」
    長谷川真紘

    木々や芝生の緑豊かな憩いの広場の一角に、ちょっと不思議な海の情景を描きました。
    海波や水面の波紋を青色と青緑色で配色し、心地良い潮騒の音が聞こえてくるような癒しの海色を表現しました。
    また、陽の光や街灯の灯りによる神秘的な海もイメージしました。
    家族や友達同士の待ち合わせ場所の新しいスポットとして、親しまれる空間になったら嬉しいです。

  • あふれろ! おおたかの森

    「あふれろ! おおたかの森」
    鈴木大河

    たくさんの人や木々であふれる街ができるまでに様々な文脈がどこかで繋がり途絶えることなく過去から現在まで紡がれています。そしてこれからもまだ見えない未来に向かって想像から飛び出すように広がっていく様子を表現しました。大人から子供までどの場所からでもそれぞれの視点からで見ることができます。枠に収まることのなくとびだし、広がっていくこれからのおおたかの森を想像してみてください。

  • Birds playing hide-and-seek

    「Birds playing hide-and-seek」
    吉原サオリ

    流山おおたかの森「森のまち広場」。
    ここには自然とエネルギーが調和し、居心地がよく、野鳥も人々も集まってきます。広場を走り回る子供たち、かくれんぼしている鳥たちを見つけてもらえたらと思い、製作しました。イベントスペースに近づくと見えてくる鳥、少し離れた森のまち広場からしか見つけられない鳥など、流山おおたかの森に生息する野鳥が隠れているので、「森のまち広場」を歩きながら探してみてください。

審査員総評
  • 原田真宏

    原田真宏(MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO 共同主宰、建築家)

    流山おおたかの森S・C グラフィックアワード(空間部門)も今回で3回を迎え、作品点数も58点とたくさんの応募をいただき、その質もまた高まりつつあるようで、充実した審査となりました。

    特に今年はグラフィカルな楽しさはもちろんのこと、その背後にストーリーを豊かに織り込んだ作品が多かった印象があります。

    大賞となった「オオタカのモリ」や、特に印象的だった「月と虹と太陽と」をはじめ、この街のシンボルである大鷹をテーマにした作品たちは、何かこの新しいまちに、古くからある都市のようなストーリー=伝説を付加することで、文化的な奥行きを与えようと試みているようでもありました。

    自分たちのまちを、自分たちで解釈して、この場所ならではの文化を醸成していくそんな活動は、未来の「おおたかの森」エリアの心の豊かさを約束しているようで心強く感じました。

    また、人工的な整った線がどうしても多くなる新造の都市環境に、チョーク絵のような柔らかなテクスチャを入れ込んだ「kakurenbo」も街の読み取りに優れた感度を持った作品で印象に残っています。

    いずれにしてもどの作品も「おおたかの森」という自分のまちの環境をより良くしていこうという意志が背後に感じられるものだったと思います。
    来年はどんな作品が集まるのか、今から楽しみです。


河尻和佳子(流山市総合政策部 マーケティング課 課長)

流山市は今年度、0歳から4歳の人口が70歳から74歳の人口を超えました。15歳未満の人口増加数は全国1位となっています。

若い世代が増えている流山おおたかの森の「森のまち広場」は、樹木が育ち、商業施設も増え、人の賑わいも増しました。天気の良い日には、親子や友人と散歩したりベンチで休憩したりする、ゆったりとした空間が日常の風景になっています。そんな日常を彩るものとして、空間グラフィックアートが活きてくると思います。この街の愛着をより一層育めるランドマークになることを期待しています。


小沼俊一郎(流山おおたかの森S・C 東神開発株式会社 SC事業本部 千葉事業部長)

流山おおたかの森S・C グラフィックアワードに今回も多数のご応募をいただき、誠にありがとうございます。応募作品はどれも素晴らしい作品ばかりで、審査員の選考も大変難航いたしました。その中で空間グラフィック部門の大賞に選ばれました「オオタカのモリ」ですが、展示予定場所に設置した姿を実際にイメージした時に、そのインパクトが非常に大きく、地域の皆さまにすぐに認知されるであろうということ、またその場所がおおたかの森の待ち合わせスポットにもなりやすいであろうという点を高く評価させていただきました。

グラフィックアワードは平面部門が5回目、空間部門が3回目の開催になります。応募いただいた作品は流山おおたかの森の各所に設置しています。今後もこの取り組みを続けることで、この街に住む子どもたちを中心に、アートに触れる機会とこの街のアートへの醸成をさらに深めていきたいと考えております。


特別審査員:中川興一(株式会社中川ケミカル 代表取締役社長)

再びガラス面のデザインに戻ってきた今回の空間グラフィック部門。個人的には、墨一色でデザインされた「Kakurenbo」は実際の現場でどんな風に見えるんだろう?と大変興味をそそられたし、淡い色でシャボン玉を表現した「キラキラ」も好感が持てた。一方、この場所が待ち合わせの目印としての役割を担うことを想定すると、やはり大賞の「オオタカのモリ」は広場からの視認性という意味で抜きん出ていた。またステンドグラスのようなこのデザインは、オーバーラップして見えるであろう外の景色や、光が作品を通して床に落とすカラフルな影も、きっと集まる人を楽しませるに違いない。大胆な構図でオオタカを表現したデザインがいくつかあった中で、この作品が勝ち残ったのも頷ける。

入賞の「森の中の小さな海」は、この場所で敢えて海の表現を選んだ意外性が面白い。見た瞬間に、いつも息子がやっている有名なあのゲームを連想させる「あふれろ! おおたかの森」の世界観は、そこを通る友達同士や親子のコミュニケーションが生まれるきっかけにもなりそうだ。総じて今回は全体的に応募作品のクオリティが上がっていると感じた。入賞のどの作品も、森のまち広場に映えるであろう。次回の応募に期待したい。

総括

流山おおたかの森S・C グラフィックアワードは、2019年よりスタートし、今年で5年目を迎えました。その間、空間部門の新設や毎年異なるテーマで開催を重ね、流山おおたかの森駅周辺を彩ってまいりました。

なかでも空間グラフィック部門は、受賞作品が地域の建築空間へ実際に施工されることにより、まちの景観を形成する要素の一つとして取り込まれることから、より場所の特性を活かした「サイトスペシフィック」な視点が求められます。

今回3回目となる同部門は、舞台を再び「流山おおたかの森S・C FLAPS1F イベントスペース」のガラス面に戻し、人が行き交う玄関口としての立地や、ガラス面という特性を活かしたグラフィックデザイン作品を募集し、全58点の個性豊かな作品が集まりました。2021年度の作品が展示されていることから、応募者の方が、作品制作にあたり現地を訪れていただいていたことが印象的でした。

審査会では、三つの審査基準に加えて、まちの玄関口として地域の賑わいの中心となる「森のまち広場」に面する開放感のある空間。広場側からの景観としての視点、内側からみた屋内空間としての視点、商業施設の顔となる1Fフロアとしての視点など、場所の特性を活かした空間的な視点も重要な評価のポイントとなりました。

大賞として選ばれた作品は、2023年11月3日から展示を開始いたします。是非、流山おおたかの森を訪れていただき、実際にご覧いただければと思います。

今後につきましても、本アワードを起点として、さまざまな形で地域とクリエイターとの接点を創出し、文化の土壌づくりに向けたさまざまな展開を模索してまいりますので、引き続きご注目いただけますと幸いです。

本アワードにご参加いただきましたすべての皆さまへ、心よりお礼申し上げます。