流山おおたかの森S・C グラフィックアワード2022
募集内容

流山おおたかの森S・C FLAPS1F壁面を彩る空間グラフィックを募集。

審査員
  • 原田真宏
    MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO 共同主宰、建築家
  • 河尻和佳子
    流山市総合政策部 マーケティング課 課長
  • 小池 貴
    流山おおたかの森S・C 東神開発株式会社 千葉事業部長
  • 特別審査員:中川興一
    株式会社中川ケミカル 代表取締役社長

<平面グラフィック部門>

  • 大賞 1点 : 賞金20万円
  • 優秀賞 2点 : 賞金5万円
  • 入選 7点 : 賞品・記念品など贈呈
  • ※大賞作品は、流山おおたかの森S・C FLAPS1F横の壁面に実際に施工を行います。(2022年11月展示開始予定)
募集期間

2022年7月7日(木)~9月19日(月・祝)23:59まで

審査方法

各賞(大賞、優秀賞、入選7点)を、審査員により選考します。

  • ※一般投票は行いません
応募総数

71点

大賞

WHAT ARE YOU FEELING?

「WHAT ARE YOU FEELING?」
原木 梢

たくさんの人が行き来する「流山おおたかの森S・C FLAPS」
彼女へのプレゼントを買いにきた人。友達との恋ばなランチ。週末にいくゴルフのグッツを見にいきつつ、子どもとママを広場に送り届けたり。せわしなく目的が行き交う中で、ふと自分のキモチに気づく場所になれたらいいなと思っています。一緒に顔真似したり、写真を撮ったりしてHAPPYになってもらえたら最高です!

優秀賞

森の地下を覗く窓

「森の地下を覗く窓」
福留 愛

壁面のグラフィックを、思考の奥行きを持った「窓」として捉えました。森の緑を支える「地下を覗く窓」を描くことで、これからおおたかの森が緑とともに繁栄していく支えになるような作品を提案します。
森の地下は、「水資源の貯留機能」や「水質の浄化機能」を持ちます。また、様々な動物にとっての「家」であり、植物が広く深く根をはる「土台」でもあります。森の地下について調べていくと、地下なしに地上の発展はないことを感じました。
誰しもが踏みしめる地面の下へ想像力を働かせることで、子どもからお年寄りまで誰もが楽しめる絵になることを目指しました。

四季が奏でる音楽団

「四季が奏でる音楽団」
藤井美穂

緑豊かなおおたかの森の景色と、そこから生まれる四季の音色に着目して作品を制作しました。無機質なコンクリートに音楽を合わせることによって見ている人に温かみが伝わったり、楽しい気持ちになってもらえたら良いと思いました。左のキジから順に夏春冬秋を表現しています。音色を奏でているのは流山に生きる鳥や動物です、見ている人に身近に感じてもらえたら嬉しいです。

入選
  • FLOW

    「FLOW」
    中澤芙美

    いつから居ても、どこからやって来ても、どんな姿や色をしていても、嬉しい気分の時も悲しみに暮れている時も、仲良く出来てもそうでなくても、この街に集い、この街を構成している生命(いのち)であることに変わりありません。
    この道をゆくアナタもその一人。
    何かを感じ、これからの街のことを考えるきっかけとなれたなら嬉しいです。

  • 今日はおでかけ

    「今日はおでかけ」
    小野翔子

    コンセプト:子供の描いた絵

    おおたかの森は駅がすぐ近くにあり人の流れがある。ショッピングモールもあるので、家族づれで訪れる人も多い。
    子供が描いたような絵にしたのは、そんなおおたかの森を印象付けようと考えたから。
    設置予定の壁は駅や広場につながる路地にあり、毎日通る人もいるので、優しさや癒しを感じられるよう意識した。
    背景の色は建物の壁の色と一緒にし、馴染むようにする。

  • Ameba proteus

    「Ameba proteus」
    山田奈津子

    一生の内で同じ形を取らずに不定形の生物として変化していくアメーバのように、街も人も自然も時間が流れる限り変化し続けます。街の大きな変化もあれば、暮らしの中のいつもの通勤や通学路の風景、その日の天気、すれ違う人、緑の移ろいなど全く同じ場面はありません。そんなこの街の成長をアメーバになぞらえた空間グラフィックで表現しました。

