灰皿デザインコンペ2013

募 集 終 了

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応募作品数:473点
入賞作品数:6点
主催:株式会社商店建築社 協力:株式会社バンブー・メディア 後援:日本たばこ産業株式会社

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グランプリ

つりざら
「つりざら」
~吊り下げ式の灰皿による分煙~

大和 遼 九州大学大学院

コンセプト

これは非喫煙者である私自身の日常の気付きから生まれた、分煙のための灰皿です。喫煙者と一緒に飲食をする時に、いつも灰皿の“位置”が気になっていました。テーブルの上に灰皿が常に載っていることで、居住域に煙が残ってしまう。そうであればもっと灰皿を高い位置に持っていけば良いのではないかと思ったのです。更に上にシェードを被せて、シェードの中に煙を吹き込んでしまえば、煙が漂う範囲を狭められる。シェードは和紙と竹ひごの骨組みを使った、パタパタと折り畳める提灯のような形態を考えました。たばこを吸う時にシェードを引き下げて、終わったら上げる。この行為はスイッチをオンオフするような感覚に近く、遠目からも誰がたばこを吸っているのかが一目で分かります。気を付けたのはシェードを下げた時に、その人の顔がシェードで隠れないように設定したこと。あくまでもその場のコミュニケーションが途絶えないようにしました。また最低限の器具と費用、容易な設置方法であることにもこだわりました。できるだけ分煙設備の負担を軽くすることで、小さなカフェや居酒屋でも手軽に取り付けられることを狙いました。

優秀賞

風景をつくる灰皿
「風景をつくる灰皿」

片山馨介 サポーズデザインオフィス

コンセプト

喫煙に伴うイメージを変えたいと思い、「喫煙者が中心となってアートをつくる」という案を考えました。つまり「喫煙はアートを制作する行為」だと思えば、より好感や共感を得られるのではないか。たばこを吸った後、ホワイトウォールにたばこを押し付けて穴を空け、同時に火を消して底の灰皿に捨てる。たったそれだけの行為ですが、1人ではアートはつくれません。続いて何人もの人々がたばこを吸って穴を空け、穴の数が増えることで、徐々に奥のアートウォール(風景)が見えてくる仕組みです。駅前などにある公共の喫煙所がもっと良い風景に変わっていけばいいなと思っています。


 !
「 ! 」

根口昌明 レノボ・ジャパン

コンセプト

たばこのリサイクルに注目しました。たばこを消して終わりではなく、もう一歩進んだ行為が欲しいと思いました。そこでたばこの灰は肥料に、フィルターは再生樹脂に一部なりうることに着目したわけですが、これを分別するには大変なコストが掛かる。そこで灰皿を工夫すればもっとコスト軽減できると思い、内蔵カッター付きの灰皿を考えました。私はパソコンメーカーのデザイナーなので、モノをパーツに分ける考え方が身に付いているんですね。切って捨てるところから「 ! 」の形を発想しました。視認性の高いマークですし、アイコンとしても使える。ステンレス製で、壁掛けを想定しています。

入選

 一
「 一 」

石井聖己 プロダクトデザイナー

コンセプト

以前から灰皿のデザインに興味がありました。普段、自分がそれほど多くたばこを吸わないため、小さな灰皿があればいいなと常々思っていたのがきっかけです。カップ&ソーサーのような対の関係で、1本のたばことそのための灰皿を考えました。コンセプトは「1本の時間」。例えば仕事の合間のコーヒータイムなど、自分だけの時間に1本を大事に吸う。そのときに豊かな気持ちになれる灰皿です。タイトルの「一」は大切な1本を表しています。素材は銅、鉄、アルミ、真鍮の4種類の金属で、鋳物でつくることを想定しています。


タバコミュニケーション アンブレラ
「タバコミュニケーション アンブレラ」

富田健太郎 富田健太郎建築設計事務所

コンセプト

非喫煙者の私からすると、喫煙所内で喫煙者同士がリラックスしながら取るコミュニケーションがずっとうらやましいと思っていました。そこで喫煙者も非喫煙者も平等にコミュニケーションが取れる空間があればいいなと思い、これを発案しました。壁に囲われていると、どうしても非喫煙者は入りづらい。そこで壁を開放し、屋根と柱だけという最もシンプルな構成のまるで傘のような建築を考えました。グリッド上のシステムにして、簡単に移動できたり、連結できたりすることを想定しています。


MOKUMO
「MOKUMO」

山内真一、二宮 慧 神戸意匠操練所

コンセプト

私たちは普段、子どもの成長とデザインの関係について調査研究をしています。最近はベランダでたばこを吸うお父さんが増えているようですが、私たちは家庭のリビングにも違和感なく置いておける、子どもが見ても優しい雰囲気の灰皿を考えました。一見すれば、ガラスのオブジェ。吸いかけのたばこを入れると煙がモクモクと上がり、ガラスの表面が白く曇って雲が現れる。たばこの煙=雲という子どもの視点に立った遊び心から、このアイデアが生まれました。煙をポジティブに、かわいく捉えたデザインです。

審査員評

審査委員長 橋本夕紀夫(橋本夕紀夫デザインスタジオ):応募作品を見渡すと、想像以上にいろいろなバリエーションの灰皿の形、アイデアが生まれていると感じました。今までになかった概念の灰皿も出てきており、新たな可能性を感じます。これからの灰皿に必要なのは、一つは分煙をどう考えるかです。つまり喫煙者と非喫煙者の関係をどう捉えて解決するのか。もちろん気流をつくるための給排気システムを考えることも大切ですが、もっと曖昧な考え方もあるのではないかと、受賞作品を見て気付かされました。一緒の空間にいて喫煙者と非喫煙者のどちらもが気にならないようにするには、まずそれぞれの意識が大切です。例えばユーモアを持ち込むのも一つの手。「面白いから気にならない」「こんなものがあるなら一緒にいてもいい」。そんな気持ち次第で、実は容易に分煙ができてしまうのかもしれません。それを教えてくれたのが、グランプリの「つりざら」や入選の「mokumo」でした。分煙に対する面白い回答が出てきていると感じました。