三井化学株式会社 コンセプト素材 NAGORI™ 活用アイデアコンテスト2017

結果発表

今回は224件のご応募の中から、厳正な審査の結果、以下の通り6点の受賞作品を選出しました。
たくさんのご応募ありがとうございました!

大賞(1点・賞金20万円)

 

該当なし

 

優秀賞(6点・賞金5万円)※五十音順

OMOTENASHI - TRAY
梅﨑 健
優秀賞「OMOTENASHI - TRAY」梅﨑健 イメージボード

作品コンセプト

ホテルや飲食店でのインバウンド・マーケットをターゲットにした商品です。
日本らしさを表現する市松や七宝柄をグロスマットでさりげなく取り入れ、日本文化のシンプルなフォルムで上品にデザインしました。
また小紋柄や日本の色でバリエーションが考えられます。フォーマルにもカジュアルな場でも使えるアイテムです。

素材の特性をどのように活かすか

プラスチックの軽さやメンテナンス性、強度の良さを活かしつつ、磁器のような上質な質感を活かそうと思いました。とかく安っぽくなりがちなプラスチックやメンテナンス性もよくない成形合板と異なり、磁器のような質感や光の変化で浮かび上がる文様の付加価値は、新たなトレイの可能性や拡がりを感じています。

審査コメント

“おもてなしの心”の表現として、トレイの価値を気づかせてくれました。

NAGORI™ を「浴室床冷暖房設備」の床材として使用
柴野浩美
優秀賞「NAGORIを『浴室床冷暖房設備』の床材として使用」柴野浩美 イメージボード

作品コンセプト

現在普及している浴室暖房は、天井や壁に取り付けて熱を送るという方式です。
この方式では、暖かい空気が上の方ばかりに行ってしまうため、顔ばかりが熱くほてって、肝心の一番暖まってほしい足元は寒いまま、といった状態になりがちです。
正直あまり快適とは言えません。
そこで、NAGORI™の活用案として、冬は足元から心地良く暖まり、夏はひんやり涼しい「浴室床冷暖房設備」の床材としての使用を提案させていただきます。

素材の特性をどのように活かすか

調べてみますと、現在既に浴室床暖房なるものは存在しているようですが、床材は「タイル」が主流のようです。タイルではひび割れが生じますし、既製品として量産することによるコストダウンも出来ません。そこでNAGORI™です。熱伝導性を持つNAGORI™なら浴室床暖房の床材として大変秀逸であると考えます。タイルのようなひび割れは生じませんし、量産も可能です。浴室の壁や天井にも使用してデザイン的な統一感を出すことも可能です。

審査コメント

NAGORI™の熱伝導性と触感を生かしていただきました。ボリュームも大きいので、浴室用材料は有望な用途の一つかもしれません。

NAMIKI
杉 繁征
優秀賞「NAMIKI」杉 繁征 イメージボード

作品コンセプト

NAGORI™のストーリーを思わず誰かに伝えたくなるような、波をモチーフにした波器(NAMIKI)の提案です。
上にいくにつれて波長が緩やかになる形状は、特有のグリップ性があり握りやすく、使うたびに「海水のミネラル成分からできている」というNAGORI™のストーリーを連想させてくれます。

素材の特性をどのように活かすか

側面はエッジの立った形状をしているので、NAGORI™のエッジの再現性を表現できます。海水のミネラル成分からできている素材を使い人や見た人にストレートに伝えられる形状になればという意味を込めて波をモチーフにした食器をデザインしました。

審査コメント

海のミネラルからできているコンセプトを、スタイリッシュに表現いただきました。プラスチックの成形性を活用して波を表現した点を評価しています。

round yutanpo
鈴木啓太
優秀賞「round yutanpo」鈴木啓太  イメージボード

作品コンセプト

round yutanpoは、お腹にあてたり、床に置いて足にあてたり、曲面が体に優しくフィットする湯たんぽです。
親しみや温かみを感じられるように、古くからある携帯用の酒瓶(hip flask)の体に優しくフィットする形状を湯たんぽに用いデザインしました。

素材の特性をどのように活かすか

湯たんぽは、熱伝導性が高い陶器や金属のものが多いですが、蓄熱性がある陶製のものの方が、湯たんぽとしての性能が優れています。NAGORI™の、陶器のような熱に対しての特性や、高精度な加工ができる特性を活かし、お湯の温もりを伝え、止水のために高精度な加工が必要なRound yutanpoをデザインしました。NAGORI™はプラスチックなので、陶製の湯たんぽのように、落して割れる心配もありません。

