2012年ジェームズダイソンアワード

作品名 : Safety Net
イギリス

■問題点:
遠洋漁業は、市場で売るには小さすぎる幼魚までも多く釣ってしまうため持続可能な漁業ではありません。釣られて死んだ幼魚が大量に海に戻され、毎年魚の数が大幅に減少しています。
■解決策：
「Safety Net」は、漁網の穴にとりつける輪で、その輪を潜って小さな幼魚が抜け出せる出口を作ります。海の水の流れによって生み出される運動エネルギーによって発電する光がこの輪に搭載され、幼魚に出口を知らせます。

作品名 : Beth Project
アメリカ

■問題点：
人工器官を必要とする人は、アフリカ、アジア、中南米に3000 万人以上存在します。義肢は非常に高価な上に、身体に合わなければ違和感を覚えることがあり、日常生活に支障をきたします。ほとんどの人工器官は固い素材を使用するため、患者は身長や体重が変わるたびに頻繁に交換しなければなりません。これには費用がかさみ、輸送に問題を抱える発展途上国では困難となります。
■解決策：
Beth Project は、患者が一生使える、痛みの無い、価格の手頃な、自動調節式の義肢です。費用を削減できるだけでなく、患者がより遠くまで、より効率的に移動できるようになり、可能な限り普通の生活を送れるようになります。

作品名 : Revival Vest
ニュージーランド

■問題点：
フリー・フォール・ダイビングは極めて危険です。近年、多くのダイバーが水中でのブラックアウトにより溺死しています。
■解決策：
Revival Vest は高度な織物技術を用い、溺れているときに起こる呼吸や体の変化を監視します。変化を検出するとRevival Vest が膨らみ、使用者を水面の安全な場所に移動させます。

作品名 : Smart Aid
オーストリア

■問題点：
危険な場所で人々に応急処置を施すことは困難な場合があります。救急車の到着が遅れ、患者の元にたどり着くのが難しいことがあります。
■解決策：
Smart Aid はスマートフォンとリンクした無人航空機を使用し、困ったときに助けを求めたり提供したりできます。このアプリは困っている人に助言を与えるのにも役立ちます。

作品名 : Fil’O
シンガポール

■問題点：
聴覚に問題がある親は、子供が親の注意を引く必要がある場合に気づきません。
■解決策：
Fil'O は振動と光で親子をつなぐデバイスです。腕時計、ライト、モニタを使用し、昼夜を問わず子どもが親の注意を引く必要があるときに親に知らせます。

作品名 : Alto
イギリス

■問題点：
ミシンは扱いにくく複雑なため、人々は裁縫を習いたがりません。裁縫に熟達した人がいないと、修復できる衣服が捨てられてしまいます。
■解決策：
Alto はおしゃれで魅力的な、初心者に配慮した設計となっています。金属のガイドが糸巻軸から針まで通っているため、糸を簡単に通せます。ペダルのほか、縫っているときの指の押し具合によって、スピードをコントロールできます。

作品名 : Emergency Airdrop
ドイツ

■問題点：
陸上や海上の交通手段では到達できない地域に救援物資を届けることは大きな課題です。救助隊員は困っている人にたどり着けず、飛行機に頼るものの、パラシュートは高価で救援物資を失うこともよくあります。
■解決策：
貨物コンテナと3 つの翼を持つシステムという2 つの要素からなり、滑空するカエデの種を模して救援物資を地上にスムーズに届けます。

作品名 : Reach and Match
オーストラリア

■問題点：
点字識字率が低下しています。50 年前は目の不自由な子供の51％が第1の読書媒体として点字を使用していましたが、2011 年までにわずか9％に下落しました。点字が読めるとされる生徒は平均して識字率が高く、今後はこの識字率がさらに下がる恐れがあります。
■解決策：
Reach and Match は、全盲か弱視かを問わず視覚障害を持つ子供が点字を学ぶための玩具です。また、幼児期の発育のための中核的スキルであるパターンと記号と空間の認識を幼児に教えることもできます。

作品名 : GiraDora
アメリカ

■問題点：
途上国の上下水道の無い地域では洗濯の負担が重くなります。手洗いは時間を要し、腰に負担がかかり、水を大量に使用するためコストがかさむことがあります。
■解決策：
Gira Dora は人力による洗濯機と回転式脱水機です。この新しい器具によって洗濯にかかる時間が劇的に短縮されます。一般的な手洗いは長くて1 時間かかることがありますが、Gira Dora なら約3～5 分に短縮できます。直立して運転できるため腰痛の問題の対策になります。水の使用量も3 分の2 に減らせます。

作品名 : O2 Pursuit
オーストラリア

■問題点：
世界の人口が増加を続ける中、環境への影響と持続可能性をコントロールし続けることがますます難しくなっています。
■解決策：
O2 pursuit は石油の代わりに空気で走るオートバイで、回転空気圧エンジンを使用します。このエンジンは、太陽エネルギーと風力エネルギーを使用して圧縮した空気を原動力とします。

作品名 : Balde a Balde
アメリカ

■問題点：
世界中で7億8000万人以上の人が清潔な水を利用できず、その結果、340万人以上が死亡しています。その99％は発展途上国です。バケツからバケツへと水を移すことが日課で、そのため水が汚染されたりこぼれたりします。
■解決策：
この器具は価格が手ごろな持ち運びできる蛇口で、バケツからバケツへ水を移すという非衛生的で面倒な作業が必要なくなるため、水が節約でき、汚染の恐れが減ります。

作品名 : Stephoe
イギリス

■問題点：
途上国の農家は伝統的なくわをよく使うため、腰をひどく傷めたり、上半身の疲労を抱えていたりします。
■解決策：
Stephoe は足で踏むステップがあり、使用者に負担をかけることなくてこの原理でくわを地面に入れることができます。

作品名 : ReWired
オランダ

■問題点：
部屋を使用する目的が異なれば、それにふさわしい環境を作り出すために照明のスタイルを変える必要があります。これは、固定されたシーリングライトでは極めて難しくなります。
■解決策：
ReWired はケーブルと滑車の仕組みを用いることで、シーリングライトの位置を調節できます。

作品名 : LOUIS
フランス

■問題点：
現代都市は殺風景なコンクリートジャングルのように思われ、特に増加を続ける人口を収容できるよう都市を成長させようとすると、色や特徴を欠いたものになります。
■解決策：
LOUIS は特殊なコンクリートの床面で、水に反応して飾り模様が現れます。雨が降ると水がコンクリートに当たり、幾何学的な図形が出てきます。

作品名 : Hop!
スペイン

■問題点：
スーツケースは空港内を持ち歩くには重くて邪魔になり、休暇のスタートにいらつくことになります。
■解決策：
Hop!は所有者の携帯電話からの信号を検知し、所有者に忠実についていきます。この信号によって所有者から一定の距離を保ちます。

2012年 ジェームズ ダイソン アワード

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