第5回 建コンフォト大賞

募 集 終 了

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応募作品数:221点
入賞作品数:13点
結果発表:2014年4月

ここでは入賞作品の中から、優秀賞以上に選ばれた作品3点をご紹介します

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最優秀賞

反転世界
「反転世界」

坂谷専一

撮影地:秋田県大潟村

コメント

日本最大の干拓地である大潟村は、自然に形成されたものがない全てが人の手によって作られたものです。どこまでも続く真っすぐな道や、広大な農地など、どこを見ても、そのスケールの壮大さに驚きます。中央幹線排水路は、私の中で最も好きな場所で、ここから見える夕陽や雲模様が、いつも新鮮で心を穏やかにしてくれます

審査員講評

伊藤審査委員長「日本最大干拓地大潟村の最も人工的な施設である中央幹線排水路が、色・形・変化に富む魅力的な雲・並木・夕陽によって昇華され、水面で絶妙に増幅された秀作です。最も人工的な施設でありながら、不自然さを感じさせない作品です。」

宇於﨑審査委員「空の景色が静かな水面に映りこんだ非常に美しい作品です。タイトル通りみごとに「反転」し、木々や雲が水面下にあるように感じさせます。土木施設が持つ静謐の時を感じさせます。」

知野審査委員「白黒の古写真に色彩を施したのかと思わせるノスタルジックな風景。それが反転した青と風雲を伴って不思議な世界となりました。天に昇った「八郎潟の八郎」の心を映し出したかのようです。」

初芝審査委員「波紋一つ無い鏡のような水路に、映し出された雲の織りなす模様をシンメトリーに捉えたのは、写真でしか成し得ない見事な作品です。排水路とはいえこの美しい情景を造りだしている土木と自然美をカメラは巧みに引き出しています。」

長谷川審査委員「果てしなく連続する堤と林と静寂水面が、広大な青空の中の動きのある雲を閉じ込めて映し出す光景、まさに世界が反転したと錯覚する幻想的な作品です。運河という土木と自然現象の対比、濃紺水面と鮮やかな空の青の対比も印象的です。」

優秀賞

生月大橋
「生月大橋」

森 義晴

撮影地:長崎県生月島

コメント

瓦屋根、曇り空、その空をうけた海水などの地味な色の中に、生月大橋がくっきり写りました。

審査員講評

伊藤審査委員長「明るい青緑の『生月大橋』、ややくすんだ青の海水、明るくすんだ青の曇り空、黄色がかった護岸、灰色を基調として手前に広く展開する瓦屋根。濃い青緑の山をバックに、青緑の『生月大橋』が、鮮明に浮かび上がり主役になっています。」

宇於﨑審査委員「長崎県の辰の瀬戸を跨ぐ近代的な橋の全体をとらえるとともに、手前の黒瓦の家並みが伝統的な住まい方を想像させ、その対比が面白いです。港内の風景が少し寂しい気もするが、画面全体としてはバランスもよく、重厚さを感じさせます。」

知野審査委員「日本の伝統的な瓦の風景。そのリズム感と新しい橋の構造が一体となり、新旧の色彩とテクスチャーの対比が織り成す風景となりました。時代の引継ぎのワンシーンなのかも知れません。」

初芝審査委員「概して屋外はベストな状況下で撮影しますが、この作品はあえてアンダーに挑み、色鮮やかな現代色カラー塗装の大橋と郷愁を感じさせる海辺に迫る密集した、民家の黒く古い瓦屋根が対照的で面白い作品です。」

長谷川審査委員「雄大な空と山の自然を背景に日夜、社会の動きを支えている橋梁は、その存在感を示しているにも関わらず、手前に密集する古びた民家の雨露を防ぐ瓦屋根の下にある生活を威圧せず調和しているコントラストが感じられる作品です。」


富士山に向かって
「富士山に向かって」

中根英治

撮影地:東京都渋谷区幡ヶ谷

コメント

この場所からは富士山の方向にまっすぐ向かって行く線路が見られます。天気のいい日の夕方には、夕日に照らされた線路が、夕日のシルエットとなった富士山に向かって行く、きれいな情景を見ることができます。

審査員講評

伊藤審査委員長「富士山・雲・山などの自然物の有彩色と、建造物・建築・線路などの人工物の黒(無彩色)の対比、特に自然の絶妙な色、富士山の若紫・空のくちなし色・雲と山の天壇青が秀逸であり、富士山や雲の輪郭の猩紅は効果的です。自然物の形・材質と人工物の形・材質の対比も良いです。」

宇於﨑審査委員「沈む夕日を浴びて富士山の稜線のシルエットが美しく、京王線笹塚駅に向かう光り輝く線路はまさに富士山に向かって敷かれているかのよう。雄大な自然と日常的に利用する交通施設がみごとに組み合わされた意外性の高い作品です。」

知野審査委員「富士山の神々しい姿の影から、金色となって流れ落ちる雨だれのように鉄路が長く光ります。東京に出現した不思議な風景の一瞬が留められました。」

初芝審査委員「線路と遠くの富士を捉えたアングルの面白さが表現されています。手前の線路周辺は暗く、その先の富士山は明るい夕日が影絵のように映っています。」

長谷川審査委員「富士山をバックにオレンジ色の夕焼けが鮮やかな面的世界と、そこに向かっていくかのように伸びる線路も落ちる夕日を受けて輝いている線的な世界、動じない大自然と現在社会の接点を光が取り持っている作品です。富士山の不思議な色合いも良いです」

2012年
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