第6回 長谷工 住まいのデザイン コンペティション《学生限定》

募 集 終 了

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応募作品数:217点
入賞作品数:14点
主催:長谷工コーポレーション

最優秀賞

へだたりのつながり

作品名 : へだたりのつながり
作者名 : 石飛亮/武井良祐

横浜国立大学大学院

東京都文京区大塚.住宅そのものではなく、塀をリノベーションすることで新しい環境をつくる.塀をただ隔てるものではなく、本棚や机、縁側など隣り合った両者をつなぎ合わせるものへと変えることで、塀を共有するような30戸の集合住宅を計画する.これまで使用されていなかったスペースは隣の家との関わりを持つ場所となり、街全体に広がっていきお互いを意識させ、新しい風景をつくり出していく.子どもの頃はまるでネコのように、家と家の間の塀によじ登り、塀に沿って街を探検していた.塀は家と家の境界ではなく活動の場だった.どこにでもある風景、塀を活動の場に変える事で変えていく事はできないかと考えた.

優秀賞

30人の大家と3000人の観光客

作品名 : 30人の大家と3000人の観光客
作者名 : 髙橋隼奨/加藤圭介/山田航平/大槻恭子/豊川大翔

大阪工業大学

大阪の観光地、道頓堀のビル群のリノベーションの提案.道頓堀という観光名所は大阪に存在する観光地であっても大阪が誇る観光地ではない.そこには大阪人の生活がないからである.道頓堀の商業施設は生活の場所ではない.それは計画地区周辺に宿泊施設が存在しないことからも見て取れる.観光客は大阪に観光に来ているのに「大阪らしいもの」を見て満足して帰っていく.それは「大阪」に満足したわけではない.大阪人が本当に大切にする人情・愛嬌はそんな空間では生まれない.大阪を堪能するということは大阪で生活するということだ.大阪の生活を堪能し、自らが大阪の生活を作っていく場所を提案する.

遠回りの家路/風景のRe-design

作品名 : 遠回りの家路/風景のRe-design
作者名 : 佐藤晋平

芝浦工業大学大学院

敷地は神奈川県戸部町.急な傾斜地にもかかわらず、木造密集住宅地域となっている.提案はとてもシンプルなものである.傾斜地特有の“屋根との距離”、戸部特有の“木造密集住宅地”、これらを生かして“屋根の上に新たな大地をつくること”で、集合住宅として豊かにしていく.住宅の距離が近いにも関わらず、造成されることによって擁壁ができ、庭どころか、動線が複雑になってしまっている.そこで屋根の上を新たな大地として使うことで、庭、動線、風景をつくる.この場所にしかできないリノベーションが、この場所の風景のリデザインへと繋がり、屋根の上にできた新たな大地が、住む人々の新たな居場所となる.

地車巡家

作品名 : 地車巡家
作者名 : 吉田卓巨/原宏佑

京都工芸繊維大学大学院

岸和田のだんじりをまちの動く中心として位置づけることによって、人とだんじりの新たな関係性を生み出す.町の中に点在する空き家、小屋を“だんじりの家”としてリノベーションし、まちの様々な所に集いの場を生み出す.だんじりが巡り空間を書き換えたり上塗りしていくその風景はこの町の文化となって継承され、周囲の町に広がっていく.だんじりのための空間として組み替えられた場所はだんじりが去った後に余白としての空間を残す.だんじりの車輪の跡、木の匂い、その場所に居たからこそ感じる空間の質の変化は身体的な記憶として蓄積され、祭り囃子を染み込ませた小さな空間は生活の中に溶け込んでいく.

