受賞者インタビュー
2018/01/23 17:00

受賞者に聞く! 「CSデザイン賞」特集 [2] 学生部門編 [PR]

画像:CSデザイン賞 特集第2弾のインタビュー対象者。第18回CSデザイン賞・学生部門で銀賞を受賞し、現在は総合ディスプレイ業界最大手の株式会社丹青社で活躍する金子華絵さん。
カッティングシート®(以下、カッティングシート)は、切って貼れるカラフルな装飾用シート。空間デザインに欠かせない色素材として、常に時代のニーズを支えてきた。この素材を開発した中川ケミカルが、1982年から実施しているのが「CSデザイン賞」だ。現在は第20回の作品募集中。

「登竜門」では2回にわたりこのコンペを特集している(特集[1] はこちら)。第2弾となる今回は、第18回CSデザイン賞・学生部門で銀賞を受賞し、現在は総合ディスプレイ業界のリーディングカンパニーである株式会社丹青社で活躍する金子華絵さんにインタビュー。コンペの魅力やキャリアへのつながりをうかがった。

グラフィック、インテリア、そして空間デザインを仕事に

― まず、現在のお仕事内容を教えてください。

丹青社に入社してもうじき3年目で、現在は主に専門店などの商業空間や、オフィスなどのビジネス空間を提案する仕事に携わっています。中には一人で担当するプロジェクトもあり、やりがいのある仕事をしています。

画像:インタビューを受ける金子華絵さん

金子華絵:1994年生まれ。2015年に首都大学東京インダストリアルアートコースを卒業し株式会社丹青社に入社。現在は同社コマーシャルスペース事業部デザイン統括部。

丹青社を志望したのは、業界を代表する会社なのでさまざまな要素が絡んだ幅広い空間デザインの仕事ができるのではと思ったからです。

― 大学はインダストリアルアートコースを卒業されていますが、どのようなことを勉強されていたのですか?

私の所属学部では2年生まで映像や空間、グラフィック、エディトリアルなど、デザインに関することを幅広く勉強します。3年に進級するタイミングで専門分野を絞り、4年でゼミに入るんです。

私はもともと雑誌やグラフィックが好きだったのですが、グラフィックの要素で楽しい空間をつくることに興味が湧いてきて、4年生のときにはインテリアのゼミを選びました。幅広い授業を通じていろいろな先生に出会ったりコンペに応募したりするうちに、新しいことに興味が生まれたり自分の可能性が見えたりして、進む方向が変わっていきました。

コンペ慣れしていなくても、CSデザイン賞は気軽に挑戦できた

― CSデザイン賞に応募したきっかけを教えてください。

就職活動のためにというのもありましたし、自分のデザインが世の中でどれだけ通用するのかを知りたかったからです。

私の周りはコンペにあまり積極的ではなかったんですよね。私もそんな一人で、就職活動を考え始める3年生になってから焦り出して頑張るという感じでした。コンペに応募したのはCSデザイン賞で2回目で、加工しやすいカッティングシートなら制作のハードルもそこまで高くないように思え、気軽に挑戦してみようという気持ちで応募しました。

― 受賞作品「おうち五輪」はどのようにして誕生したのでしょうか?

プレゼンボード画像:銀賞を受賞した金子さんの作品「おうち五輪」

銀賞を受賞した金子さんの作品「おうち五輪」。五輪の5色を用いて、5つの競技をモチーフにしたデザインステッカーの提案

第18回の募集テーマは、「デザインステッカー」(カッティングシートをあらかじめ、文字や絵柄にデザインし、加工をした半既製品のステッカー)で、いろいろ考えました。

実は当時、“人間”のモチーフがひそかなマイブームで(笑)。たとえば「組体操する人間がプリントされたトートバッグ」「人間の形をしたブローチ」など、多い日だと10人以上の“人間”が私にくっついていました。

だから応募作品にも小さな“人間”を取り入れたいと思い、最初は“人間”をいろいろなマークにして、家の中に貼っていきました。タンスやトイレ、コンセントなど、ここに人間がいたらおもしろいな! というところに。

