未来エレベーターコンテスト 2013《学生限定》

募 集 終 了

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最優秀賞

NITROGEN MOBILE STYLE
「NITROGEN MOBILE STYLE」

三武 良輔(東京理科大学)
野村 健太郎(東京理科大学)

作品概要

近い将来、化石燃料は枯渇することが予測されており、同時に化石燃料による環境破壊が問題になっている。その一方で、自然エネルギーの安定供給はまだ難しい状態にある。現状、自然エネルギーは全体の約8%を担っているにすぎない。
そうした状況のなかでこの案が着目したのは、「さつまいも」と「もやし」である。この2つの野菜は劣悪な環境下でもたくましく育つことができる。その理由は、共生している根粒菌と窒素固定菌にある。これらは大気の78%を占めている窒素をアンモニアに変換することができるため、さつまいもやもやしは、そのアンモニアを自らのエネルギー源として育っているのである。
本提案では、この性質を応用し、ビルの外壁に根粒菌・窒素固定菌と共生する植物が育成できる環境をつくりだし、このグリーンウォールによって、エネルギー自律都市を実現する。この都市での移動手段は、同じく菌を育成する植物で覆われたエアーグリーンカーと呼ばれる乗り物である。この乗り物は空を飛びながら充電することも可能だ。


楽しい街 TANO CITY ~エレベータでつながる都市~
「楽しい街 TANO CITY ~エレベータでつながる都市~」

野崎 海(宇都宮大学)
園田 勝正(宇都宮大学)
山﨑 美穂(宇都宮大学)
福田 聖也(宇都宮大学大学院)
佐藤 実紅(宇都宮大学大学院)

作品概要

現在の日本では、食糧生産地(農村、都市郊外)と大量消費地(人口が集中する都市)の距離が隔たっている。そのため、生産地から都市への食糧出荷が不可欠で、地域内自給ができていない。地震などの大規模災害が発生した時には、交通機関が機能しなくなり、深刻な食糧問題が起きるという欠点もある。本提案では、都市のなかに食糧供給拠点(タワー)を置くことで、その解決を図る。
TANO CITYには、エレベーターをコアとした複数の生産タワーが設置され、そのなかで食糧の生産・加工が行われる。エレベーターは収穫・出荷だけにとどまらず、肥料をまいたり、田畑を耕すことにも利用される。TANO CITYで使用する電力は、既存の発電システムに加え、遊具で遊ぶ人の動きや水の落下などを利用した創エネシステムで賄われる。
生産タワーは、各エリアごとのニーズに応じて、それぞれの特徴を備えている。例えば、住宅地モデルであれば、公園とカフェが設置されて憩いの場となり、オフィス街モデルであれば、不足しがちな緑を補うために果樹園や公園を配置し、子どもを預けられる託児所が設けられている等々である。

審査員賞

海中200メートルに沈む海中都市 UMIDES
「海中200メートルに沈む海中都市 UMIDES」

大松 駿(東京工業大学)
近藤 舜介(東京工業大学)
金 相殷(東京工業大学)
二階堂 睦(東京工業大学大学院)
村上 勇樹(東京工業大学)

作品概要

日本を土地面積の点からだけ考えると、世界第60位であり、決して広い国土とはいい難い。だが、日本は周囲を海で囲まれているため、排他的経済水域の面積で比較すると、世界第6位に浮上してくる。
UMIDESは、その海のなか200メートルの場所にエネルギー自給自足都市を建設するという提案である。海は様々な再生エネルギーの宝庫だ。都市は階層状につくられており、例えば、陸地より風の強い海上では洋上風力発電を、海流の最も強い海中の一番上の層では海流発電を、海底と接する最下層では海洋地熱発電を行う。そして、人はそれ以外の層に居住する。
各層は広大なため、複数のエレベーターで結ばれている。エレベーターは、潜水艦と同様、海水を取り込むことで下降し、海水を排出することで上昇する仕組みになっている。エレベーターの外壁はポールを四角形に組んだものを筒状に組み合わせ、接合部分をピン支持にすることで、外壁に加わる水平方向の力を分散し、海中都市が流されるのを防ぐ役割を果たしている。


WATERING CITY
「WATERING CITY」

細谷 奈央(名古屋市立大学)
長谷 直樹(名古屋市立大学)

作品概要

生活用水から工業用水まで、水は我々の生活のあらゆる場面に登場する。水の用途は多様だが、実際には多くの無駄が生じている。その無駄をなくし、水を効率よく循環させて使う都市の提案、それがWATERING CITYである。
観覧車のような巨大な輪のなかには数多くのエレベーターが設置されており、living floor、farm floor、industrial floorの上・中・下三層に分かれた地域のなかをゆっくりと循環している。エレベーターの各かごの下部は、貯水したり、水を濾過したりできるようにつくられている。まず汲み上げた地下水を飲料水、生活用水としてliving floorに配水し、次にliving floorの下水を濾過してfarm floorに配水する。さらに、farm floorの下水を濾過してindustrial floorに配水し、ここから排出された汚水は地下の濾過装置で浄化したあとに地下水に戻すという仕組みになっている。
強化ガラスで覆われたエレベーターのかごの上部には、カフェや売店が設けられている。人はここで食事や買い物をしながら、外の景色を楽しむことができる。


ENNOSITOR
「ENNOSITOR」

吉田 直人(法政大学大学院)
高橋 翔太(法政大学大学院)

作品概要

2030年、スマートグリッドの普及によって、大型の発電所から各都市に電気を分配するという旧来のピラミッド型電力網の時代は終わりを告げるだろう。それに代わって登場してくるのは、都市の各所で小規模な発電を行い、それを都市全体で融通し合う、大都市発電ネットワークである。
その際に問題となるのは、電力供給量の人為的なコントロールが難しい再生可能エネルギーを用いながら、どのようにして都市全域の電力を調整していくかである。その解決のために考えられたのが、ENNOSITORである。
ENNOSITORは、都市そのものを昇降させる巨大エレベーターである。電力供給が需要を上回って余剰電力がある時は、地下に設けられた油圧装置により、都市全体を垂直に持ち上げておく。一時的な電力の低下や電力需要の増加、非常時の電力供給の断絶等により電力網が不安定になった時には、都市を降下させることで位置エネルギーを電気エネルギーに変換し、発電を行う。これによって電力の調節が可能となる。


BIO CITY LIFE ─近未来の新しい移動のかたち─
「BIO CITY LIFE ─近未来の新しい移動のかたち─」

福井 大典(神戸大学大学院)

作品概要

人口の約1/4が65歳以上という超高齢社会を迎えた日本。しかし、都市ではビルの高層化が進み、そのうえ、エネルギー問題やゴミ問題も解決の糸口を見いだしていない。これら複雑化する社会問題を踏まえたうえで、本案で提案したのは、エネルギー的に自立した、市民参加型の都市のなかで、人々が自由に移動できる近未来都市である。
都市全体を持続可能な社会にするために必要とされるのは、バイオエネルギーである。資源となるのは、生ゴミ、古紙、下水、家畜の排泄物、糖度の高い植物などである。これらをバイオマス工場でガス化、燃料化、堆肥化して都市に戻すことで、人や動物、植物の消費生産は循環し、持続可能な社会が実現する。
ここでの移動手段は、エレベーターの解釈を広げた、都市を自由に動けるパーソナル・マルチモビリティである。このモビリティはバイオプラスチック製で、用途に応じて、「寝る」「座る」「立つ」の3タイプに変形する。車いすの機能も備えており、バイオマスから生成される水素で動き、誰もが簡単に使うことができる。