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2018/02/16 10:00

【レポート】KOKUYO DESIGN AWARD 2017 表彰式&審査員トークショー

【レポート】KOKUYO DESIGN AWARD 2017 表彰式&審査員トークショー

2018年1月18日(木)、東京・南青山のスパイラルホールにて、プロダクトデザインの国際コンペ「KOKUYO DESIGN AWARD 2017」の表彰式および審査員トークショーが開催された。

同アワードは使う人の視点で優れたデザインを募り商品化を目指す、プロダクトデザインの国際コンペ。主催はコクヨ株式会社で、15回目の節目を迎える今年は“NEW STORY”がテーマ。「働く」「学ぶ」「暮らす」シーンにおける新しいストーリーを描く作品を募集した。

審査員はアーティストの鈴木康広さん、KIGIのデザイナー植原亮輔さん・渡邉良重さん、コクヨ会長の黒田章裕さん、そして今年からデザイナーの川村真司さんと佐藤オオキさんが加わった。作品総数は1,326点(国内880点、海外446点)と前回を超える。

表彰式では、同日の最終審査会にて選ばれたグランプリ1点、優秀賞3点と来場者投票で選ばれたオーディエンス賞1点を発表。トークショーでは選考に携わった審査員の面々が、今年のテーマである「NEW STORY」をキーワードに、受賞作品の講評とこれからのデザインについて語った。

今回は初めて、公式の賞とは別に、当日の投票で決まるオーディエンス賞が設定。来場者はしっかり作品を眺めていた

オーディエンス賞投票箱。今年のアワード用広報ツールは、新しい扉を開くというテーマを反映させて“鍵”や“扉”がモチーフになっている。アートディレクションはKIGI

グランプリは“おやつ” コクヨにNEW STORYの扉を開く提案

まず発表された優秀賞は「時の舟」「かきゴム」「引き合う文具」のの3作品。

画像:優秀賞の作品

左から「時の舟」「かきゴム」「引き合う文具」

「時の舟」を提案したT4-202の二人は海外からのエントリー。大学の同級生で、T4-202は当時の教室名とのこと。「教室名をグループの名前にして活動しようと約束してから、何年もたってようやく実現した。今後も初心を忘れずにいたい」と語る。

「引き合う文具」提案の古舘壮真さんは学生で、「使う人の行為までデザインすることがデザイン」とし、それを審査員に評価してもらえたことがとても嬉しいとコメント。

「かきゴム」を提案した、ぷらばんばん(中島奈穂子さん、木平崇之さん)。手にはトロフィーと表彰状が。

また、オーディエンス賞には「陽だまりノート」が選出された。

会場に展示された「陽だまりノート」。見る人に日差しと木漏れ日を感じさせ、心を和ませる作品だ

そしてグランプリに選ばれたのはオフィスにおける「おやつ」用具の提案、「食べようぐ」(にょっき/柿木大輔さん、三谷 悠さん、八幡佑希さん)。「おやつ」を文具やオフィス用品と同様、よりよく働くための「用具」としてとらえた作品だ。

文具・家具メーカーのコクヨにとって食品は未開拓のジャンルで、商品化を考えた時、この提案をグランプリに選ぶことは大きなチャレンジとなる。にょっきの3人も、食べ物を扱うことはタブーではないかという不安があったという。しかし、飛躍した新しいアイデアや、使用シーンがしっかり想定されリアリティがある点などが高く評価されての受賞となった。

「食べようぐ」プロトタイプ

表彰状とトロフィーを掲げた「にょっき」の三谷 悠さん、八幡佑希さん。グランプリの表彰状は他の受賞者より鍵が鍵穴に近づいている

デザインを志す人なら誰もが魅了される、審査員トークショー

表彰式に続いて行われた審査員トークショーでは、雑誌「エル・デコ」のブランドディレクター木田隆子さんと審査員の植原さん、川村さん、佐藤さん、鈴木さん、渡邉さん、コクヨ社長の黒田英邦さんが、審査を振り返った。

審査ではテーマ“NEW STORY”が強く意識されつつも、アイデアの新規性や商品化の可能性など、複数の視点が揺れ動いたという。最終審査でプロトタイプを触ったことで作品の評価が変わったり、プレゼンで背景のストーリーや今後の展望が語られたものが高く評価された、といったことも語られた。エル・デコの木田さんは、このアワード自体がひとつのデザイン活動ではないか、と話した。

トークショーの様子

コンテスト表彰式で開かれるトークショーでは、講評だけではわからない審査ポイントや、第一線で活躍するクリエイターでもある審査員の着眼点を知り学べることも多い。受賞者だけでなく応募されたすべての方に、さらに日頃からクリエイティブに携わる方たちにとって、今後の糧となる話が聞ける貴重な場だ。

「登竜門」では表彰式やトークイベント情報を随時掲載中。お近くで開催されるトークイベントがあったら、ぜひ行ってみてほしい。

取材・写真・文:猪瀬香織(JDN)

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