結果発表

最優秀賞

該当なし

優秀賞

  • 「CAT CHAIR」 陳 彬

    cat chair

  • 「MOO-KUU」 高橋賢治

    MOO-KUU

  • 「祀り木 matsuri-gi」 望月和也

    祀り木 matsuri-gi

  • 「ARCH」 Cheon Ikje

    ARCH

奨励賞

  • 「Wooden interest」 翟 伟民

    Wooden interest

  • 「COROMO」 熊谷有太郎

    COROMO

  • 「CHAeRful」 岡谷知幸

    CHAeRful

特別賞

  • 「I love dining」 大江孝明

    I love dining

主催者より

4回目となる今回は国内外から232点のご応募をいただきました。前回の総数が248点ですから、少し減少いたしました。内訳をみますと、海外からの応募が54点と前回と比べ1.5倍になり、参加国数も16から26と大きく伸びました。本アワードを通して家具産地としての飛騨が世界中に知られてきていることを実感しております。

今回の応募作品を見渡して、全体的なレベル向上という感想を持ちました。この感想は、私たち以外の審査員、外部アドバイザーの皆さんも同じであったようです。ただし、頭抜けた作品を見出すことができず、今回は最優秀賞を出すことができませんでした。話し合いの結果、優秀賞を1枠追加し賞金を増額させていただき、さらに特別賞を新設し表彰させていただくこととしました。

今回も学生を含む若い世代の皆様の参加が多かったことに変わりはありません。このアワードが、将来コラボレートする可能性があるデザイナーとの接点となることを、主催者である私たちは期待しております。世の中に様々な素材がある中で、木という素材はどのような可能性があるのか。アワードへの参加をきっかけに、木製品や家具に関心を持っていただき、ぜひ引き続きチャレンジいただきたいです。

受賞された方々の顔ぶれで特筆すべきは、3人の海外出身・在住の方がいらっしゃることでしょう。審査は一切の個人情報を排して行うので、意図したものではありません。これからも、様々な出身地、世代の皆様とともに、このアワードを盛り上げていきたいと考えております。

今回は優秀賞として4点を選出いたしました。「ARCH」は、背もたれと一体になった後脚の特徴的な形状を評価しました。背もたれの下に新たな空間を作り出す「cat chair」は猫と椅子を共有する新たな考え方を提示しました。「MOO-KUU」は家具という発想を超えて木の魅力をダイレクトに伝えています。「祀り木 matsuri-gi」は注連縄を想起させる木目が整然と組み合わさる様子と形状の柔らかさというコントラストが共感を呼びました。

「I love dining」は形状の新鮮さ、提案力を評価しました。ただし、試作するには強度面での問題が予想されたため、審査会で討議の結果、特別賞として表彰することとしました。

学生と30才未満の方を対象とする奨励賞は3点を選出いたしました。「COROMO」は床座のための新たな提案です。「CHAeRful」はトレーニング器具と一体になった椅子。「Wooden interest」は組み立てる過程を楽む観点が新鮮でした。

前回の総評では「3回目にして本コンテストの個性、あり方が見えてきたようにも思う」と申しました。1年を経て、4回目の結果とともに振り返りますと、応募作品数、プレゼンテーションのレベルが収束してきたように思えます。

主催者としましては、改めて、応募作品にこめられた皆様の思いを受けとめるとともに、入賞した各作品についての製品化を検討し、世の中に送り出していく努力を続けてまいります。今後も改善を積み重ねて、このコンテストがいつか国内外のクリエイターの登竜門となり、飛騨が家具づくりの一大聖地になることを目指して、努力してまいりたいと考えております。

最後になりましたが、ご応募いただいた皆様、外部アドバイザーの皆様、取材いただいた報道の皆様、関わっていただいた皆様へ御礼申し上げます。 ありがとうございました。

飛騨木工連合会

外部アドバイザーコメント

  • 安東陽子

    Photo Sadao Hotta

    安東陽子(テキスタイルデザイナー・コーディネーター)

