第10回 学生立体アートコンペ「AAC2010」

募 集 終 了

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同コンペは、株式会社アーバネットコーポレーションが主催する学生限定立体アートコンペティションです。このコンペの特徴は、最優秀作品を買い上げ、マンションの共有空間に常設展示するという点です。これまで日本には、こうしたシステムの学生向けコンペがほとんど無いため、各方面から高く評価されています。

最優秀賞に輝いたのは、宮原嵩広さんの「A.S.series 『第二の扉』」。今回の募集は、アルコーブに立体作品の提案をするというものでしたが、宮原さんの作品は、アルコーブをシリコンとウレタンで手作りされた一枚の石でぴったり埋め込んだデザイン。これはプロポーザルの条件を一種覆すようなものでもあり、審査員に衝撃を与えました。また、作品の完成度も高く評価され、今回の受賞に至りました。

オランダで10年程前に出来た新しい法律で、「ある程度の規模以上の建物を作る場合、総工費の一部を必ず美術作品に使わなければいけない」という決まりがあるそうです。日本では、そういった美術をサポートするようなインフラを作るところまではまだ達していません。このコンペを通して、街にアートが広がっていく事を期待します。

応募作品数:27点
入賞作品数:10点
主催:株式会社アーバネットコーポレーション

最優秀賞

「A.S. style『第二の扉』」
「A.S. style『第二の扉』」

宮原嵩広(東京藝術大学大学院 美術学部 彫刻科)

素材:シリコーン、ウレタン、その他

コンセプト

私はシリコーンなどを用いて石など自然物を制作しています。始めは美術に対する疑問から制作を始めましたが、最近では今を生きる自分自身が抱える不安からかもしれないと考える様にもなりました。たとえば何か調べている時インターネットなどの情報だけで済ませてしまうことがある。記憶とデータ保存の混同、生である(実際に体感する)必要性に疑問さえ感じてしまう。
しかし、確かに感じる原石や原木などから発せられる言葉。データにはならなものをイミテーションすることはどこか現代の矛盾、不安を表現できるのではないかと考え制作しています。
利便性のみの追及に疲れてしまった現在、エコという言葉で何とか均衡を保っていて気づいてはいるが何が人々にとって良いことなのか解らずにいる。触れることのできる自然も人に管理されたものであることが多い。
豊かな自然を擁する街と発展都市の2面性その場所に建てられる「AXAS森下sta.」、そこに住む人や訪れる人にリアリティーとは自然物とはを考えてもらえる様な作品を置くことが必要なのではないかと考えます。

優秀賞

「セルメン」
「セルメン」

堀 康史(多摩美術大学 美術学部 油画専攻 3年)

素材:樹脂粘土、木材、鉄

コンセプト

コンセプト・ポイント:この作品は球状になったそうめんです。
マンションのコンセプト文にある「相撲」「花火」などから作品テーマを「日本」に設定しました。
そこで選んだ素材が、食品サンプルです。
日本で生まれた食品サンプルはキーホルダーやストラップになったり、手軽に作れたりと私たちに身近な物となっています。
また自分の家は落ち着く場所でならなければなりません。
マンションの入り口にある物は存在感や圧力が強い物ではなく、遊び心があり安心出来る物が良いと私は考えます。
その食品サンプルで「そうめん」を表現します。
そうめんの固まりは見ようによっては、食べ物には見えなくなり見る人の想像力を膨らませます。
またそうめんが持つ色が、「モノトーンで表現した」というマンションに合うと思いました。
形は「花火」と、「細胞」や「心臓」をイメージしています。
また、球体と直線で有機的な物の中にも緊張感を生み出しています。


「彩」
「彩」

小野真由(多摩美術大学 美術学部 工芸学科 陶プログラム 3年)

素材:陶

コンセプト

建物とエントランスに調和しやすい、モノトーンが相応しいと思った。
しかし、人々を送りだし、迎える場所には花のような彩があることも必要だ。そして元気を与えられるものが良い。
「無彩色で表現する彩り」 これを主なコンセプトとした。
白を基調とし、複雑な光と影を作る事で自然にできるモノトーン(無彩色)を見ることができる。
さらに、毎日目にするものだから、与えるだけではなく、人の思いを受け入れて、包み込めると良いと思った。
「大きな包容力」 これも重要だと考えた。使用する陶の素材の塊には、重厚な趣と、包容力を感じられる。