流山おおたかの森S・C グラフィックアワード2021
募集内容

流山おおたかの森S・C FLAPS1F イベントスペースのガラス面を彩る空間グラフィックを募集します。

審査員
  • 原田真宏
    MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO 共同主宰、建築家
  • 河尻和佳子
    流山市総合政策部 マーケティング課 課長
  • 小池 貴
    流山おおたかの森S・C 東神開発株式会社 千葉事業部長
  • 特別審査員:中川興一
    株式会社中川ケミカル 代表取締役社長
  • 大賞 1点 : 賞金20万円
  • 優秀賞 1点 : 賞金5万円
  • 中川ケミカル特別賞 1点 : 賞金5万円
  • 入選 7点 : 賞品・記念品など贈呈
  • ※大賞作品は、流山おおたかの森S・C FLAPS1F イベントスペースのガラス面に実際に施工を行います。(2021年11月6日より展示予定)
  • ※優秀賞・特別賞作品についても、別途、施設の空間グラフィックとして活用させていただく可能性があります。
募集期間

2021年7月8日(木)~9月23日(木・祝)23:59まで

審査方法

各賞(大賞、優秀賞、中川ケミカル特別賞、入選7点)を、審査員により選考します。

  • ※一般投票は行いません
応募総数

37点

大賞

緑の道

「緑の道」
小島萌実

流山おおたかの森の発展を葉脈にたとえました。
葉脈が水や栄養を運んで植物を成長させるように、たくさんの人がこのまちを訪れたり、定住したり、家族を増やしたりを繰り返し、心とまちが豊かになることを願って作りました。

優秀賞

かくれんぼな風景

「かくれんぼな風景」
久保萌菜

商業施設での展示なので子どもから大人まで楽しめるような作品にしたいと思い、さまざまな解釈ができるようなものを考案した。例えば家族でどんなものが描かれているのか探したり、写真を撮ったり、楽しみながら鑑賞してもらいたい。

シートの透過性を利用して、塗りつぶすのではなく、透明感を残し向こう側の景色と重なって新しい景色にしてくれるような、かたちの面白さ、色のグラデーションを工夫する。

中川ケミカル特別賞

Let's be Otaka!

「Let's be Otaka!」
チンヨインカ

本来のガラスの方立は木になって、そして木の下で顔を中に入れるおおたかの模様を作りました。大人と子どもは一緒におおたかを演じられ、撮影者は反対側のガラスに立って写真を撮ります。同時にガラスの両側のインタラクションも強化しました。透視角度によって室内も室外の人は偶然におおたかや木の上のリンゴになることができて、面白いと思います。

入選
  • Zelkova ─ けやき ─

    「Zelkova ─ けやき ─」
    大鐘秀彦

    シンボルツリーをモチーフにして繰り返される、季節、時間を通しいつまでも愛される、おおたかの森の街をイメージしました。アプローチを散歩の途中に撮影した、実際のけあきをトレースすることにより建物の外観、イメージを損なわないように配慮いたしました。

  • 流山おおたかの宇宙

    「流山おおたかの宇宙」
    吉澤健太

    未来の流山おおたかの森をイメージしました。地球と宇宙がつながった未来でも流山おおたかの森は、人々が集まる場所であり、地球の自然と宇宙の自然が融合した地になって欲しいという願いを込めました。

  • Beginning Wind

    「Beginning Wind」
    村上春菜

    “始まりの風”をイメージし、躍動感と生命力を感じる、流れある色彩豊かなグラフィックで表現した。

    イベントスペースはたくさんの人が集う場所であり、その交流の中で紡がれた物語が、また違った文化や価値へと変わり発信される場所でもある。

    そうした新たな動きが生まれる「エネルギーあふれる場」と、施設名称であるFLAPSから連想された、「羽ばたきから生まれる新しい風」とを重ね合わせて制作した。

  • 森の一日

    「森の一日」
    宮岡江理子

    雨がザーザー降っています。オオタカも雨宿り。。。
    晴れました!! 光がキラキラ、風がそよそよ。子どもたちがやってきました。
    オオタカも空高く飛び立ちます。森が賑わっています。。。

    森のある一日を文字とシンプルなパターンで表現しました。

  • 雲のパーティション

    「雲のパーティション」
    小野里紗、名畑碧哉

    現れたり、消えたりする雲のようなパーティションを提案します。この「南口都市広場」にかかる雲は、新たな風景を作り皆が集まる新たな要素となります。直径20mmのドットで作られた雲は、近づくと輪郭が曖昧となり、広場とイベントスペースを柔らかくつなぎます。ドットやその影が、新たな境界を作り発見を誘発することで人々のさまざまな居場所を生み、流山おおたかの森S・Cの風景の一部となるパーティションを提案します。

  • 緑と虹色プロローグ ~空へ広がるおおたかの森街と虹色広場

    「緑と虹色プロローグ ~空へ広がるおおたかの森街と虹色広場」
    伊藤遼太

    Grasshopperプログラミングで、多数ポイントにRGB値や角度の許容範囲を設定し作成した、ランダム色・配置の、無数の葉っぱや3D Brepで、若々しく伸びやかに成長するおおたかの森街や、魅力的な広場に楽しく街の人が集まる都市イメージを描きました。あらゆる世代が豊かで楽しい生活を享受する、成長する街です。

