2005年度グッドデザイン賞 | コンテスト公募コンペの[登竜門]

我が国唯一の総合的デザイン評価・推奨制度「グッドデザイン賞（Gマーク）」。毎年ある一定数の優れたデザインを選定し、推奨することによって社会全体をより豊かな方向へと誘導することを目的として、1998年よりスタートしました。主催は (財) 日本産業デザイン振興会。

2005度は1,168社の企業・団体等から昨年を上回る3,010件の応募が寄せられ、過去最多を記録。審査は総勢76名の日本を代表するデザインの専門家により、二段階で行われました。結果、「2005年度グッドデザイン賞」（Gマーク）に、1,158件／598社が受賞。その中からグッドデザイン特別賞に計65件が選出され、さらにその中から、「ベスト15」に15件が決定しました。
今回初の試みとなる「ベスト15」は、海外から招聘した審査員も交えて選出された賞で、最も優れたデザイン贈られる2005年度「グッドデザイン賞大賞」のノミネート製品として選ばれました。

去る10月25日には、ホテルイースト21東京にて大賞選出、及び特別賞の表彰式が開催。15件のプレゼンテーションの後、出席者による投票が行なわれた結果、本年度最も優れたデザインである「グッドデザイン大賞」にはテルモ株式会社のインスリン用注射針 [ ナノパス33 ]が選ばれました。
また、惜しくも大賞を逃した14件は金賞に決定。喜多審査委員長からはノミネート15件について「今年の『ベスト15』はレベルが高く、世界で評価されるオリジナリティー持ったものばかり。どれも大賞にふさわしい製品だった」と、コメントがありました。

◎投票結果について　→　詳細

インスリン用注射針 [ ナノパス33 ]

大賞受賞者の表彰

プレゼン風景
金沢21世紀美術館

出席者全員投票

大賞受賞者

金賞受賞者

「ベスト15」の展示

審査員　（敬称略）

写真左から　審査副委員長 : 山中俊治氏、審査委員長 : 喜多氏、審査副委員長 : 左合ひとみ氏

　　■審査委員長
　　喜多俊之（デザイナー）
　　■審査副委員長
　　左合ひとみ（グラフィックデザイナー）
　　山中俊治（インダストリアルデザイナー）　　　他73名

　　◎審査員について … 詳細
　　※写真左から山中氏、喜多氏、左合氏

＊各作品をクリックすると、拡大画像と作品説明、審査員のコメントがご覧いただけます。

■ 大賞

インスリン用注射針 [ ナノパス33 ]
テルモ(株)

作品について
糖尿病治療で使用するインスリン注射用針。世界一細い33G（0.2mm）。従来の31Gより20％細い。注射針に求められる痛くない細い針のニーズと、薬剤を注射するための一定の太さの確保という相反するスペックを技術革新でクリア。＜世界初のダブルテーパー構造＞先端は細くし、徐々に太くするテーパー構造。従来はパイプ状で外経も内径も一定の太さで、細くすればするほど薬液を注入する抵抗が増し、注射しづらくなるため、細くするのは限界があった。この限界を破り細くするため、【ハンズ・ポアズイユの法則】を応用、テーパー構造にすれば先端を細くしても注入抵抗を抑えることができることを突き止めた。

デザイナーのコメント
注射は誰もが嫌なこと。それを一日に数回もならなおさらである。現在糖尿病でインスリン自己注射を行なっている患者は、国内だけで60万人。注射の痛みを軽減させたいとの思いで、従来より20％細い世界一細い針に挑戦し、“痛くない”注射針を製品化した。ニーズが不可能を可能に変えた一つの事例で、日本のものづくりに一石を投じた商品として高く評価された。

審査員のコメント
ニーズが不可能を可能に変えた一つの事例で、日本のものづくりに一石を投じた商品として、我々も高く評価している。「できないからこうなった」という言い訳型のものづくりが蔓延している製造業の風潮のなかで、患者の立場から痛みを軽減させたいというニーズを起こし、ロールと溶接という微細な加工による量産化を成し遂げた偉業を称えたい。私はデザインとはニーズに対するベストなソリューションだと考えていて、これこそが「デザイン」だと事例紹介したい一品である。