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入賞者決定
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最終投票では一人一票を持ち、最も優れていると思う作品に付箋を貼ります。プレゼンパネルで「伝える力」を発揮した、カプセルホテル「ナインアワーズ 京都寺町」が6票。本の中を彷徨う楽しさのある、レッグウェア専門店の「SOQS」が1票。この結果が妥当なのか、しばし意見交換が行われます。「カプセルホテルもいいが、SOQSも際だっている。4対3くらいで意見が割れると思っていた」「デザインそのものの力の前に、カプセルホテルという場所に影響されているのでは?」などの意見が出ましたが、最終的には投票結果のまま確定しました。
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審査員7名に対し、付箋6枚を獲得した、京都のカプセルホテル「ナインアワーズ」。
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大賞
「ナインアワーズ 京都寺町」(京都市下京区)
柴田文江(クリエイティブディレクション/プロダクトデザイン)、廣村正彰(サイン&グラフィックデザイン) 中村隆秋(インテリアデザイン)
辻村 : 「プログラムが良かったこともあるが、こういったデザインをすることの意味が、現代では求められている。京都の中で異彩を放つデザインながら、街にも調和している。」
前田 : 「カプセルホテルは黒川紀章氏が最初に提案した概念。日本独特のシステムが選ばれるということにも意義がある。空間としての提案、都市への提案があると思う。」
須藤 : 「カプセルホテルは巣作りに近いものがあると感じた。テキスタイルも自然から学ぶ動きが大きくなっており、このデザインは興味深い。」
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今年の審査を振り返って
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「今年の作品群はバラエティに富んで良かった」と審査を振り返った近藤氏。
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「カプセルホテルは京都の町に意外に調和していて、そういう意味でもよい」と辻村氏。
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審査員賞もあっていい、ということで、その対象となる作品をまた話し合う皆さん。
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飯島直樹(審査員長/飯島直樹デザイン室 インテリアデザイナー)
今回の審査対象は、全体的な水準が非常に高かった。海外からの応募も増えて、世界的な背景を持つイベントに成長している。景気の状況もあり、都会の一等地にあるような施設もなく、大上段に構えた作品は少なかったが、それが逆に空間デザインの質としては健康的な印象。小さな店舗でも力強さがある。
小坂竜(乃村工藝社 インテリアデザイナー)
大賞を争った2作品はどちらもコンセプトが明快で、言いたいことがすぐ分かり、際立っていた。それ以外はバラエティに富んでいて、インスタレーション的なデザインもいくつか見られ、良い作品が集まった。
近藤康夫(近藤康夫デザイン事務所 インテリアデザイナー)
店舗はどれも甲乙付けがたかったし、美容院はこれまで大きなものが選ばれていたのに、今年は2人入ればいっぱいというふうな小規模なものに変わってきている。デザイナーだけでなく、オーナーと一緒に作り上げる仕事ができると、もっと面白くなると思う。
須藤玲子(NUNO テキスタイルデザイナー) JCDアワードは、プロジェクトの規模にかかわらず同じ舞台で空間デザインを審査される場となっている点が素晴らしい。小規模でも印象に残る施設から、普請道楽的な空間づくりが感じられる作品まで色々で、バラエティに富んで可能性を感じる。
辻村久信(辻村久信デザイン事務所 インテリアデザイナー)
規模が小さいからこそ実現できた作品もあり、そういった空間には、実際には機能的な問題点が隠れているようにも思う。しかし、見えないところで尖っているようなデザインが、未来への礎を築くので、欠けるものがあっても魅力的な空間を評価できるのはいい。
古谷誠章(早稲田大学創造理工学部教授 建築家)
建築系の作品が応募対象から外れ、去年と違って商空間に限定された審査ができている。空間がどうデザインされているかが評価の要点だが、そういった力のあるデザインが選ばれたのではないか。
前田尚武(森美術館 展示デザイナー)
空間としての提案があるもの、都市への空間があるものが選ばれたと思う。暮らしは都市部だけで成立しているわけではないので、1都市に1つくらい地域のコミュニケーションを促進するデザインがあると良いと思うが、そのような作品がいくつか見られて良かった。
なお、大賞となった柴田文江さん、廣村正彰さん、中村隆秋さんはアップルストアで無償の講演会を開催することになっています。どのようなプロセスやアイデアで力強いインテリアデザインを導き出したのか、デザイナーの口から語られる空間づくりの極意を聞きに是非とも出掛けたいもの。講演会の日時は、後日JCDのサイトで告知されます。
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