結果発表
2017/03/03 10:10

肥前吉田焼デザインコンペティション



応募作品数:167点
受賞作品数:10点
主催:肥前吉田焼デザインコンペティション実行委員会(肥前吉田焼窯元協同組合、嬉野市)

グランプリ

PRIVATE ROASTER
濱名 剛(807 DESIGN)
作品コメント
肥前吉田地区は伝統と実績がありながらそれにとらわれない多様な製品を創り出す事のできる産地である。吉田焼は目立ちすぎず自然に人々の生活に必需品として馴染む、広告的ではなく実用的な道具として存在しており実にスマートである。その印象を大事に伝えることのできる、日用品でありながら生活を少し豊かに変化させるきっかけとなるプロダクトを提案する。目新しい道具ではないが、現状は非常に選択肢が少ない製品である。すでにある日常を少し延伸できる、吉田焼の慎ましくも可能性と実力の高さを伝えられる道具を創造する。
審査コメント(一部抜粋)
生活者が自宅で焙煎してみたいが適したものがない中で、製品化してほしい商品だと感じます。吉田焼はユーザーのためにチャレンジし、より良い暮らしをサポートする産地として、磁器に囚われず、素材を超えてでも、モノづくりを行う産地となることへの期待として、美しいだけでなく強いメッセージ性を持つグランプリに相応しい作品だと感じました。(名児耶秀美)

未来にチャレンジするという吉田焼のメッセージをのせて。現代ならではのライフスタイルを象徴していると思いました。新しい日常のための道具の提案であることが素晴らしいです。プロダクトが新しい生活のしぐさを表現しているように感じました。(馬場正尊)

準グランプリ

Roll pot
midi(今村俊太、水口正夫)
作品コメント
鉢皿を軸に鉢を自らの手で回転させることで植物へ均等な光をあてる観葉植物用の磁器プランター。鉢の底面、鉢皿の上面と回転する際の接地面に釉薬を施しているため鉢が滑らかに回転し、なおかつ耐久性を持ち自由な角度に調整できます。植物の葉は日光を効率良く受けようとして、光の方向へ向きを変える性質がありますが、一方向だけに日光を受けると枝葉は曲がって成長してしまうので週に一度くらい、鉢を回転させて枝葉が曲がらないように世話をしてあげてください。室内で観葉植物を育てることが普及した生活の中で植物を自らの手で世話でき、愛情をそそぐことが出来る吉田焼の素朴さと優しさを感じさせてくれるプランターです。
審査コメント
シンプルなフォルムの中に実用性があり、暮らしのなかに植物を太陽に向かわせるという、心優しい気づかいのデザイン。(名児耶)

シンプルでありながら、エレガントなデザイン。このプロダクトが部屋の風景の中にあれば空間に楽しいバリエーションを与えることになるでしょう。サイズやフォルムによって展開力もある商品だと思いました。(馬場)

空間の中で生活提案できるものになるのでは。ありそうでないものではないかと思いました。(高橋俊宏)

実用性が高く、デザイン性が高いと感じました。(Ark Xie)

空間の楽しさが演出できそうです。(江口直人)

優秀賞

OYAKOSYUKI
ウエダイゴ(上田一輝、大五亮太)
作品コメント
吉田焼を片手に、親子で晩酌ができる「しゅき」を考えました。吉田焼のもつ暖かみを、親と晩酌した思い出と一緒に覚えている。そんなデザインです。子ども用には牛乳などを入れ、熱燗とともにホットミルクにしてはいかがでしょうか。
審査コメント
とてもシンプルなアイデアですが、デザインが効いていて、気持ちがいいです。親子だけでなく夫婦でも使えそう。ギフトにも向いていると思いますし、商品としての力を感じさせてくれます。さらに、嬉野温泉の旅館や居酒屋でも使えるので、街なかでも楽しめるような商品になって欲しいです。袋ものが得意という吉田焼におけるニュースタンダードにふさわしいと思いました。(馬場)

袋もの、日常雑器の産地としての背景を生かしている作品。親子で使うという生活のストーリーを提案しているところがいいと思いました。(高橋)

シンプルながらも「親子で」楽しめる酒器というのが面白く、需要を想起して、飲食店にも提案しやすいと思います。ただ、ややインパクトに欠けると感じます。(辻 武博)
combi
secca(上町達也、柳井友一)
作品コメント
Combiは2種類の調味料のコンビネーションを楽しむための器です。お刺身には醤油と山葵、ポテトにケチャップとマスタードのように2種類を好みの量で組み合わせることができます。料理に合わせたこれらの組み合わせは無限の可能性を秘めています。
審査コメント
食卓で味を加える食事の所作の中で、シンプルに美しく、現代の暮らしにあうデザインだと感じました。(名児耶)

実用性では高評価ですが、吉田焼「らしさ」に疑問を若干感じます。(辻)