  • おとぎ話の森

    「おとぎ話の森」
    長谷川真紘

    アンデルセン物語やイソップ童話など子供の頃に読んだ絵本の世界にある森のデザインを目指しました。赤ずきんちゃんや七匹の子やぎの笑い声、白雪姫の歌声が聞こえてくるような幻想的な空間をイメージしました。

  • 流山の風

    「流山の風」
    小島佳崇

    流山おおたかの森に流れる風をイメージしました。緑豊かな感じや心地の良い風を表現するために、文字を黄緑にしたり、風に運ばれる木の葉を配置しました。左のロゴも葉っぱですが、人や生き物など生命が増え、これからも街や自然が豊かになるようにという願いも込め、ハートのデザインの葉っぱにしました。

  • いざなうオオタカ

    「いざなうオオタカ」
    市川夕夏

    オオタカたちが、賑わう広場から緑豊かな世界へと飛んでゆく様子を表現しました。
    緑がオオタカを呼び、緑が人々を呼ぶ。
    このオオタカのように流山おおたかの森に住む、訪れる人々が、この緑豊かな場所へいざなわれるようにという想いで制作させていただきました。

  • radial

    「radial」
    加藤凛太朗

    この作品では、流山を成長する植物として捉え、表現しました。放射状に伸びる葉は、これまでの様々な成長、そしてそれぞれのさらなる成長の象徴であり、その集合体である植物の成長につながります。まちを豊かにする緑をアートを通して増やしていくことで自然と文化の融合を促すきっかけになれたら嬉しいです。

審査員総評
  • 原田真宏

    原田真宏(MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO 共同主宰、建築家)

    2回目となる流山グラフィックアワードの空間部門ですが、71点と増加した「数量」だけでなく、その「質」も高まってきているように感じています。美しい平面的なグラフィックであることに留まらない視点、例えば、隣接する高架の土木的構造体とFLAPSに挟まれるという「空間」、さらにその先にはGREEN PATHと新しく開業したANNEX2へと接続するという「都市構造」、そしてそこで得られる「経験」へと、デザインする対象意識が広がってきているように思われるのです。

    例えばその拡張は、最優秀賞となった「What are you feeling?」では薄暗がりになりやすい環境にビビッドな原色を刺すことで生き生きとした空間へと転じつつ、さらにそこでSNS投稿用の写真を撮る行為までをデザインの射程として捉えていることに、優秀賞となった「四季が奏でる音楽団」では楽しげなグラフィックでありながら同時にGREEN PATHからANNEX2へ向かう歩行の誘導要素となっている点に、「森の地下を覗く窓」ではFLAPSの「山」のような性質を生かしてその地下を想像するという既存建築を利用した奥行きをもった提案となっていたことに、それぞれ現れていました。

    グラフィックが街を豊かにする可能性が、空間的・都市的な視点を持つことでどんどん広がっているようです。この加速度からすると、来年の作品はどういうことになるのか? 早くも楽しみです。


河尻和佳子(流山市総合政策部 マーケティング課 課長)

流山市は、全国市の中で人口増加率が6年連続1位という、少子高齢時代には稀有な自治体です。中でも流山おおたかの森は、多くの賑わいが創出されています。

今後は、住む、訪れるだけでなく、ここで文化的な活動が生まれていくことが大切だと考えます。流山おおたかの森グラフィックアワードは、このエリアのグラフィックアートによるまちづくりの草分け的存在です。そして、昨年初の空間グラフィック部門が継続され、アートが香る空間がつくられることを嬉しく思います。

2年目ということで力作揃い。選考にはとても時間がかかりましたが、是非親子で、お友達と、もちろんお一人でも街なかアートを楽しみながら、流山も散策なさってください。


小池 貴(流山おおたかの森S・C 東神開発株式会社 千葉事業部長)