あるとき、人間の形が最も特徴的に表現できるのはスポーツだとひらめき、ちょうど五輪関係のニュースがよく流れていた時期でもあったので、“人間”と“五輪”をテーマにした作品「おうち五輪」を思いつきました。五輪開催地は私のおうち、家のさまざまな場所を競技会場にしちゃおうというコンセプトです。

画像:第18回CSデザイン賞 プロトタイプ(おうち五輪)

「おうち五輪」プロトタイプ。五輪の5色を用いて、5つの競技をモチーフにしたデザインステッカーだ

発想から制作までちょうど2週間。競技画像を見てスケッチし、それをカッティングシートにトレースしてカッターで切って完成。寒い季節で、こたつに入ってのんびり作ったのを覚えています。

空間デザインの楽しさを知り、将来の仕事につながった

― 学生部門の銀賞を受賞、その後はどのようなことがありましたか?

受賞作品は中川ケミカルさんと一緒にさまざまなブラッシュアップをして商品化に至ったのですが、商品を手にしたとき「そうだ、『商品』ってこういう形が『あるべき姿』だよね」と感じました。商品化を前提とした制作プロセスの大切さを学んだんです。この経験は今の仕事でも役立っていて、ラフスケッチの段階からお客様が使うことを前提にしています。

画像:インタビューを受ける金子さんの手元におかれた「おうち五輪」の商品。

商品化された「おうち五輪」。受賞時は円形のパッケージが家型になっている。中川ケミカルのインハウスデザイナーたちが慎重に検討、微調整を行って商品となった。

また、就職活動の際、デザイナーの面接ではいくつかの作品をプレゼンするのですが、最後に「おうち五輪」を見せると急に場が和んで、面接官の方々とさまざまなコミュニーケーションが生まれたのが印象的でした。みなさんに楽しんでいただいて、その反応が嬉しかったです。

― コンペを通じて得られた最も大きなものは何でしたか?

空間デザインの楽しさを知ったことが大きかったと思います。プロダクト単体にとどまらず、ステッカーが貼られた空間がどう生きるのか考えるのは本当に楽しかった。

応募した頃は、ちょうど進路について気持ちが揺らいでいる時期でした。CSデザイン賞・学生部門の審査員をしている菊竹雪先生が私の大学に講師として着任し、グラフックデザインを空間に取り入れる仕事ぶりを見て「かっこいいな」って思ったりもしていたのです。

CSデザイン賞への応募や受賞がきっかけで自分のしたいことが分かり、空間デザインに進む決心ができたと言えるかもしれません。

画像:第18回CSデザイン賞 商品化された「おうち五輪」がおうちに貼られた様子

「おうち五輪」はステッカー単体としてのデザイン性を超え、空間を楽しくするツール。

― 最後に、CSデザイン賞への応募を考えている学生のみなさんにメッセージを!

とにかく応募してみること。一度コンペに出してみると、自分の能力や作品が評価されることに慣れてくるし、フィードバックが得られることで自信に繋がります。私はもっと挑戦してみたいという気持ちが大きくなって、その後もいろいろなコンペに応募するようになりました。

また、作品制作は自分が楽しいこと、好きなことを対象にするのが大事だと思います。私は「おうち五輪」がとても好きだったので、後から結果が付いてきたという感じです。社会人になってから実感していますが、自分が楽しいと思える時はいい仕事ができるんですよ。

気軽な気持ちで、挑戦を楽しんでくださいね!

画像:登竜門のインタビューにこたえてくれた、金子華絵さん(丹青社)。第18回CSデザイン賞の学生部門で銀賞を受賞

CSデザイン賞 学生部門 募集概要

募集内容:カッティングシート×デザインをテーマに設定し、カッティングシートの使用を前提としたデザイン提案
テーマ:遊び心で人と渋谷をつなげる「仮囲い」
賞:金賞(1点) 賞金15万円、賞状 ほか各賞
募集期間:2017年12月1日(金)~2018年3月30日(金)

募集要項:
https://compe.japandesign.ne.jp/cs-designaward-gakusei-2017/

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