デザインがシンプルでわかりやすくてよいと思います。製造面で商品化する可能性が高い作品。重ねて収納できるようにデザインを改善してほしいです。(Ark Xie)
小判皿/KOBAN PLATE
大森謙一郎(KENICHIRO OMORI MOVING DESIGN)
作品コメント
縁起物の小判がモチーフという点では、お祝い事に関わるギフト商戦での需要を見込んでいます。例えば冠婚葬祭等に活用されるギフトカタログにおいては、選択肢として日常生活での汎用性が高い商品である事と印象深いコピーとの相乗効果によってより多くの人に関心を引く事を狙っています。小判のイメージを強く印象付けるため金彩を施した特別色など使い手のイメージを膨らませる展開したいと考えています。
審査コメント
プレゼントにしても、もらっても笑顔がこぼれる楽しい作品。お金という表現を小判という形でウィットがあるのがよいです。パッケージまでも添えられており想像力の膨らむ展開で売れると思いました。(名児耶)
ボロノイプレートシリーズ
山岸隼人(HYT-DESIGN)
作品コメント
ボロノイ図形を元にしたベーシックなプレートシリーズの提案。ボロノイ図形の形はトンボの羽やキリンの模様などにも見られる自然な形状を元にした図形を活かして、全体を柔らかい曲線を活かしたテーブルコーディネーションを行えるデザイン提案。色についてはベーシックな白を基軸に陶器製品の持つ良さを活かす為にグラデーションの色目などの要素を持ったデザインも提案をしたい。
審査コメント
積み重なった姿が、バランスが取れていながらリズムのあるサイズ感。そこにブルーのグラデーションの違いが広がる美的造形性の優れたデザイン。(名児耶)

とにかく美しいと思います。吉田焼のブルーの色合いを表現した、きれいな印象。普段使いしてみたくなります。(高橋)

多少、プロユースとしては、異質な形状でありながらも、カフェやレストランのシーンや料理を選ばずユーティリティーに組み合わせることが出来そうなプレート。(辻)

産地賞

モダンだるま
勝井慎也
作品コメント
このモダンだるまは日本に昔からある紙製のダルマの形から着想を得て現代のインテリアに合う形としてデザインした。磁器製にすることで扱いやすく、カラーバリエーションも豊富にすることができる。白い顔の部分にはホワイトボード用マーカーでオリジナルの顔を描くことができ、そして何度も描き直すことができる。幸運を呼ぶ新しいラッキーアイテムとして様々な人に親しんで欲しい。
審査コメント
達磨という表現を新しいフォルムでリデザインされ、より安定性があり吉田焼の古くて新しい、そして楽しさを感じられました。(名児耶)

楽しい焼物も加えたいと思いました。ギフトとして提案していきたいです。絵付け次第で例えば雛人形など他の展開も可能そうで、商品として幅の広さを感じさせてくれました。(江口)
COTORI FAMILY
イド(小栗誠詞、大木陽平)
作品コメント
寒くて首をすぼめる鳥の様な姿を持つ、容器や醤油差しのコレクションです。端的な特徴が今後の商品展開を容易にします。産地の顔となる商品群を目指します。
審査コメント(一部抜粋)
鳥というポピュラーなモチーフを楽しいデザインでツール化していると思います。親しみやすく商品力が高い。サイズ違いで揃えられれば、バラエティ感もあり、柄を変えることでシリーズ化も可能。新しい吉田焼のスタンダードを予感させてくれる作品。(馬場)

シリーズ展開があったら良いかもと思いました。テーブルを飾るプロダクトが吉田焼でそろえることができたら素敵です。ただ、既視感があります。(高橋)

袋ものの吉田焼らしさ。飲食店での需要の可能性が高く、流通しやすいデザイン。ティーポット、急須など今後のラインナップに期待大です。(辻)

実用性が高く、日常生活でよく使うもので、売れ筋になる可能性が高いと思いました。製造工程の繊細さをうまく表現できるデザインです。(Ark Xie)
Aroma Flower
森山隆史
作品コメント
「Aroma Flower」はお風呂の中でアロマを楽しむためのディフューザーです。このディフューザーにアロマオイルを垂らしてお湯に浮かべるだけで電気や火を使わずに、お湯の温かさを利用してオイルをゆっくりと揮発させることができます。好みの香りに包まれながらいつものバスタイムがより素敵な時間に変わります。香りに加えて花をモチーフとしたデザインが視覚的にも楽しませてくれて、バスタイムに花を添えてくれます。
審査コメント
用途が広いと思います。水に浮かべるだけでなく、アロマ皿としても使えそうです。機能性が高く、造形が独特であると感じました。(Ark Xie)
Hamon
足立眞緒
作品コメント
吉田焼のブランディングとして、デザイン雑貨を作る事ではなく、まず吉田焼自体の認知度を高めることが必要だと考えました。そこで吉田焼の起源である鳴谷川と陶石の関係性を表す、水と石をモチーフとしたディッシュonディッシュのワンプレート皿を提案します。起源をアイデアの基とすることで、この器を通して自然とユーザーに吉田焼の起源を伝えることが可能となり、吉田焼そのものを広めることが可能となります。
審査コメント
ランチプレートとしての用途は需要があるので、飲食店にプレゼンしやすいと思いました。(辻)