結果発表
2017/05/29 10:00

HAPTIC DESIGN AWARD

応募作品数:70点以上
受賞作品数:13点
主催:JST ACCEL「身体性メディア」プロジェクト
※ここでは、グランプリおよび優秀賞をご紹介します

グランプリ

稜線ユーザインタフェース
安井重哉(公立はこだて未来大学 情報アーキテクチャ学科 准教授)
稜線ユーザインタフェース
作品コメント
本作品は新しいスイッチインタフェースのコンセプトプロトタイプである。
このインタフェースは、立体的な段差や障壁などの知覚的稜線によって区切られた、二つ以上のタッチセンシング領域によって構成されている。
そして、既存のスイッチのように「ボタンを押す」、「指定された面を触る」といった操作ではなく、「指をスライドさせて知覚的稜線を超える」という動作をスイッチ及び触覚フィードバックの生成源として利用する。これにより、不意の誤動作が起こりにくいという特性の他に、単純な構造による高い造形自由度を持たせることができた。
本作品は、立体造形による視覚と触覚の両面からの情報デザインの世界を開拓する。
審査コメント
既存のスイッチにシンプルなハプティック・デザインを追加することによって新しいインターフェースのレイヤーを付加している点が素晴らしいと思いました。様々な応用の可能性も感じるので、今後このコンセプトが発展していく様子を見守っていきたいです。(川村真司)
作品部門

優秀賞

積み紙(tsumishi)
川崎美波(東京藝術大学大学院)
積み紙(tsumishi)
作品コメント
赤ちゃんを抱っこする時を思い出してください。
“積み紙”は、そんな風に自然と優しく持ってしまう和紙の“つみき”です。
人間に限らず、赤ちゃんの頃は体が小さく目が丸くて大きい動物が多く、それらを可愛い、
守りたいと思う気持ちは本能として備わっているそうです。その為、皆赤ちゃんに対して優しく、
且つ緊張感を持った丁寧な動きになります。
その習性から着想を得て、敢えて繊細で壊れやすいものを作りました。
積み紙は中が空洞で、光にかざすと透けて見えます。
また、様々な種類の和紙を使用しており、色や触り心地の微妙な違いを楽しめます。
ものを大切に扱うことや、日本の伝統文化を受け継ぐための1つのツールとなれば幸いです。
審査コメント
この積み木で遊んでいるところを想像するだけで、ある種、独特な儚さを感じます。質感というアプローチを壊れやすい、という全く逆のイメージから構築されたコンセプトが素晴らしいと思いました。観ているだけでも生理的にザワつく、というところがこの作品の良さですね。(大屋友紀雄)
アイデア部門

優秀賞

LIP SERVICE
北 恭子、迫 健太郎
LIP SERVICE
作品コメント
テクスチャ・シガレット「LIP SERVICE」は、伝統的な人間の嗜好品であるタバコを、唇へのHAPTICな刺激という観点でアップデートする試みです。
10種の異なる質感素材で包むことで、唇で感触の違いを味えるタバコをつくりました。
これまで人は、タバコを中身の葉の違いで選んできました。
一方でその葉を包むペーパーはどれも画一的で大きな違いはありません。
タバコが触れる唇は、人間の身体の中でも最も敏感な部分のひとつです。
そこに様々なテクスチャが触れることで、いつものタバコの吸い心地を繊細に変化させ、常に新鮮なリフレッシュを与えてくれると考えました。
審査コメント
唇は最も敏感な触覚を持つ部分だと思いますが、タバコの「食感」を変えるというのには、いろいろと可能性がありそうですね。もしかしたら味を広く楽しめることとは逆に、吸うタバコの本数を減らしても同じ満足度が得られる食感があるかもしれないし、禁煙できるようになる食感があるかもしれない。広範囲で新しい価値を創造できる可能性があるアイデアです。(高橋晋平)