    屋内外からの視線で、樹木緑と現実空間が重なり、活き活きと自然風景が視界に取り込まれます。

  • 木から木へ

    「木から木へ」
    安倍志緒里

    シンプルな図形で作った木のイメージを色のついた半透明のシートで制作し、重ねることで森を表現し、その間に鳥のモチーフを挟むことで、木から木へ自由に回遊する鳥のように、建物を行き来する人々をイメージしています。

審査員総評
  • 原田真宏

    原田真宏(MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO 共同主宰、建築家)

    空間グラフィック部門ではFLAPS1F イベントスペースの公園側のガラス面を使った作品を募ったのですが、単に一つの優れたグラフィックであることに留まらず、光を受けた明るい樹木からなる駅前広場とのオーバーレイする風景として作品を捉えていたり、あるいは、そのグラフィックを自然光が透過もしくは遮蔽されて生じる光と影の現象を操作しようとする作品、さらにはグラフィックが誘発する人々の行為といった側面から発想するなど、平面を超え出た、空間的な提案が多くあり魅力を感じました。

    街の方々が環境づくりに参画することで、街は良くなっていくものですから、その空間への積極的なアクセスに「流山おおたかの森」の未来は明るいな、と感じた次第です。受賞作品の実施によって、街や建築がどのように変わっていくのか、とても楽しみにしています。


河尻和佳子(流山市総合政策部 マーケティング課 課長)

流山市は人口増加率が全国の市の中で5年連続1位となっており、子どもの数も増えています。その中で、流山おおたかの森は、人と人をつなぐ場、賑わいが生まれる場として今後もますます盛り上がっていくことを期待しています。空間グラフィック部門は今回初でしたが、どれも街をよく調べてデザインを作り込まれたことが伝わり、レベルの高さに驚きました。アートの力で美しいまち、楽しいまちを造る大きな一歩になると思います。


小池 貴(流山おおたかの森S・C 東神開発株式会社 千葉事業部長)

まずは主催者といたしまして、新設であります空間グラフィック部門に多くのご参加をいただき、深く御礼申し上げます。弊社は、今年3月31日に流山おおたかの森S・Cの新館として、FLAPSという商業施設を開業させていただきましたが、今回は従来の平面グラフィック部門に加え、新たに流山おおたかの森を舞台に文化が芽吹く土壌を育てることを目指す中で、FLAPS1F イベントスペースのガラス面を彩る作品(カッティングシート)を募集させていただきました。初めての試みではありましたが、今回は空間、光など色々な要素を考慮したクオリティの高い作品が数多く、審査も大変難しいものになりました。

今回の大賞作品は葉っぱをモチーフにした大胆かつ明るい作品です。FLAPS1Fに装飾・展示させていただきますが、建物・広場とも溶け込み、コロナで閉塞感が漂う中、地域の皆さまの気持ちも明るくしてくれるものと信じております。

今後も引き続き、南口都市広場の改修事業でも連携をさせていただいた流山市と足並みを揃えながら、今まで以上に地域密着型のまちづくりを推進し、地域の更なる発展に寄与していければと考えております。今後とも変わらぬご愛顧のほど宜しくお願い申し上げます。


特別審査員:中川興一(株式会社中川ケミカル 代表取締役社長)

空間を意識することで、ガラス面を内と外から見たときの違いや、作品を通して見える景色とのオーバーラップなど、デザインが現場に掲出したときに作者が意図した効果を発揮するか、ということが一つの論点となった。大賞の「緑の道」は、一枚の葉っぱをウインドウ面からはみ出すほど拡大して配した大胆なデザイン。日差しを受けた大きな葉っぱがステンドグラスのように床に影を落としたり、外の木々や落ち葉とのコントラストを想像すると楽しい。

「Let's be Otaka!」は、絵が切れるサッシの部分をあえて活かしているのが面白い。親子がそこで撮影している姿が目に浮かぶ。全体としてバリエーションに富んだ見応えのある作品が並んだ。故に審査員の意見が割れた。それぞれの立場からなるほどと思える意見も出てきて、結果としてじっくり議論し受賞作品を決定する良い時間となった。

総括

今年3年目を迎える、流山おおたかの森S・C グラフィックアワードは、多様なクリエイター・地域の方々との共創により、地域に文化的な土壌を育てる「まちづくり」をテーマとしてスタートしました。空間グラフィック部門は、この「まちづくり」としての特性をさらに発展させることを目指し、今年新たに設立された新部門となります。受賞作品は、地域の建築空間へ実際に施工されることにより、まちの景観を形成する要素の一つとして取り込まれることから、より場所の特性を活かした「サイトスペシフィック」な視点が求められます。

今回は、今春に南口都市広場の改修と合わせて竣工し、駅前空間の新たな顔として注目を集める新館「FLAPS」の1F イベントスペースのガラス面を飾る空間グラフィック作品を募集し、全37点の個性豊かな作品が集まりました。審査会では、三つの審査基準に加えて、遠近で見た景観的な効果や、駅前広場に接するガラス面という場所の特性を活かしたアイデアなど、単にグラフィックとしてのクオリティだけでなく、空間的な視点も重要な評価のポイントとなりました。大賞として選ばれた作品は、2021年11月6日に実際に施工されますので、グラフィックの力が街にどのような変化を与えるのか、是非皆さんの目で確かめていただきたいと思います。

今後につきましても、本アワードを起点として、さまざまな形で地域とクリエイターとの接点を創出し、文化の土壌づくりに向けたさまざまな展開を模索してまいりますので、引き続きご注目いただけますと幸いです。

本アワードにご参加いただきましたすべての皆さまへ、心よりお礼申し上げます。