    今回、初めて飛騨の家具アワードの多くの作品に触れて、家具そのものはもとより、家具が使われる空間や人の使い心地にまで思いをはせて提案されているものが多いことに感銘を受けました。私は日頃から建築家との協働でテキスタイルが空間にもたらす役割について考えている中で、家具と生活や空間との関係をみた場合に、優れた家具とテキスタイルの共通点を見出すことができたことも大変興味深い経験でした。受賞者が男性ばかりだったことを知り少し意外でしたが、海外からの応募者含む8名の受賞者の方々それぞれが個性的で、豊かな多様性が感じられました。

  • 川上元美

    川上元美(デザイナー)

    先回の受賞作品のいくつかのプロトタイプが展示されましたが、改めて実寸試作が出来上がった作品を眺めて、イメージしていたよりもはるかに素晴らしい出来でりました。優れたデザインは実物になると迫力を持って現れること、そしてそれを支える担当メーカーの技術力の高さを改めて確認いたしました。微調整をしてぜひ商品化までこぎつけていただきたく思います。さて今年度の応募作品も多岐にわたる傾向の佳品が多く寄せられており、限られたフォーマットの中でのプレゼンテーションの技術も上がってきましたが、アイデアのみではなく、実現するためのディテールを示してほしい作品が多くありました。 今回は全作品を通じて抜きんでたものがなく最優秀賞を選出できませんでしたが、多くの佳品がしのぎを削る内容でした。 椅子の概念も拡張して興味深い思考も増えてきましたが、このコンペは、当地の産業の推進のためにも、また人々が求める応募作品が多く集まることをアドバイザーとして期待致します。 木製家具の歴史は長きに渡ります。圧倒的に多い応募の椅子には、人が座るというシンプルな機能のみならず、それぞれの時代の社会背景を反映させてきた興味深い経緯が有るものです。今回の応募作品も目的や椅子に対する目線、時代に即応したコンセプトなどさまざまな切り口を拝見しますが、内容の類似したものが多く、突出したものを創造することの難しさを改めて痛感いたしました。 そんな中で、私は現代の生活風景に馴染む新しいシンボルの神棚、「祀り木」と台湾から応募のティー・テーブル「Wooden Interest」や「Su Bamboo Ring Chair」が印象深く残った作品でした。 ネット時代の反映でしょうか、急速に、海外からの応募が多くなってきたことは飛騨高山の家具が、特にアジア圏で認知されてきた表れと思われますが、将来に向かって楽しみな動向です。一段と優れた作品が集まるようになり、高山の家具産業が賑わうことを期待いたします。

  • 鶴田 浩

    鶴田 浩(リアル・スタイル株式会社 代表取締役)

    第4回となる今年のデザインコンテストは全体的に昨年よりレベルが上がったように感じました。その中で国内外の学生さんをはじめとする20代30代前半の若い世代の力ある作品が多く見られ大変喜ばしいことでした。デザイン性はさることながら市場での流通も見据えてアドバイスさせて頂きましたが、受賞した皆さまの作品は、様々なチャンネルでの流通の可能性が大きいと思います。受賞された方々の今後の益々の活躍を期待して総評とさせて頂きます。

  • 山崎 泰

    山崎 泰(JDN・登竜門 ブランドディレクター)

    全体を見渡して提案の平均値が上がった印象を持ちました。ただ、最優秀という突破力を持つ提案とは出会えませんでした。ペットとの共生、新たな神具や仏具のあり方という現代的テーマへの取り組み、新鮮を感じる椅子のフォルムを見ることができたのは収穫でした。人類と付き合いの長い木という素材で新たな提案を生み出すのは簡単ではないのかな、と感じることもあります。こうした懸念を吹き飛ばしてくれるような出会いに期待したいです。

主催

協同組合 飛騨木工連合会