結果発表
2016/11/10 10:00

ブラシアートコンテスト 2015

受賞作品数:9点
主催:一般社団法人日本ブラシアート協会
※ここでは、上位6点をご紹介します

最優秀賞

原動力
しばたかおり
原動力
作者の想い(一部抜粋)
みなさんはこの作品を見て何を感じますか?
「お母さんの愛情で赤ちゃんを包む」
「親の大きな手で我が子を守る」
「母の無償の愛」

確かにその通りですが、私が常日頃感じるのは「その逆」です。

母になりもうすぐ6年。子育てにはたくさんの喜び、感動、癒し、幸せ、感謝があふれています。それと同時に苦悩の連続でもあります。

どれが正解かわからない「子育てのやり方」を手探りで試す毎日。
時には想定外のアクシデントも発生し、子が成長するほど親と子で、夫婦で、ぶつかり合うことも増えます。
そして何よりも自分の中で目をそむけたかった部分を我が子という「鏡」を通してたくさん見せつけられ、人として未熟さを痛感し苦悩します。
しかし母になったからには、人生の壁にぶつかるたびに立ち止まって泣いてばかりでもいられません。
すぐに立ち上がり前進しなければ我が子を守れません。
審査コメント
優しく匂うような作品に仕上がりました。お母さんの心情がブラシアートを介して静かに凝固したと思える素晴らしい作品で、淡い色彩、構成も素晴らしい。

優秀賞

笑顔
KATSURA
笑顔
作者の想い
この作品は、私の愛犬をモデルに制作しました。
愛犬はこの作品の表情をよくします。この表情を見ると、どんな時でも家族みんなが笑い合って、幸せな気持ちになります。愛犬の笑顔が私たち家族を笑顔にしてくれるのです。
なので、この作品を見た方々が少しでも笑顔になってくれたら嬉しいなと思い、制作しました。
審査コメント
細やかな色使い、表現力は初心者とは思えない技巧派。コンセプトの整合性は申し分なく、ファミリーアート性としても完成度を評価できる。
抜け殻
高橋 堅
抜け殻
作者の想い
高桐院で見た、抜け殻の写真をモチーフに選びました。
漆喰の壁を上り、どこかに飛んで行った蝉の抜け殻にいいようもない神々しい雰囲気を感じた時に撮った写真です。
その雰囲気を写し取るために微妙なボケを加えて撮りました。
今回ブラシアートの題材にこの写真を選んだのは、この微妙なボケ具合とブラシの解像度がシンクロしてくれれば、写真そのものとも絵画とも違う、ブラシでした表現できない独特の味わいが生まれるのではないかと考えたからです。
制作には苦労しましたが、まずまずその雰囲気が再現できたのではないかと自負しております。
審査コメント
モノクログラデーションが作り出す神秘的な空間表現はブラシアートの素材特性を語り尽くしている作品。モダンアートとして画面構成も素晴らしい。

審査員特別賞

青響く
栁 達也
青響く
作者の想い(一部抜粋)
今回、ブラシアートの表現方法を拝見いたし、点描的でありながらも立体的であり、上下左右と奥行き感の表現が秀逸であると感じました。ブラシの生み出す陰影を上手くコントロールし、それを表現に生かせたらと考えました。
尊敬し、大好きな作風でもあります、昭和を代表する日本画家の一人「東山魅夷」画伯の淡くも奥行きのあるタッチ表現が適しているのではないか、また、日本の生んだブラシアートであるならば、日本の美しい原風景を描きたいとし、今回のコンセプトとしました。
東山魅夷作の「緑響く」をオマージュとし、私の好きな原風景「雪景色」をこれに落とし込みました。
寒色の妖しくも美しい色彩を最も表現できるよう気を配り、青や白を中心とした寒風景の色合いの中にも、どこか郷愁、もしくは懐かしさ、温もりを感じられる、そんな色彩を施し描きました。
審査コメント
ブラシアートを短時間でここまでよく理解して頂いた作品であると感心しました。植毛手順が基本と違うのにここまで出来たのがすごい。ブラシアートらしい作品として評価できますが今度はオリジナルで挑戦して頂きたい。

パワフルアート賞

かっこういい黒鬼
笹村福人
かっこういい黒鬼
作者の想い
『ブラシアート』と言うものがあるのかを知ったのは友人が教えてくれました。
ちょうどコンテストがあるから応募してみたら、と言われたのがきっかけで子供を中心に応募させて頂きました。福人は当初から人一倍やる気がありました。
一次審査の結果が出る前から、鈴木あみさんのコンテストPVを何度も何度も見ていました。
福人の強い思いが通じたのか、一次審査を通ったご連絡を頂いた時は本当に喜んでいました。
このデザインにしたのは、福人がこの世で一番強いイメージの「黒鬼」を自分なりに想像したものを書きました。強い黒鬼は、大きな金棒を2本持ちそれはそれは大きな体をしているそうです。
そんな「黒鬼」を福人なりに表現できたのではないかと思っています。背景の赤色も福人本人が考えました。
理由は、赤は「燃える色」「強い色」だからだそうです。
この黒鬼は悪い子をやっつける、正義感の強い黒鬼だそうです。
世間ではいつも悪者の鬼を今回福人が制作した正義の味方の新しい鬼として見て頂けるとうれしく思います。
審査コメント
五歳のお子さんが喜んで作品作りに夢中になっている情景が読み取れる作品です。色使いも子供らしく大胆、明快でブラシアートの表現力の広がりを感じる作品です。

クリエイティブ賞

宿る
加茂 茜
宿る
作者の想い(一部抜粋)
ブラシアートを製作するにあたって、私が一番こだわりたかったところは、ブラシという素材を活かした表現をするということでした。
ブラシの細い線を上から見た時にだけ「作品」になるのではなく、ブラシの先から先までの全てで一つの作品となるものをつくるというイメージです。
そこでまず思いついたモチーフが「苔」でした。苔の密集度と湿って水気を帯びているという点が私の中で清掃用のブラシからつくりだすことにリンクしました。
この作品は、もののけ姫のシシガミ様の足跡が残る場面を切りだしています。「宿る」というタイトルはシシガミ様の足跡に生命が芽吹いているイメージでもあり、長い時をかけて数多の菌類、藻類が生息する共生体である苔をブラシで見立てること自体に対して象徴する言葉でもあります。
「共生体」も1つのキーワードにしているため、造花などの他素材を組み合わせることも意図的に行いました。
審査コメント
ブラシアートの新境地を開く意欲作。着想、技巧も十分ですがアート、造形性の点で残念さが残る作品です。