講評 : 鈴木真人(「NAVI」編集委員) 
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ステッカーが嫌いだ。自動車好きは、タイヤやオイルのメーカーのステッカーを愛車に貼って悦に入ることが多いのだが、どうもその心情が理解できない。何を主張したいんだろう。

できれば、静かに目立たずクルマに乗りたい。クルマで自己表現したいなんて思わない。だから、アイドリングストップだって、人知れずこそこそやりたいと思っていた。実際にアイドリングストップを呼びかけている現場を見るまでは。

ボランティアがプラカードとマイクを使ってアピールしているのに、まったく無視している輩が大勢いるのだ。周知徹底のためには、いろいろな方法で呼びかけていくほかはない。しかし、押し付けになったのでは逆効果だ。

というわけで、このシンボルマーク選定にあたっては、自分のクルマに貼れるかどうか、ということをいちばんの判断基準にした。正義を高く掲げるのではなく、デザインの力で自然にアイドリングストップを行う気分になれればいい。シンボルのもとに単一の思考に収斂するのではなく、色と形がそれぞれの心情を緩やかに動かしていくのがいい。

多様な作品が寄せられたことが、何よりの収穫である。そして、素直に共感できるデザインを選ぶことができたことを喜びたい。僕自身が、真っ先に自分のクルマにこのステッカーを貼ろうと思う。