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2019/11/11 15:45

【結果速報】「写真新世紀 2019」グランプリは中村智道さん「蟻のような」

写真新世紀 2019 グランプリ作品 グランプリ「蟻のような」中村智道 展示の様子

11月8日、東京都写真美術館にて、新進写真家の登竜門となるフォトコンテスト「写真新世紀 2019」の最終審査会が行われた。

公募「写真新世紀」は、写真表現の可能性に挑戦する新人写真家の発掘・育成・支援を目的として、キヤノンが1991年にスタートした文化支援プロジェクト。『写真で何が出来るだろう?写真でしかできないことは何だろう?』をキーワードに開催され、今年で42回目を迎えた。

1,959点の応募の中から選出された、優秀賞8名によるプレゼンテーション審査の結果、最優秀賞に選ばれたのは中村智道さんの作品「蟻のような」。

生死に触れた感情を、『蟻』を通して昇華させた

アニメーション作家の中村さんは体調を崩してアニメ制作ができなくなり、表現者として諦めたくなくて救いを求めたのが写真だったという。

受賞作品は父の闘病と死、それに続く自身の闘病を、幼少期から強いこだわりを持って注視し続けてきた蟻をモチーフにした写真で表現している。審査員で写真家のリネケ・ダイクストラさんは、「強い感情的なつながりが作品に現れていたと思う。お父様を亡くされた、悲しみをはじめとするたくさんの複雑な感情を、蟻をメタファーとした美しい作品に昇華させた」と講評した。

現在も闘病中の中村さんは授賞の壇上で、「受賞の喜びというより、『表現の世界に残れた』という思いが強い。これからも、体調の回復と、これまでしてきた表現と新たな表現手法を融合させるなど含め、制作を続けていきたい」と語った。

前列はグランプリを含む優秀者8名(左から小林寿さん、吉田多麻希さん、幸田大地さん、中村智道さん、江口那津子さん、田島顯さん、遠藤祐輔さん)、後列は審査員(左から椹木野衣さん、ポール・グラハムさん、リネケ・ダイクストラさん、ユーリン・リーさん、瀧本幹也さん、安村崇さん)

グランプリ受賞の中村さんには奨励金100万円、キヤノンのミラーレスカメラ「EOS R」と交換レンズ「RF24-70mm F2.8 L IS USM」、さらに2020年の「写真新世紀展」会期中の個展開催権が贈呈された。また、優秀賞7名には奨励金20万円、佳作14名には奨励金3万円が贈られた。

受賞作品が一堂に会する受賞展は11月17日まで。会場ではオーディエンス賞の投票も行われている。

「写真新世紀2019」展示概要

●開催期間
2019年10月19日(土)~11月17日(日)
10:00~18:00(木・金曜日は20:00まで)
※休館:毎週月曜日

●場所
東京都写真美術館
(東京都目黒区三田1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内)

●入場料
無料

●展示作家
グランプリ・優秀賞(江口那津子、遠藤祐輔、幸田大地、小林寿、田島顯、中村智道、吉田多麻希)
佳作(伊藤ゆかり、宇平剛史、柏田テツヲ、金井啓太、真治一樹、高木ひでこ、立川清志楼、陳少師、新田将行、原田愛子、尾藤能暢、松下律子、Yas⁺、王露)

公式ホームページ
https://global.canon/ja/newcosmos/

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