結果発表
2016/12/21 10:00

第26回 新美南吉童話賞

応募作品数:2,211編(一般の部:1,589編/中学生の部:518編/小学生高学年の部:53編/小学生低学年の部:51編)
受賞作品数:17編
主催:半田市教育委員会
※ここでは、最優秀賞をご紹介します

最優秀賞(文部科学大臣賞)

つるっと神社
しいなさいち(筆名)
作品内容(一部抜粋)
ときは江戸、仕事を終えた大工の音吉が、道具箱をかたにしょい、えっさほいさと調子よく大通りをかけぬけていきました。ところがはたごの前でなにかに足をとられ、音吉はすってんころりんところんでしまいました。
「いてててて」
音吉は思わず声をあげました。あたり一面に大工道具がちらばりました。
「だいじょうぶですか?」
だれかの声がしておどろいてあたりを見まわしましたが、だれの姿もありません。おかしいなあと足もとを見ると、ちらばった道具のなかに、つやのある白い石がころがっています。音吉はなんだろうと、その石をひろいあげました。
「いやあ、やっとひろってくださった」
とその石がいいました。
「なに? おまえさん、しゃべれるのか」
「まあ、ほんのかたことですが」
「しゃべる石とは、こりゃたまげたな」
「いえ、わたしはシャボンといいます」
「シャボン?」
「はい、着物のよごれを落としたり、顔をあらったり、さっときれいにします。