総評 : 舘内 端(モータージャーナリスト、日本EVクラブ代表)
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世田谷区という小さな自治体の、これまた(財)せたがや文化財団の生活工房という小さな団体の取り組みにもかかわらず、多くの方から大変な数の応募をいただけたことと、ステッカーデザインに対する真摯で熱心な取り組みに大変に驚きました。まずは、応募いただいた方に感謝したいと思います。ありがとうございました。

これは、信号待ちアイドリングストップ運動の広がりと浸透の深さを示すものでもありますから、この運動を推進する者として、たいへんにありがたいことです。この熱心さがあれば、いつの日か日本中の交差点でアイドリングストップが行われることになると思います。

私も交差点でのアイドリングストップを、ここ10年ほど実行していますが、年々、実行者が増えていることに勇気倍増しています。信号が青になったのでエンジンをかけようと用意していると、私よりも一瞬早くエンジンをかける人を発見することが多くなったからです。

これも、自分のクルマが静かになっているから他人のエンジンの始動音が聞こえるわけで、信号待ちアイドリングストップをする御利益のひとつかもしれません。

応募作品の多くには、応募者自身のそうした信号でのアイドリングストップの実際の体験に基づいたアイディアが散りばめられていました。やったことのある者でなくては気づかない、とても新鮮で素晴らしいアイディアが数多くありました。アイドリングストップの大変さと楽しさの両方を知るものとして、頭が下がる思いでした。

しかし、応募者の多くの方が、『交差点』でのアイドリングストップということと、排ガスの低減というよりは、『二酸化炭素(CO2)の削減』という2点を、どう表現するかで大変に苦労されていました。この2点の表現は大変に難しかったと思います。今回のテーマを正確に理解されている応募者ほど、苦労されたと思います。この点を十分に考慮して選考させていただきました。

それでも、交差点でのアイドリングストップという視点が欠け、CO2削減よりも排ガスのストップが全面に出てしまったデザインがありました。これは、交差点でのアイドリングストップ運動がまだ十分ではないということで、私の反省材料にしたいと思います。 今回の応募をきっかけに、ぜひ信号待ちアイドリングストップを推進し、輪を広げてください。ご応募、ありがとうございました。