【結果速報】「ジェームズダイソンアワード2017」国際最優秀賞は新たなメラノーマ診断機器sKan
国際エンジニアリングアワード「ジェームズ ダイソン アワード2017」の国際最優秀賞が発表された。選ばれたのは、革新的な低コストのメラノーマ診断用携帯機器「sKan(スキャン)」。
同アワードは次世代のデザインエンジニアの支援・育成を目的に、世界規模で毎年開催されている。主催は掃除機で有名なダイソン社が提携する教育慈善団体、ジェームズダイソン財団。今年は世界23カ国でデザインやエンジニアリングを学ぶ学生または卒業4年以内の人を対象に「問題解決のアイデア」を募集。1000を超える作品が集まった。
国際最優秀賞を受賞したsKanは皮膚がんの一種であるメラノーマ診断方法のアイデアで、カナダのマックマスター大学工学部の学生4名がチームとなって取り組んだものだ。
メラノーマ(悪性黒色腫)の治療には早期診断が有効。しかし診断は医師の目視検査に頼るため精密とは言えない。先進的な診断方法もあるものの、時間がかかる上に非常に高額だ。発見が遅れれば死亡リスクはぐっと高まり、世界では毎年何万人もの人々がこの病気で命を落としている。
チームはがん細胞が正常な細胞に比べて多くの熱を放出する特性に着目。安価で精度が高い温度センサーを用い、メラノーマの疑いがある皮膚の温度分布図を描きだす機器sKanを開発した。健康な皮膚とメラノーマの皮膚の温度差を調べ表示することで、現状の目視検査を改善し、数値による客観的な診断方法を提供する提案だ。実現すれば早期発見によって患者の命を救う上、医療費と時間の節減につながる。
最終審査員でありダイソン創業者のジェームズ・ダイソンは「広く入手できる安価な機器が実現すれば、多くの人々がメラノーマを容易に発見できるようになる。sKanは世界中の人々の命を救う可能性を秘めた、極めて創意工夫に富んだ機器」と受賞理由を語っている。
sKanのチームには、このアイデアをさらに発展させるための賞金30,000ポンド(約450万円)が授与される。
チームは受賞について「私たちにとってこの上ない大きな成果。賞金のおかげで、人々の命を救える医療機器の開発を続られる。このような素晴らしい機会をいただき、光栄に思う」とコメント。製品が米国食品医薬品局の認可を受けるレベルに到達するまで改良を続ける計画だ。
ほか、国際準優秀賞にはLEDを活用した静脈穿刺機Twistlight、6つの軸を持つロボットアーム3DプリンターAtroposが選ばれた。
アワードをきっかけに、医療や産業をはじめ生活に革新が訪れることを期待したい。
ジェームスダイソンアワード2017 公式ホームページ
https://jamesdysonaward.org/ja/