おかげ様で本グラフィックアワードは本年平面部門が4回目、空間部門は昨年に引き続き2回目の開催を迎えることができました。特に空間部門に関しましては、昨年から倍近い数の作品エントリーをいただきました。多くのご参加をいただきましたこと主催者として深く御礼申し上げます。

弊社は昨年度のFLAPS、アゼリアテラスに続きまして、本年6月にANNEX2、GREEN PATHを開業させていただきました。2回目となる今回の空間部門は、FLAPSからGREEN PATH、ANNEX2につながるストリートの壁面を彩る空間グラフィックを募集させていただきました。流山おおたかの森という街のイメージをしっかり捉えた個性的で、レベルの高い作品が非常に多く、審査がとても難しかったというのが正直な感想です。

その中で今回大賞に選ばれました「WHAT ARE YOU FEELING?」は、色使いも鮮明で、インパクトも強く見ているだけで、地域の皆さまの気持ちも明るくしてくれる素晴らしい作品であると感じました。

弊社は本年6月のANNEX2、GREEN PATHの開業をもってハード面の開発は一区切りを迎えました。今後はコミュニティとサスティナビリティをキーワードに、流山カルチャーの創造、SCとしての社会的価値の創出を通じてエリア全体の価値を高めるまちづくりに取り組み、流山市のさらなる発展に少しでも寄与していければと考えております。今後とも変わらぬご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。


特別審査員:中川興一(株式会社中川ケミカル 代表取締役社長)

テーマは、店舗のガラス面と連続する長さ9m弱に及ぶ壁面のデザインである。今回印象的だったのは、完成されたグラフィックそのものが一方的に強烈なメッセージを発するような作品というより、その作品に触れることで生まれたコミュニケーションによって初めて空間グラフィックが完成するような、そんな作品がじわじわと票を伸ばしていったことだ。優秀賞の2点は、おそらくその意味で最終的に選考に残った作品であり、どちらも立ち止まる人たちの間に笑顔のコミュニケーションが生まれることを予感させる。とりわけ大賞の「WHAT ARE YOU FEELING?」は、正に単純明快。作品の色々な顔の表情を真似しながらポーズする子どもたち(もしかしたら大人も)の姿が、きっとこの通路をより親しみやすく心地よい空間にしてくれるのではないかと思う。街の景色や空間をより魅力的なものにするために生まれたカッティングシートが、進化し続けている流山おおたかの森とどのように関わっていけるのか。楽しみは尽きない。

総括

今年で4年目を迎える、流山おおたかの森S・C グラフィックアワードは、多様なクリエイター・地域の方々との共創により、地域に文化的な土壌を育てる「まちづくり」をテーマとしてスタートしました。空間グラフィック部門は、この「まちづくり」としての特性をさらに発展させることを目指し、昨年に設立された部門となり、今年で2回目となります。受賞作品は、地域の建築空間へ実際に施工されることにより、まちの景観を形成する要素の一つとして取り込まれることから、より場所の特性を活かした「サイトスペシフィック」な視点が求められます。

今回は、2021年3月に開業した「流山おおたかの森S・C FLAPS」の側面部に位置し、まちの玄関口として賑わいの中心となる「森のまち広場」から、本年6月30日につくばエクスプレス高架下に開業したボタニカルパーク「GREEN PATH」への通路に面する作品を募集し、全71点の個性豊かな作品が集まりました。審査会では、三つの審査基準に加えて、「森のまち広場の賑わい」との連動性、「緑豊かな心地よい植栽空間」につながる空間としての特性を活かしたアイデアなど、単にグラフィックとしてのクオリティだけでなく、空間的な視点も重要な評価のポイントとなりました。

大賞として選ばれた作品は、2022年11月5日に実際に施工されますので、グラフィックの力が街にどのような変化を与えるのか、是非皆さんの目で確かめていただきたいと思います。

今後につきましても、本アワードを起点として、さまざまな形で地域とクリエイターとの接点を創出し、文化の土壌づくりに向けたさまざまな展開を模索してまいりますので、引き続きご注目いただけますと幸いです。

本アワードにご参加いただきましたすべての皆さまへ、心よりお礼申し上げます。