結果発表
2016/04/11 10:00

三井ゴールデン匠賞

応募作品数(予備審査通過):29点
受賞作品数:5点
主催:三井広報委員会

三井ゴールデン匠賞 グランプリ

「高岡銅器/富山県高岡市」
株式会社能作(代表:能作克治)
「高岡銅器/富山県高岡市」
評価
富山県高岡市に400年にわたり伝わる伝統的な鋳造技術を受け継ぎながら、様々な新しい試みを行っている。従来の流通に頼らない独自の展示会開催や、柔らかく扱いにくいとされてきた「錫(すず)」を用い、使う人が自在に「曲げて使う器」を開発し高岡銅器のイメージを変えた。さらにこうして得たノウハウを、産業全体の発展を視野に同業者に公開、職人の減少と高齢化が進む中、雇用を増やし若年層への技術の継承に成果を上げるなど、流通、商品開発、地域貢献など多岐にわたる活動が評価された。

三井ゴールデン匠賞 モストポピュラー賞

「南部鉄器/岩手県盛岡市」
株式会社岩鋳(代表:岩清水 晃)
「南部鉄器/岩手県盛岡市」
評価
400年以上の歴史をもつ南部鉄器。黒光りする渋い鉄瓶が有名だが、南部鉄器の工房の一つである岩鋳は、木炭、ガス、IH調理器と熱源を選ばない鉄瓶やカラフルな色の急須を開発し、現在は欧州、北米、アジアなど海外においても実績をあげている。以上のように、伝統的な技術、意匠を守りながらも、現在の生活様式に順応できるような技術革新を実現している点が評価された。

三井ゴールデン匠賞

「越前和紙/福井県越前市」
杉原吉直(株式会社杉原商店)
「越前和紙/福井県越前市」
評価
江戸時代から続く越前和紙の紙問屋杉原商店の代表でありながら、積極的な異業種との融合や新技術の開発、海外への販路拡大などの取り組みが評価された。例えば、手漉(す)き和紙の技法にデジタル技術を組み合わせることで、オリジナルのデザインを小ロットで作成することに成功した「DECO-WASHI(デコ和紙)」や越前和紙の軽さと越前漆器の丈夫さを融合させることで、日用品雑貨から空間装飾まで用途を広げることに成功した「漆和紙(うるわし)」などが代表例として挙げられる。
「ubushina」
立川裕大(株式会社t.c.k.w)
「ubushina」
評価
漆や竹細工など、日本の伝統的手仕事と現代のデザインを結び付けながら、日本各地の伝統技術の活動領域を、最新のインテリアデザインの世界に拡張させることに貢献したプロジェクト「ubushina」などの取り組みが評価された。具体的には、建築家やインテリアデザイナーに日本各地の伝統工芸の魅力をアピールすることで、物件に合わせた特注品(主に家具・照明・内装材・アート)の需要喚起を成功させたことが挙げられる。
「九谷焼/石川県能美市」
福島武山
「九谷焼/石川県能美市」
評価
九谷焼の伝統技法・赤絵細描の第一人者。一度目にすると、より目を凝らして見入りたくなる精緻な赤い線が特徴。その2mm幅に7本の線を描くという細かさだけでなく、線1本1本の正確さと伝統的な小紋を豊富に取り入れた意匠は他の追随を許さない。さらに、九谷焼技能向上研修を積極的に行い後継者育成に尽力する一方、仏エルメス社より時計文字盤の製作依頼を受けるなど、九谷焼における圧倒的な技術力を有しながら、国際的にも活躍の場を広げる取り組みと実績が評価された。