佳作

病院×都市 ~老いと病いとともに暮らす~

作品名 : 病院×都市 ~老いと病いとともに暮らす~
作者名 : 小林敬政

東京工業大学大学院

対象敷地は兵庫県尼崎市杭瀬.“公害”というかつての負の遺産と、その名残である診療所を中心に、老朽化した住宅群を『医療都市』として改修し、現在のひとの高齢化・都市の老朽化の双方の解決を試みる.ひとは“老い”からは決して逃れることはできない.一方で地方や郊外には人がいなくなり、着実に死に向かっている建物や都市が存在する.“ひと”も“都市”も、老い・病いとともに生きていかなければならない.そして、この2つの側面から“老い”や“病い”について考えることは、お互いが持つ問題の解決への糸口となるのではないだろうか.本提案は、そんな『医療都市』のプロトタイプである.

custom-ism 未完の団地

作品名 : custom-ism 未完の団地
作者名 : 鈴木隆平

東京工業大学

多摩ニュータウンの諏訪団地の一括建て替えが決定した.駅近くに高層マンションが建ち並んだコンパクトシティを意識した計画である.しかしこのような開発が東京近郊で乱立すれば、その土地の文化性や歴史性が薄れた均質な都市が広がってゆく.パッケージ化される近郊都市に明るい未来は描けない.団地の新しい未来像として、耐震補強を利用した、カスタマイズ可能な住戸を提案する.耐震補強のフレームは住棟と中庭をつなぎとめ、中庭に活動を促す.さらにフレームを内部化・外部化・動線化等、住人の好みに応じてつくりかえるシステムを採用することでライフスタイルや家族構成に対応した伸縮する住戸が可能になった.

30のエントランスをもつ大豪邸

作品名 : 30のエントランスをもつ大豪邸
作者名 : 坂口文彦/吉田祐介

関西大学大学院

敷地は奈良県登美が丘.町というパブリックな場と家の中の自分の部屋というプライベートな場との間にある関係性を組み替える提案.大豪邸を30戸の集合住宅としてリノベーションする.大豪邸の中のそれぞれ特徴をもった部屋が多様な家を生み出し、廊下は家をつなぐ共有インフラとなり骨格となる.骨格が外形化し、それらにぶら下がる形で増築が行われ既存と改修部が混ざり合う.広大な庭は各戸のアプローチ空間となり、塀は解体され町へと開いてゆく.関係性のリノベーションによって各戸が町とつながり、地域の中心地となりながら1つの大きな屋根の下で暮らす家族のようなつながりを持った集住環境が生まれる.

私の場所がつくる都市、都市のなかの私の場所

作品名 : 私の場所がつくる都市、都市のなかの私の場所
作者名 : 山口貴之/石黒泰司/高村諭

東京理科大学大学院

敷地は東京都北区上十条に位置する住宅群の一画.居住空間は、細かい敷地分割と地形的な高低差によって細かく分断されており、集まって住むことの価値を失ってしまっている現状の集合住宅の空間構成を表すような状態となっている.そこで、既存の木造住宅に対して小さな床を挿入し、空間を再構成することにより、個々の住宅と住宅、さらに住宅群と地形をつなぎ、住戸から都市へ展開する躍動的な集合住宅(まとまり)を提案する.30世帯が一緒に暮らすというある意味特殊な状況における、本来あり得べき姿として、小さな個のスケールと大きな集合(まとまり)のスケールを行き来しながら生活するような体験を空間化する.

Re Border ─敷地境界線のリノベーション─

作品名 : Re Border ─敷地境界線のリノベーション─
作者名 : 杉田陽平/ 杉山洋太

日本大学大学院

敷地は埼玉県川越市一番街.伝統的建造物の建ち並ぶ場所で、近年では市街に出店する店も増加していますが、歴史的建築との共生は難しく、商人の街を住み伝えていくことが困難な状態です.提案する「敷地境界線のリノベーション」は「既存の境界線をずらす」ことで、「1棟で複数家族」が暮らす「少し大きな集合体」を形成します.そして、領域への流出入を制御していた境界線は、既存の「敷地境界線」を跨ぐ軸となり、家族や隣人とシェアする「オープンスペース」を持つことができます.歴史的建築ストックを活かしながら、これまでとは異なる「つながりの軸」を生み出すことで、新たな街並みを再構成する未来を目指します.

