応募いただいた皆様の発想に刺激を受け、普段一堂に会することが無い審査員のメンバーと「住む渋谷のデザイン」をテーマに熱い意見交換をさせて頂きました。
新しい発想に満ち溢れ、それを実現する舞台が用意されている街に働き、暮らすことはとても素敵なことだと改めて感じました。
創造と交流の誘発を目指すこのコレクティブハウスからクリエイターが育ち、そして新たなビジネスが渋谷の街から生まれることを心から願っております。
(渋谷宮下町リアルティ株式会社 代表取締役/東京急行電鉄株式会社 都市創造本部 開発事業部 統括部長 西澤 信二)
猪熊 純(建築家/首都大学東京助教)
空間設計的なアイデアよりも、運営方法などのソフト面に対するアイデアの方が多かったのが印象的でした。そうした中で、最優秀案は、無機質で閉鎖的な中廊下を大きく読み替え、廊下をむしろフロアの中心とし、とても楽しそうに作られているのが好印象でした。一方で、ソフト的なアイデアは鋭い視点を提起するものも多く、そうしたものに対する学生さん達の興味が現れているようで、今後が楽しみになりました。
小宮山 雄飛(ミュージシャン/渋谷区クリエイティブディレクター)
僕は実際に今回出来る施設のすぐ近くで生まれ育っているので、デザインやアイデアだけではなく、そこで生活する人達の視点を重視して審査させていただきました。中には渋谷の持つ先端性に着目し過ぎでは?という奇抜なアイデアもありましたが、最終的に残ったのはやはり日々の生活をしっかり捉えたものだったように思います。あとはこの施設が実際に出来上がってからどう成長し、それにより渋谷の街がさらにどう変わって行くか。渋谷区観光大使としてこの先もしっかり見届けられればと思います。
齋藤 精一(クリエイティブディレクター/テクニカルディレクター)
渋谷=東京のど真ん中に住むことをどう言うべきか?今回の審査では自分自身が実際に住むことを前提として審査させていただきました。コミュニケーションの変化やモノを作る手法やプロセスの変化も見据えたうえで、エンターテイメントシティー渋谷に貢献できるような、モノづくりの人が住む/働く、両方のちょうど良さが最優秀作品にも他の賞にも見られると思います。本当にこの場所がこのアイデアをもとに建設され、機能する日が待ち遠しいです。
成瀬 友梨(建築家/東京大学助教)
デザインコンペでありながら、特に人と人との関わりに着目したソフトよりの提案が多かったことが印象的でした。事業に活かせるアイデアが沢山あったと思うので、是非実現していただきたいと思います。一方で、クリエイター=デザイン、ものづくりという固定のイメージにとらわれているような案もありました。クリエイティブな生き方をしている人たちと、面白い場をどう生み出していけるのか、考える余地はまだありそうです。
板谷 優志、川見拓也(横浜国立大学大学院 都市イノベーション学府 建築都市文化専攻 Y-GSA 1年)
クリエイターにとって特技とは、暮らすことそのものでありアイデンティティだ。クリエイターが集まって暮らすことで特技や興味が見世としてあふれる、縁日のような街になる。自分だけの特技や興味が名刺のように交換され、生活の中で新しい仕事が生み出される。あたらしいカルチャーの発信拠点として生まれ変わる、渋谷の街は“クリエイター”という自分だけの深い好奇心をもった人たちが集まる場所として住み継がれてゆく。
左:板谷優志、右:川見拓也
ひとりのクリエイターとして、同じ目線でこのプロジェクトに関われることが嬉しいです。この提案は、イエとして閉じつつも、世界と連続するようにミセとしても開いていきたいという、クリエイターならではの微妙な暮らしのニュアンスを空間にしたものだと思っています。クリエイターは空間を使うプロでもあります。感性ゆたかなクリエイターたちがどんな街をつくるのか、どんな面白い仕事がうまれるのか、今から楽しみです。
吉本 晃一朗(株式会社竹中工務店 設計部)
渋谷に住むことは、自己発信し続けることへの決意表明である。本提案では、クリエイターの持つ“日常性”に刺激を与える空間的な仕掛けを試みた。壁一面に設置されたLEDモニターにより、文化や時間の異なる“WORLD COMMON”が24時間映し出されている。PCやスマートフォンによるSNSだけでは感じ取れない空間的な繋がりは、会話を強要しなくとも、より自然な自己発信を誘発するきっかけとなる。
このコンペの最大の魅力は、様々な分野を横断し構成された審査員メンバーにあると思います。シブヤという流動的なまちを探求するためには多角的な視点が必要であり、このコンペを通じてどのような“結果”を出されるか非常に楽しみにしておりました。私自身、元渋谷区民として、シブヤを考えるこのような活動に多少なりとも関与できたことを大変光栄に思います。ありがとうございました。
(※協力者 鈴木尭 加瀬亮平 大本裕一 菅一菜美)
竹田 将一・津本 匡徹・小林 史奈・渡辺 裕
(千葉大学大学院 工学研究科 建築・都市科学専攻 都市環境システムコース 博士前期課程 1年)
渋谷にはクリエイティブで向上心が高い人々がたくさんいます。私たちの作品は、そんなクリエイティブな人々の交流を誘発し、全く新しいものを創造していく環境を「大学」のようにデザインしました。彼らがSHIBUYA CREATIVE COLLEGE(SCC)を「卒業」し、渋谷の発展に貢献していくとともに、SCCの価値を高めていくことで、住人の循環を促し、絶えず出会いと交流の場となる、新しいコレクティブハウスの提案です。
上:小林、下:津本
左:渡辺、右:竹田
私たちは主に空間の提案ではなく、住人がどのように生活するかというライフスタイルの提案をしました。
4人で何度も話し合い、渋谷に住む人はどんな人なのか、渋谷らしいコレクティブハウスとは何なのかを突き詰めました。何度もエスキスを繰り返し、4人で作り上げた作品を、今回アイデア賞という形で評価して頂き、大変嬉しく思います。
内田 健太(フリーランス)
張 唐・林 玲(東京大学大学院 工学系研究科 建築学専攻 修士1年)
入居者のためのコレクティブハウスではなく、市民のコレクティブハウスでもありながら、クリエイターに機会を与えることもできることをコンセプトにしました。クリエイターは市民の支援でハウスに入居することができ、入居者互いの廃材で家具をつくりながら刺激を受け、記憶の継承であるこれらの家具を災害時市民のための避難所の建材などにするという提案です。支えあい、創造と交流の溢れる渋谷の地を楽しみにしています。
写真左:張 唐、右:林 玲
この度は入選することができ、感謝と喜びの気持ちでございます。二人とも渋谷が大好きです。渋谷の路上ライブで癒せれた事も有ります。私たち自身も夢を叶うため実家を出て戦っているため、同じような人間を応援したいという気持ちでリブシブ賞を応募してみました。リブシブ賞をきっかけとして、大好きな渋谷のこの地に私たちが思うコレクティブハウスの姿を提案する事ができて満足しています。本当にありがとうございました。
渋谷宮下町リアルティ株式会社