審査コメント

湯たんぽのアイデアを評価しています。質感・触感・熱伝導性とともに、プラスチックの成形性からいろいろな形が可能であり、さらにキャップも一体成型が可能であることから、良い用途であると感じます。

NAGORING
PandA(井上恵一・堀 真美)
優秀賞「NAGORING」井上恵一・堀 真美 [ PandA ]  イメージボード

作品コンセプト

植物の成長に必要な植替えを行うと古い植木鉢が余ります。
そこで輪切にしたリング状のNAGORING鉢を彼らの成長に合うようその都度下に追加していくシステムを考えました。
成長のたびに施肥されたリングを追加することで新しい根が下に延び、共に肥料も効率的に吸収されることになります。
積み重ねられたリングが縞模様を描き、植物の成長年月を感じるデザインとし「家族と共に成長するNAGORI™ 」を提案します。

素材の特性をどのように活かすか

インテリアとしてプラ鉢にない陶器の重厚感を持ち、プラスチックの加工特性を利用しネジ状にて接続します。

審査コメント

自然素材を感じさせてくれる植木鉢。プラスチックの成形性を生かし、成長に伴って増殖する植木鉢というコンセプトが大変面白いと評価しました。

和み石 NAGO(M)I-ISHI
船越一平
優秀賞「和み石 NAGO(M)I-ISHI 」船越一平 イメージボード

作品コンセプト

市販の「充電式カイロ」は表面がツルツルのいわゆるプラスチッキーな質感がほとんどのようである。
そこで上質な温度感覚を持ったこの素材を用いることで、ずっと握っていたくなるようなアイテムに変貌するかもしれない。
冬の寒さにも、心和むひと時を。単なる電化製品から感性価値を付加した詩的オブジェへ。

素材の特性をどのように活かすか

この素材を手にした時、その質感を引き出すためには薄肉ではなく塊として利用した方がいいと思えた。
そこで携帯型ヒーターをテーマに、製品にしっかりと「厚みを与える」ことで内臓ヒーターからの熱を「じんわり」伝えてくれる、丸石のような意匠デザインを狙った。
やや「マットな質感」とも相性がいい。自然物のような意匠性なので厚みを持たせたことによる「重み」もデメリットにならない。
また部分的に木材とミックスすることで本当の「自然材のような」、脱プラスチックな存在であることを感じてもらえるのではないだろうか。

審査コメント

カイロという用途アイデアとともに、“石”であることから、自然素材としての触感と質感を表現できる点を評価しました。小さい頃、お気に入りの“石”を集めたことを思い出します。

審査講評

今回は、三井化学の新しいコンセプト素材「NAGORI™」の活用アイデアコンテストにご応募いただきまして、ありがとうございます。

審査においては、弊社でNAGORI™の開発を主導してきた研究者をはじめ、担当者が顔を突き合わせて議論してきました。全体としてアイデアのレベルが高く、素材メーカーである私たちには思いもつかない、さまざまなアイデアをご提案いただいたと感謝しております。一方、大賞の選定にあたっては、それぞれに皆さんのアイデアの良さがにじみ出ており、なかなか優劣つけがたく、悩ましい時間を過ごしました。最終的に大賞1点・優秀賞2点ではなく、優秀賞6点とさせていただきました。結果として、多くの方に賞を授与することができて良かったのではと思っております。

独特な質感・熱伝導・触感を持ち、かつプラスチックの成型性をも併せ持つ、この新素材NAGORI™の用途開発はまだまだ続きます。今後、よりターゲットを絞ったデザインコンテストを実施する可能性もございますし、新たな新素材をご紹介させていただき再びアイデアコンテストを行う可能性もあるかと思います。

その際にはぜひ今回同様、あるいはそれ以上に応募いただけますように、お願いいたします。

なお三井化学は2018年3月7日(水)から11日(日)まで、さまざまな素材をミックスした技術を展示する限定イベント「MOLpCafé(モルカフェ)」を開催します(※7日はPress day)。NAGORI™も、ビアタンブラーになって展示予定です。ぜひお越しください。

三井化学のオープン・ラボラトリー活動 「そざいの魅力ラボ - MOLp™ -」が期間限定のMOLpCaféをオープンします
  (三井化学ウェブサイト)

2018年3月6日 三井化学株式会社