house of seam

作品名 : house of seam
作者名 : 阪口達哉/高松達弥

法政大学大学院

敷地は大阪のベッドタウンである東大阪市.この東大阪の町工場は時間とともに消えてしまうことでしょう.そこで、町工場の大きな輪郭を再編し、集合住宅の可能性を探ります.風景と対話するよう増築し、生活を切り取るように減築します.解体された小さな断片を拾い集めるように輪郭を縫い合わせます.そこにはかつての懐かしい風景とは少し異なる新しさが生まれてくることを期待します.再編するにあたって原風景を取り戻すだけでなく、そこにきっかけを与えることで、新しい町工場のある風景を提案します.町工場に新たな輪郭を縫い合わせることで、生活や周囲を取り巻く風景を紡いでいきます.

2.6kmの思い出

作品名 : 2.6kmの思い出
作者名 : 澤伸彦/越後海

横浜国立大学大学院

過疎化によって廃線になってしまった宮城県栗駒市のローカル鉄道に人が住まうことによって、維持管理し後世にまちの記憶として伝えていく集合住宅を構想した.敷地は栗駒駅と隣駅である鳥矢崎駅から栗田原駅までの2.6km.既存の駅舎に新たな地元の木材を使用した構造体を挿入する.新しい構造体は線路と混じり合い、人々は線路を共有し、ガーデニングをしたり、栽培した野菜を料理したり、線路は公園となり町にひろがっていく.線路沿いに人々の活動が生まれ、地域全体に線路を共有していく風景が広がっていく.長い間、町を支えてきた線路と駅が新しい形で再び町を支える役割を担うようになる.

Assembly Apartment

作品名 : Assembly Apartment
作者名 : 仁賀亮太

京都工芸繊維大学大学院

小さな工場が集合している上に集合住宅の要素が存在していたら? それは「新しい街」としての風景を作り出すのではないだろうか.敷地周辺は東大阪市高井田地区で工場集積率が高い地域.今回のリノベーションでは既存部分を壊す事なく、全て残し上部に新たに増築していく.既存部分が工場であり、内部の空間が大型機械や固定された設備もある.そうすると柱を落とす位置が限定されてくる.例えば、コンクリート造の建物において、既存部分の柱に合わせて柱を付加したり、建物の隙間、工場内部の動線を考慮し柱を配置することが重要なポイントとなる.その柱をもとに、上と下との関係を決め、このような形態が生まれた.

思い出のハコ

作品名 : 思い出のハコ
作者名 : 辻村修太郎/吉浦啓史

関西大学大学院

敷地である吹田市立山田第一小学校は私が6年間通った小学校であり、たくさんの思い出が詰まった場所.しかし、耐震に不安を抱えるこの校舎は取り壊されることが決まりました.みんなの思い出のハコを集住環境としてリノベーションすることで、新たな価値を見出しながらこのまちに住むひと達の手によって未来へと受け継いでいきたいと考えました.1・2階は耐力壁を用いた集合住宅へとリノベーション、増築することで既存建物の構造を補強する.3・4階は構造的に不要な壁やスラブを減築することで荷重を軽減させる.まち、小学校、集住環境が抱える問題を解く糸口となるような30戸の集合住宅を提案します.

住ー住ーTRAIN ~にぎわいを運ぶ~

作品名 : 住ー住ーTRAIN ~にぎわいを運ぶ~
作者名 : 塚本慎一郎/土屋秀正

東京理科大学大学院

思い出がつまった電車の中に住まうことを考えた.敷地は路地裏文化として知られ、演劇や音楽好きの若者が集まる下北沢.廃車となった電車のコンバージョンを行う.10両編成の電車内部をリニアな共用部にし、そのリニアな共用部の周りに住戸、商業施設、ギャラリー、半屋外劇場を配置する.計30戸の住戸、6の商業施設、2のギャラリー、2の半屋外広場がこの電車に乗り込み、リニアな共用部を介してつながる.共用部に立つと、視線が抜け、人々のアクティビティが重なる.電車の窓から見るいつもの風景の中に人々が住まう.分断した下北沢の文化や、そこに住む人々を乗せた電車は、絶えずにぎわいを運び続ける.